食べ終えたからだには
波のあと
後ろ手に作曲したふたりは朝を拒んで

花は咲かない 実もならない
良い香りがするわけでもない
冬がくれば死んでしまう草みたいに
あるかなしかの根をから ....
あんまりにびしょびしょで
かまわないまま
それがなにかも気にせずに
奪いあったものだから
愛みたいにおもってしまう
ただのセックスを
それ以外のかたちにくり抜こうとしたから
からだは ....
扉の音がしたけれど
どちら側に開いたのかわからない

あったのかなかったのかわからない
いくつもの好意
あってもなくてもかわらないような
くりかえす行為、

いつまでも振り向けない ....
出ていかなければならない
と知っている
部屋は
あなたとあなたでないものでできている
このまま朝は終わらずに
言葉もひとつも終わらずに
開かれなかった小説
届けられなかった手紙
呼ばれ ....
なにはともあれドーナッツ、
食べると穴のなくなるところ、
恋をするみたいに
かなしかったよ
きょうもこんなに曇った空で
なにはともあれ
ドーナッツ
ゆうがた
べったりした体をオーブンにいれる

もうすこしでわたしになれる、というところで
あなたがわたしを齧りとるから
わたしはいつも、
そういうかたちで次の朝を生きるのだ
そしてそれが来て、
わたしたちの手は離れる

(あかるいもの
 くらいもの
 つめたいもの
 あついもの
 動いているもの、
 動いていないもの)

あなたの耳たぶに
甘い水 ....
まったくかまわないよ
世界が
思ったのと違ってても

新聞をめくると
新聞のにおいがする
あなたをめくると
あなたのあじがわかる

あなたがもし
いなかったら
かまうけど
かげろうみたいに
日々は
嘘になるから
それなら
特別うすく
上等のにしよう
むこうがわが透けてみえるような
いつでもそれが
透けてみえるような
自然なことでした

同じ重さ
同じ気配で

あなたの不在は
まるで実在のように
安堵と失望をつれて

自然なこと、何もかも
出会うまえと
出会ったあとがあるだけで

あな ....
愛は長い嘘よ、と
つぶやくそばで光が鳴り
きみの髪を一本ずつ太陽が染めていく

壁の穴には吸殻が押し込められ
干上がったダムに不発弾
鳥がまっすぐ秋を飛ぶ
子どもたちが歌うメロディを ....
これは
階段とはちがう

生きることは
死ぬこととにていても

あなたと生きることは
あなたと死ぬことじゃない

いつまでも嘘をついていて
思い出を忘れるような
悲しい解放を ....
ちかちか鳴る信号を無視して走っていた
向こう岸で恋人たちがまっている
わたしの心臓を四等分するために

海は干上がって
愛ばかりがのこった
だからこんなに走っても
満たされること ....
もうすっかり書くべきこともなくなって、秋です。日向には夏の死骸みたいな光、日陰にははらはらした予感。眠たい身体を持ち上げると、それでもまだ風が通ります。
やっぱりわたしには時間というものがよくわ ....
大事にしていた鎖が切れた
猫が転んだ
列車が衝突した
雨はまだ降らない

東京が歓声をあげる
世界が悲鳴をおしころす

僕はなんとなく笑う
君が呟く

( )

唇 ....
秋のはじまりに
かなしいのかうれしいのか
ほっとしているのかわからずに
虫の音のまじる夜をあるきながら
みていたのは
夢でなくて
たぶんあなたでした
あなたの、
きゅんとする性器に手を添えて
わたしの角度をはかります

嵐の方向にどす黒い夕暮れははじまって
なぞる、すべるように終わりゆく行為も
いつの間にかそういうはげしさを終えて
 ....
それは 白い、暗い
水のような
(いえ、湖)
奇妙な、安らかな、
欠落で

