切り取られた野菜の端ばかり集め
冷蔵庫中腹で開かれる品評会で
腐りかけの指先で絶命した人参を転がす
朝は降ってこない
あるのは催促の声と模範囚ゴーレムの動かす
さえ箸の音である
 ....


おみくじを長く振ることが年々長くなっている
結局は運任せになんてしないのに
何かに縋ろうとする癖は未だ身体に呪いのように浸透しており
結果によって他人に及ぼす子供じみた態度も直らず
 ....


慣れない装備で入った海で大火傷を負った
分け目連邦から連なる頭皮は奇しくも膿み
連日黄色い溶岩を滴らせる
枕までまるで古竜の鱗のような 翡翠のような
黄色く血の混じった鉱石を採掘する ....


指先に記憶が宿るように
Googleキーチェーンに残さない現代詩フォーラムのログインID
ふと ふいに 一年に数回だけ試したくなる
もしまだログインできるなら
また一つ何か産めそうな ....

油の切れかかった自転車をゆっくり蹴りながら
初夏を孕んだべたついた風を浴びて夜道を滑走する
切れかけたワイヤレスイヤホンはぶつぶつと呟き
月は電池が切れるのと同時に空に喰われる

昨日 ....


風呂場の水滴がいやに響く
三日前の飲みかけたサイダーは部屋の隅に追いやられ
隔離された部屋からは
寂しい獣の唸り声が響く

隔離期間は

連帯責任のように押しかかり
社会が ....
ふるえる液体のように言葉をこぼす

その重なりの中のささやかな日常

計測地点からの風景

穏やかに心を柔らかくする

秋の夕暮れ、日差しの降った跡

乾いた血液はさらさらと夜 ....
緩やかな線をなぞる
夏の緑は柔らかく
重い湿気を帯びた風はどうしたって
髪の毛に重くまとわりついてくる

懐かしい、
日焼けした屋根の淡い色々と
建物の隙間から日焼けしたセーラー服が覗い ....
脳みそを溶かすような金麦のジュワっとした喉越しに
今日の海を溶かし、流し込む
夏の味だって、まだ梅雨真っ只中だけど
スイカの匂いと塩素のつーんと痺れる感触が瞬時に思い出される
夏、というワード ....
早朝の総武線快速のホーム下り列車を待つ
自殺防止に設けられたガラスに鈍く、私の足元が映る
ふと、地元の塚に立つ墓標を思い返す
戦争で亡くなった英霊を祀る、神聖な墓標
その横に無縁仏を祀る墓 ....
わたしのおとがする

ぱきん、と乾いた音を
体の内部で何度も繰り返している

それは再生で、
あるいは破壊で

それはひたすら鳴り続け
透過したわたしの身体を
繰り返し
 ....
細く、ほそく
こまぎれになった星屑の

言葉を発する前の かなしみに

溺れた夜の むせかえる
せいし のかおりに

顔を 埋めながら

わたしの夜を 越えてゆく


ひたす ....
呻いている。
ただひたすら、呻いている。

枯れ果てて死んだ、
ひび割れた大地に
立ち竦んでいる。

風はびゅうびゅうと髪を乱す
口の中に砂が封じるように入ってくる。

血 ....
クリームソーダのグラスの中に
魂を浮かべて 眺めている
緑色の光を吸収し 揺らめいている
僅か21gの概念




あなたが最後まで探していた神様は
結局どこにも いなかっ ....
短い髪の毛を揺らして歩くセーラー服
単調な音を鳴らすしまむらのスニーカー

畦道の傍らの、コンクリートに転がった
蚯蚓の焼き尽くされた死体が
まだら模様に広がる夏

自転車の回転 ....
「きょうのあなた」





昨日は 自動販売機
今日は ミルクせんべい


毎日変わる お気に入りを
クリームパンのような手で
かかえながら


まんまるくなっ ....
自粛期間が明けてから
私の腹にジッパー付きのチャックが
度々現れるようになった

それは外側からも 内側からも開けられる仕様になっており
たまに内側から少しだけチャックが開き
体内から何か ....
吹き上げられた蜻蛉の、
羽に浮かぶ無数の生命線をなぞる

