朝、
昨日から引き継いだ生まれたままの私が更新する
貪欲に蝕まれた薄いオブラートを剥しながら
ぬらぬらと光る透明な体液を余すところなく全身に浴びながら
 
 
太陽に焼き付くされたの ....
 
 
(光が螺旋状にぐるぐると会話する)
 
その隙間を縫う私のみぢかい睫毛から
つまの先まで零れ落ちる
硝子のような、泥のような記憶の断片
押しては浅瀬に引く、気持ちの悪い浮遊間
 ....
 
 
 
冬に咲くのはきみの唇だと
空白の中に卵を生みながらつぶやいた
寄生虫みたいに
吸い付くの
 
がらんどうなのは
私の視界だけじゃない
昔から振動を繰り返す脳は
電波を ....
 
 
無知を笑う
それこそ最大の無知だと 君は知っているのか
ポルカのようなその微笑みで
借りた言葉を説いても意味はない
 
滲み出る/液体窒素の
その瞬きに
君の全能は埋め尽くさ ....
 
 
 
私に手を掛ける三分前
あなたの世界は破裂したのだろうか
どろどろとした緑を排出しながら
あなたの世界は破裂したのだろうか
 
 
私とくちづけを交わす三分前
あなたの世 ....
 
 
わたしの、からだが
このくうきのなかで
そだって ゆく
うごめくその べつじげんのせいめいたいに
なにか ふるえ、
 
 
 

 
 
彼女は夏に生まれた
しず ....
断片的な言葉を掴むと
空気がぶるる、と振動する
それは、小さな彼の心臓の鼓動と似ていて
わたしは目一杯だきしめてしまった
 
茜色の夕日が 宇宙に恋をした
その夜に 幽霊たちは消えてしまっ ....
 
 
透明な 呼吸を繰り返す
小さく脈打つ 心臓を感じながら
遠くの空を飛ぶ気球や
赤く腫れた水分を思う
 
地球とひとつになれた朝
結合部分からはマグマが流れた
やがてすべて 包 ....
 
思考でパッチワークをしても
なにも暗躍しない
鉛色の空は重く、冷たく
影法師を縫い付けては、体温を奪う
 
視力が落ちた日の朝
妹は聴力を失い
お母さんは足を失った
お父さんは肝 ....
 
砂の神様が遊ぶ町
子供の人形が溶けて舞う空
誰かの吐息や、タバコの煙すら
その空気に必要のない、神聖な領域
 
踏み締めたガラスにつまづいた少女は
どのまどろみに消えてしまっただろう ....
 
 
虚言癖の少年が膝を抱えてロッカーに沈む
鏡の中で暗闇を笑うその唇は月の鬱屈に鳴く
空白は色を失った兎のようにふらふらと漂う
滑る黄色を懐かしむその瞳に痛みをそっと、
 
 
  ....
 
 
何かを焦がしたにおいがした
夜の地下鉄、猫の鳴き声
嘘つきの街が影になり徘徊を始める
九段下、ナイフ
 
薄く切り取れば
なにもかも見えるのか
君の腹の中白すぎて
なんも見 ....
 
 
地元の駅が凍ってしまった、
夢をみた
誇張する胡蝶みたいにこちょこちょと
わけのわからない言葉を
おばあちゃんの形見を扱うみたいに優しくつぶやいた
 

ドトールのカフェオ ....
 
 
真昼に死んだ雀の葬式が埼京線内で行われた
ガタンゴトンと無機質なレクイエムに合わせて
小さく焼かれた雀がタレに漬けられて
綺麗な漆黒の皿に乗せられていた
 
 
電気の走った頬 ....
 
はるか彼方
静かな白の中で
円盤みたいに
私たち回ってる
 
ほしが生まれて、
呼吸を辞めるまで
影が夢をみはじめる
じゅくじゅくと、薫り始める
 
いお、四つ子のなかで
 ....
イヴが食べたのが梨だったら
きっと世界はもう少し潤っていたはずだ
 
乾燥肌の女の子のためのパックはなくなって
ドライアイのお父さんのための目薬もなくなって
水分が体の50%をきっても
人 ....
その飛翔を
だれかの鞄に詰め込んで
機械的な作業で
きみは缶になる
 