なめらかに隆起したそれを、
両手でささげ持つようにして、
人びとは
名前をつけた

それが
何だ ....
ふれるのは やめにした
おいしそうな かなしみは
丸か刃か ころがって

そのほうが たやすいとしても
何もかも正しく思えないから
ふれるのはやめにした
空が落ちてきてもいい
わた ....
ねむたい気持は目の奥らへんからやってきて、あたまをぼんやり後ろの方にひっぱるので、わたしはそのときちょっと上向きの、おかしな人でしょう。指や手もとに注目すると、近いのと遠いのがいっぺんにあるのです .... いよいよふたりは
白木のようにかわいて
最後をはじめようとしていた

日々や色や、音や
そんなようなものたちに別れを告げ
横たうだけで
ぎたぎたに壊れていく
その破片のすべてに
蜜の ....
バスからみる
街は、
ばかみたいにオレンジで
おもいだす

あの子 や
あのひとに
なれなかった

ちょうちょはたくさんいた
花もたくさんあった
夢もいっぱいみた
とかげ ....
ねじれた女は
男のかたちをして
朝の歩道に
放りだされている

季節はたしかにうつろいだが
ことばはひとつも増えず
減らずに
雪融けるような角度のなか
ゆっくりと腐りはじめる
 ....
「このセッションは中断されまし」
た、 時間 折り目のついた、
(キーワード)鳥・カーテン・水・コップ・壁・灰色・肌・はだし・白い・音・窓・窓際・またそこから想起されるすべての祈り、

朝 ....
頂点は たやすく折れて
なだらかな草原があらわれる
ぶっころすぞ ときみは笑って
ななめに とがった歯

あしたになったら きっともう探せない

うそみたいだね
うそみたいだね
きみ ....
水たちは
むつみ合って
盲目の昼間をこえていく

青とも赤ともつかない激しさを湛えて
おそろしくさむい夏のうえに
あなたは骨みたいに立ちつくし
透明に透明を塗り重ねる
世界は頭から窒息する、
いま尾びれがさいごのふるえをして、
そして
天使の絵をくれた
女の子は
七年たって
三度堕胎を経験している
嫌いな子の
上履きをなげすてたあの子は
ふたり目の女の子を妊娠している
あかい眼鏡をかけていたあの子とか
いつも違う ....
プールをつくった
朝 手をどろどろにして
四角く つめたい プールをつくった

君を浮かべる想像をする
想像のなかで
君は元気に死んでいる
夜空に
虎たちはみごとな円を描いた
あなたが笑ったので
電波は世界のすみずみを叩いた
たくさんの点で構成されるあなた、
膨大なたんぱく質で構成されるあなた
この世のなにかが
まぼろし ....
はるな(1799)
タイトル カテゴリ Point 日付
波のあと自由詩413/9/29 23:42
自由詩513/9/29 0:44
自由詩213/9/29 0:33
水をかためる自由詩1013/9/26 21:14
ドーナツその3自由詩313/9/26 19:10
チーズ・オーブン自由詩413/9/26 19:07
何もかものかわりに自由詩313/9/25 20:52
かまう自由詩1213/9/21 23:23
かげろうみたいに自由詩213/9/21 23:19
気配自由詩113/9/20 23:23
金色自由詩6*13/9/18 13:40
階段2自由詩413/9/17 22:04
反射自由詩513/9/16 23:27
眠たいからだ散文(批評 ...213/9/14 8:40
もうだめ自由詩313/9/11 9:38
三角自由詩413/9/6 0:12
あらし自由詩413/9/5 18:17
自由詩413/9/5 18:08
自由詩213/9/3 16:25
91散文(批評 ...313/9/1 16:09
いよいよのふたり自由詩1013/9/1 12:03
バスから自由詩213/8/31 10:17
ゆっくりと腐りはじめる自由詩513/8/31 10:11
000002自由詩113/8/30 10:02
ギター自由詩113/8/28 13:27
沈黙自由詩313/8/28 10:32
とうめい自由詩313/8/27 15:16
日曜日の雨自由詩713/8/25 13:07
プール自由詩213/8/24 8:00
まぼろし自由詩913/8/21 20:01

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