ゆるこ



慣れない装備で入った海で大火傷を負った
分け目連邦から連なる頭皮は奇しくも膿み
連日黄色い溶岩を滴らせる
枕までまるで古竜の鱗のような 翡翠のような
黄色く血の混じった鉱石を採掘する朝
頭の岬から爪先の港まで青く ひたすら青くなりたかった
私のささやかな目論見は残念ながら叶わなかった

青くなりたかった
目線の先のもの 全て青く 
あの日の渋谷の朝 新宿の午前四時 オールした原宿の熱の籠った湿った匂い
眺める度に青く流動する 明け方に戻れるように

海に溺れていた脳髄 視神経 指先まで一つ一つ
美しいほどの青に今焦がれて 痺れて 堪らなくなっている


色が抜ける度に私の命が削られ
内臓も侵食されていってしまっている気がする
自分を保つ機構はすでに別の生命体に乗っ取られている気がする
そう、全ては気のせい 気のせいなんだと呟くたび
泣けてくる
塩水ではなく真水になってしまった涙
舐めてもただの水分で 熱中症を疑ってしまうくらい
うんでしまった あぁ。うんでしまった
なぁ。




自由詩Copyright ゆるこ 2023-07-19 10:26:15
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