密封空間に
足首を垂らせば
秘密の合言葉が
世界中から聞こえてくる
 
 
透明な羽をなんども
一瞬をし ....
夏が始まった、合図は
とある田舎の公衆便所の片隅で死んだ
ごろりと横たわる、蝉の亡骸
 
子供たちは
入道雲に固形の夢を乗せ
大人たちは
ただ 暑い暑いと液状になる
 
若者は、なん ....
・パルス
 
 
知って、ほしいと
輪郭をなぞる音が
弾丸のような重みをおびで
摩擦を起こしはじめた
 
昼の夢は
空に手を伸ばす赤ちゃんが生んだ妄想
何を見つけたんだろう
空気 ....
恐ろしい絵本を読みたくて
深夜の本屋に忍び込んだ
硝子を割ったのにセコムは作動しなくて
別世界にきてしまった気がした
 
グラビアから世界地図まで
滑るように見つめていると
ふとした拍子 ....
百年かけて生み出した感情を
書き留めた産声
朝日が煌々と昇ると
夜の影は隠れんぼしてしまった
 
あさ、
 
柔らかな呼吸で暴き出した
感動は、
君のひとみに光を与えるのに
少しで ....
 
1996年
 
わたしの空は黄土色
 
乱れた線でつないだ電柱にもたれかかる緑
縁取った空気に殺意すら覚える吐息の反抗
 
 
1996年
 
嘘を血で丸めた
 
家の前 ....
点線に沿った生き方を始めて
今年で二十年になりました
僕は曲がりもせずに、1ミリもずれないで
同じ道を歩いてきました
 
時折吹く
雨の香りの混ざったぬるいぬるい風は
行っては行けない方 ....
 
悶々とした舐めるような空気の中
うっすらと汗をかき、ほてった頬を林檎にした
 
空白に紫煙を撒き散らし
群青色に染まった人々が次々と電車に飛び込んでいく最後の日
 
盲目の少女が一羽 ....
緑色の体をした
体格のいいおとこのこが
通天閣のまんまえで
しんでしまった

からすは
そう、とだけ頷いて
仕事場である住宅街に
早々に飛んでいってしまった

鋭い瞳は
 ....
乾いた瞳を泳がすと
水族館にいるウツボのように
底辺を這う
つややかな自分を思う
てら、てら と
内緒話のようにひっそりとしたぬめりのなかで
色んな鱗を身に着けながら
明日の予定を考える ....
湿った夕べ
父の洋服をたたむ
生前の匂いは嫌いだったが
今では柑橘の香りの中で探してしまう


おいおい、そんなんじゃ
だめだろう


酒と、煙草と、スルメと、深夜
私が刻む単調 ....
眠る街を滑走する孤独
ひたすら消えたくてアクセルを踏む
周波数の合わない感覚
ここに僕はいない
いや、このせかい に
 
渇望感と少しの焦躁
命が巡る、人工的な光
ざらざらと乾いた口内 ....
世界の終わりには
きみに会いたくない

 
私は一人で
近所の河原に行き
滅多にしないゴミ拾いをしたり
枯れた草の上に寝転がったりする
 
赤い赤い空を見上げ
近くのビルから落 ....
 
 
 
 
 
(こえを確かに聞いたのです)
 
黄昏時雨時のころ
ましろな空に描かれたそれは
まるでパステルピンクでお絵描きされた
小さな子供のこころのようで
 
煙草を ....
ゆるこ(177)
タイトル カテゴリ Point 日付
Waltz自由詩109/3/31 9:21
記憶自由詩509/2/19 7:54
呟く視界、瞬きのact1自由詩109/2/12 10:49
慈悲自由詩109/2/5 8:41
私に手を掛ける三分前自由詩909/1/30 9:58
冬虫夏草自由詩409/1/19 23:24
ゆめ自由詩209/1/5 23:09
ミィナ自由詩108/12/3 9:57
針になる自由詩508/11/15 8:55
閉鎖タウン自由詩408/11/8 8:07
イヤホンマニア自由詩108/10/21 23:53
自由詩108/10/7 0:01
あ き自由詩608/9/27 23:16
ミスト自由詩508/9/17 17:37
いお自由詩4*08/9/5 21:52
なし自由詩108/8/20 21:09
自由詩308/8/11 11:44
なんにもならない、夏自由詩508/8/5 8:35
feel自由詩408/6/21 0:21
命と本屋自由詩508/5/23 11:07
白シャツ自由詩408/5/4 8:14
1996自由詩308/4/21 19:47
あめあがり自由詩208/4/19 8:24
さいごのしじん自由詩508/4/9 18:30
リクルートスーツ自由詩308/4/5 8:57
社会水族館自由詩208/4/4 12:06
一周忌自由詩908/3/19 23:37
模索する深海魚自由詩208/3/16 1:17
ワールドワールドエンド自由詩108/3/13 22:22
自由詩108/3/11 13:38

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