うつくしい、夜の前の空は脈々と
埃のように舞わせ 焦がしてゆく


 背中に彫った 哀しみの中に

 心臓をひとつ、 ....
琥珀色のぬらりとした
リボンのようなハエトリ紙を
白い壁の間借りした部屋に垂らす

夕焼けに光るそれはまるで
蜜をたらふく蓄えた大樹のようにみえて、

懐かしい実家の情景を誘って ....
白いカーテンの揺れる部屋は
少し黴臭く、湿っぽい
レンタルベットの軋む音の中に
心臓だけになった母親は 小さく呼吸を繰り返していた

はじめて母親の大きな身体が剥がれたのは 小五の夏休みだっ ....
この道の
最果ての夜明けで
または、
赤い月の落ちる砂漠の中心で、

裁断用のハサミで
制服のスカートを切りあおう

か細い指で、ずっしりとしたハサミを持って
瑞々しい太腿を切ら ....
鍵をかけて、

夕暮れの、まだらな空を閉じ込めた
マジックアワーと君の境界線がぼやけて
滲んでいくよ、私の目の前で

蜻蛉が 飛んでゆく
飛行機雲の上をなぞって 飛んでゆく
左手の缶チ ....
午前四時と五時の間で世界は更新されている

深夜帯を泳ぐ
腹の膨れた子供たちの
ざわめきが 液晶越しに
蜃気楼のように 揺れている

更新ボタンをクリックしても
残像はどんどん ....
なんでもない 大切な日々ほど
こぼれ落ちた時に自分を彩る色になる
そのことに気づかないで 歩く日々ほど
虚しいものはない

わたしたちは

言語を音以外で発することはできても
心に留め ....
片田舎の単線はこころの隙間を
ゆっくり増やしてゆく時間がある
まるで泥水のなかを泳ぐように
深くヘッドフォンを刺す

信号のない、点滅した街の
壊れたコンクリートの道を
みんなに ....
あるのかないのかわからないかみさまの
偶像に思いを馳せるよりも
台風の後のオレンジ色にひかる
空と雲の中に よっぽどかみさまをかんじる

奇跡なんて信じていれば
起きるわけではなくて
傾 ....
子供を産んでしまってから
私の悲しみも羊水と流れていってしまったようで
鏡の中の自分に呪いをかけられている日々から
いつの間にか救われてしまっていた

陽光の、
緑の丘に置き忘れた腐った右 ....

発泡酒のプルタブを引くと、パシュッ、っと小気味良い音がする。
慌てるように口に含むとそれは、命の流れのように食堂を通り、胃へと収納される。
濡れた髪をガス屋に貰った安く薄いタオルで拭く。
 ....
今年の夏はとてつもない猛暑で
すでにたくさんの蝉たちが羽化をしている

私の子供たちは、ぼこぼこと土にある蝉穴に
足しげなく通い、
小さな穴に足を取られては、蝉のようにミンミン笑う
 ....
re:re:うまれたてのはなし

さんかい命を吐き出して思ったことは
男の子は血生臭く
女の子はとにかく無臭だということ


わたしの血液から絞られるおちちを飲んで
やがて、わたしの内 ....
ゆるこ(176)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
飽和文書グループ09/8/21
投稿作品
さいはて に至るまで02自由詩324/1/21 23:22
さいはて に至るまで01自由詩324/1/5 9:10
自由詩223/7/19 10:26
ログイン自由詩023/5/14 20:13
2022年5月16日自由詩322/5/16 23:06
隔離期間につき自由詩022/2/18 20:27
cycle自由詩321/11/24 18:32
シャッターチャンス自由詩321/8/4 6:25
夏は海に浸かりたい自由詩4*21/6/23 21:22
ある朝自由詩121/5/12 8:58
わたしのおとがする自由詩120/9/8 0:48
それは一瞬の淀み自由詩020/9/3 22:53
怒り自由詩120/7/31 13:16
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re:re:うまれたてのはなし自由詩418/6/20 1:19

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