酷暑の最中だったが、脳髄に氷水が流し込まれているみたいに冷めていた、体温や体調のせいなんかじゃない、俺がそこにどんな感情をも持ち込むことが出来ないせいだ、必要最小限の自分への命令、下手糞な機械の模 .... 何度も寝返りを打ったのに結局眠ることは諦めた、ノーステッチのブラックジーンズ掃いて真夜中に繰り出す、目的を失った連中たちがダンゴムシのようにビルの影で丸まっている、落伍者たち、でも快楽で帳消しにな .... 日々は痴呆症のように過ぎる、こめかみを強く押しながら昨日の夢を思い出そうとしている、連続する無、連続する退屈、ともすれば永遠にでも続きそうなそいつを断ち切るために今日になにかを残したくて叫び始める .... 異国の船は沖の無人島の側で沈んだってノイズだらけのラジオが言ってた、本来はアウトドア用のロングチェアーにもたれながら、海水をたらふく飲んで死ぬのはどんな気分だろうと俺は考えた、大量に飲むと気がふれ .... 色褪せ、解れ気味の痩せ細った卵巣に宿った鼓動は産まれる前から眉間に皺を寄せていた、それが俺、それが俺さ、俺の胸中は初めからポエジーに寄生されていた、やつは俺の視神経と血管の幾つかまで根を張り、俺の .... 懐かしいロックンロールの残響がまだ耳の中で鳴り続けている、俺はなにも過去にすることがない、すべてが同じ密度で進行し続ける現在の中で生きている、分かるだろう、俺はただ書き続けるだけさ、自分が始めたこ .... 藍色の悲観主義が窓枠と一緒に錆びてる、デカダンスは周回遅れだ、何かを突き詰めて探そうとすると必ず時代遅れだと揶揄される、連中はどんどん頭を使わなくなっているのさ、初見で判断出来るものだけで現代社会 .... 鼓動が意識の中で反響している、その響きは強過ぎてどれが最初の音なのか感じ取れないくらいだ、意味の無い疲労と焦燥の中で、その僅かな振動に糸口を見つけようとしていた、流れを変えるのはいつだってそういう .... 擦過傷に滲む薄い血のような光が時折目の端にチラついていた、少し水分を取るべきなのかもしれないと思ったがまだそうしたくなかった、日曜の午後は果てしない熱と退屈の中で軟体生物のようにのたのたと過ぎ去ろ .... 歪んだ燭台の中の左手の小指の先端の骨はすでに黄色く、そこでどれだけの時間が流れたのか見当もつかなかった、一匹の大きめの蟻が意味ありげにそのそばに留まり、しきりに触角を揺らしていた、石で作られた建物 .... 明け方の悪夢が目を覚ましてからもずっと漏水のように滲んでいる、それは猛烈な夏のせいだけではもちろんないだろうし、まして狂いかけた脳味噌のノイズのせいだけでももちろんなかった、正気の方が狂気よりもず .... 時間は降り続ける針の雨だ、すべてが的確に俺を貫いては床を鳴らして消える、概念的な血みどろ、底無し沼に踏み入ったかのように身動きもままならない、それは痛みには思えなかった、それは傷とも思えなかった、 .... 脳髄に寄生して根を張った狂気が頭蓋を穿孔しようとしていた、俺はいつだって自分のことを確かめようとしていたが、確信に至るフィードバックはどこを叩いても得ることが出来ず、諦観の中でただ成り行きを見届け .... 放置された骨組みだけの車のそばには細やかな花が咲いていた、二十年も前にそこで中年夫婦の心中があったのだと聞いたのはつい最近のことだった、シートが二つしかない、クラシックカーのようなシルエット、車種 .... 朦朧と彷徨う午後を適切な言葉で語ればどうにか恰好がつく気がして、汗ばんだ肌の不快感は無視することにした、太陽はかろうじて顔を覗かせている程度で、圧倒的な湿度の高さがすべてを塗り潰していた、真っ当な .... 感情は初めから歪んでいた、自分以外の誰かと居ると誤差ばかりが目についた、おそらくは幼いころから、欲しいものははっきりしていた、でもそれをどんな風に話せばいいのかわからなかったから詩を書くようになっ .... 細い光と目蓋の痺れ、サンドノイズの残響と湾曲した夢の欠片、不器用な蛇のように身体を捩じりながら、無意識に目覚めを追い求める、眠り続けていた時間の蓄積、宿命的な停滞、かすれた喉が覚える今日の空気、無 .... 望むとか、望まないとか、そんなもの、特別人生において重要な事柄でもないだろう、何の意味も無く道端でいきなり切り刻まれるやつだって居るさ、夢を見続けるやつなんて阿呆だ、だけど諦めを達観のように語るや .... 囀るな、囁くな、嘯くなよ、腐肉に群がる小蝿や蛆のような薄汚い愚民ども、俺の人生にお前らを相手にしてる暇はない、俺がこの世界で息をし続けている理由はただひとつ、容赦ないポエジーと相対するためさ…あら .... 伸び過ぎた髪を手早く纏めたら
企んでる顔でこちらへおいで
裁きを受ける覚悟なら出来てる
ひとつやふたつの傷なんて些細なことさ

嵐のあとの
老い先短い湖を飛んで遊びながら
朽ち果てた ....
静物たちは沈黙し続けながら俺たちの詩を見届けようとしている、きっとやつらにとっては一番興味深い現象なのだろう、そしてそれは余程の例外を除いては滅多にお目にかかれるものじゃない、当人の俺たちにしたっ .... ディランが何やら小難しい歌を喚き続けているのでハイウェイの方に近付くのは辞めにした、そもそも騒々しい場所はもとから好きじゃないし、道もあれこれと入り組んでいる上に一方通行も多くて面倒臭いことばかり .... 晴天の空に爆撃の幻を見た、川に架かる大橋の上で…川面は誘爆のようにあちこちで煌めき、目覚めたばかりの俺の網膜を何度も刺した、西からの強い風が身体を煽り、まるで何かに急かされてでもいるように向こう岸 .... ありのままの僕で居ることは恥ずかしいことだから
柔らかい花をたくさん摘んで
外壁のそばですべて枯らせた
美しいものたちがすべて藁のような色になって
崩れては風に乗って少しずつ消えて行ったよ ....
街に隠れた風を探して
暑過ぎる空の名はブルー
コカ・コーラの看板の前で
昔好きだった子を思い出す

エジプトから来たパフォーマーが
ピラミッドの精霊を真似ている元ダイエーの廃ビル
僕は百 ....
慟哭は泡上の海に沈殿して行く、死後硬直のあとの眼球のような濁りと共に、ソプラノで鳴く海鳥たちの忙しない鎮魂歌、灰色の空に灰色を足していく、自傷癖の鮫が血を求めている、雷が遠くの空で擦過傷のように瞬 .... 瞬きの中に一生を見つけることがある、奇妙に開かれた朝、俺は薄暗い歴史を抱いて合成レザーのソファーの上で小説を読んでいる、壁掛け時計はずっと動いていないように思えるがその存在を忘れている間に数分針を .... 痩せた猿が誘蛾灯の下の小さな檻の中で陳腐な引用と比喩だらけの言葉を吐いていた、のべつ幕なしに並べ立てていたがそれは一言も俺の興味を引くようなものではなかった、生まれてこのかた名前も聞いたことが無い .... 落ちぶれた世界の歯軋りが俺を眠れなくさせる、飲み干した水の入った、コップの底に張り付いていた潰れた小虫、排水溝の向こうで今頃、呪詛を吐き続けているだろう、小さいから、弱いから、儚いからで納得ずくで .... 誰の耳にも止まるよう鎮魂歌は轟音で鳴らされる、崩落した世界の底で見上げる太陽は一番輝いている、絶望や失望と戯れるうちそれが主食かと思うようになった、どこを歩いても腐敗臭ばかりさ、自尊心が内容を ....
ホロウ・シカエルボク(1205)
タイトル カテゴリ Point 日付
噛みつきたいのなら牙をまず綺麗に研いでおくこと、そして迷いな ...自由詩3*24/8/26 22:19
ロスト・チャイルドは未知なる世界の為に変異種的な成人をする自由詩1*24/8/25 16:45
レコードの溝の数自由詩2+*24/8/24 21:45
沈没船の内訳は君のように俺のように自由詩3*24/8/22 18:11
Parasitic 【P】自由詩2*24/8/20 21:41
War is Ever自由詩1*24/8/17 23:37
チューニング・ライフ自由詩2*24/8/15 22:06
俺は初期衝動を持ってる自由詩2*24/8/13 21:48
ピエロのナイフ自由詩2*24/8/11 21:41
渇いた夢自由詩3*24/8/4 12:30
深海のモノローグ自由詩3*24/7/28 22:22
途轍もなく赤いキャンバスが垂れ流す言語自由詩3*24/7/21 0:46
Egg Shell(脆いが硬い)自由詩3*24/7/14 15:12
怪談自由詩2*24/7/7 13:53
PAC-MAN自由詩2*24/6/30 16:33
初めから舗装道など選んで歩くような人間じゃないんだ自由詩1+*24/6/22 15:00
miscellaneous valves(その他のバルブ)自由詩1*24/6/15 13:27
torrential rain自由詩2*24/6/9 21:28
sealed自由詩3*24/5/31 22:04
ふざけた世界にさよならを自由詩5*24/5/25 22:58
散らばった骨はひとつところに集めておけばいい自由詩5*24/5/19 21:39
Desolation Angel自由詩3*24/5/15 17:52
ホワイト&ブルー自由詩3*24/5/12 10:55
いつか、まあ、そのうち自由詩2*24/5/4 12:38
walk away自由詩3+*24/4/30 21:03
泡(あぶく)自由詩1*24/4/29 22:04
蜥蜴の行方の先の素描自由詩2*24/4/20 17:05
痩せた猿が誘蛾灯の下で自由詩3*24/4/11 22:07
手遅れの手前自由詩6*24/4/7 15:16
bad religion自由詩2*24/3/31 14:50

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