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ねこのこえがきこえる
冬空の底のそこのほうから
窓をあけてみても
すがたはない
姿などなくても
わたしだけに届くように
ないている
てつがくなどなくても
ねこは生きていける
わたしの ....
浜町で地下鉄を降りたら
明治座を背にして
とっぷりと暮れた
甘酒横丁をまっつぐ歩く
人通りも疎らな通りを
吹き抜けていく北風が
飼い馴らしたはずのひとりぼっちを
カ ....
{引用=先攻 白組、盆暮呉吾郎(初出場)}
演歌が今宵も
今どきカセット手売りする
キャリーと苦労を曳きながら
銀座 赤坂 新宿と
ネオンとファンデに{ルビ容貌=きりょう}焼け
夢も ....
夢で逢いましょう
夢で逢いましょう
だだっ広い駒場グラウンドの
野球場とラグビー場を区分けしている並木道
両側を生け垣とランダムに生えている並木
生えているのは桜の古木
ごつごつとした ....
嗚呼、
バスタブの中で
溺れてしまいたい。
なにが有効な手なのか
わからないままに
かれは
もう、とっくに
地図に表記されていない場所にきていた
音がない
姿がない
赤い血が
ながれることのない ....
ひととひとのきょりがある
わたしたちは
こどくであるために
そのきょりをちぢめたり
とおざけたりして
こどくをいじしてきた
てんたいをふくむ
しぜんげんしょうとして
こ ....
はだかんぼうな大銀杏の木
それでも寒々しさは微塵にもなくて
なんだか凛々しい
思わずさわりたくなって
てのひらで逞しい幹にふれてみれば
生きているんだ
木なんだから動きもし ....
お代り、と言って
空の茶碗を掌に持ち
伸ばした腕がどこまでも伸びていく
伸びきったところで
祖母が茶碗を受け取って
傍にある炊飯器のご飯を茶碗に盛る
おばあちゃんのお代 ....
19時20分
マンション前の市バスの停留所に
降りる
空を見上げた
青空!
ポツ ポツと瞬く
外灯の上に
灰色でも黒に近い青でもない
青空が広がっていた
夜の青空だ
....
なんにもない
なんにもないと思うから
ひとつひとつ確かめる
自分の中を
もしこれがなかったらと
あるうちに考える
おおげさにしなさんな
お年寄りは言う
年輪ってすごいな
耐え ....
だきょう
だせい
どんづまり
1366×768ドットの檻の中で
ゆうゆうと座り込んだままの
気障な行分け文章
だみん
だつりょく
できそこない
TFTカラー液晶の眩い ....
{引用=へやがくらい}
かわいいお口を開けてりりかは考える
{引用=あのひとかえってこない
ぜんぜんだいてくれない}
埃をかぶったつぶらなお目目で考える
{引用=ふりむいても ....
東京の東の場末の少し前
相撲とりと競馬狂い
ちょっと一杯ひっかけようと、
そぞろ歩きの錦糸町南口
客引きの中国人の女やら
街頭ライブの若い子やらが
ネオンの極彩色にまみれながら
....
琥珀色のサウンドトラックが、
頭蓋骨の内側を濡らしていく
すっかり皺が減り、ツルンとした私の大脳皮質
鼓膜までねじこむイヤホンや
タイムラインを流れる電子文字で
刻まれたものが薄れ、 ....
ここ数日来の寒波で凍てついた地下鉄の連絡通路に
場違いとも言えそうな親子連れの姿
乳母車を押し歩くお母さんの脇には小さなおんなの子
お母さんの手助けと押すのを手伝っているようにみえるけど
....
風がつんざいて
熱量をうつして
新しい季節がやってくる
しがみつく指を
切り落としながら
方角をなくして
こごえる鳥
さみしがりの
喉いっぱいに悼む
星をめざして進む歌が
....
雲は
おおいそぎで手をつないでゆく
下では子供が
ゆっくりと転がしている/雪を
だるまになるまでそばにいたいよ
雲の塊
待っておくれよ
冬は
想いをカタチにできる季節
二段重 ....
三年は居ると思ったのに一年で帰ってきて
高校を卒業して都会で寮生活をしながら働いて
帰りたくて故郷に帰ったけど 親は怒った
だからお前には無理だから行くなと言ったのに
どこまでも行くと ....
世の中に流れる金を
集金することに長けた金持ちたちに
伊達直人たちはいま精神の下剋上をしている
伊達直人たちのなかに
金持ちなんかいる訳はなかった
ささやかな楽しみやみら ....
しわくちゃなので静かな紙面に舟を浮かべると
宙の上で均衡がとれるように
その点において
静置する
対になるその
たゆたう舟の影も
水底でしわをつくって静置する ....
メガネとキャスケットを身につけて
君は 書く人になる
ちょっと意地悪で
2枚目をきどった
君に
ホントは 純で
やさしくて
あったかい 人
まるで別人だ
いっしょにい ....
部屋中にしきつめられた花びらを掬って
私の頭の上で振りまいて
白い隙間から じっと見つめていて
きっと
僕らは水なんだ
低い方へ
低い方へ流れる
水なんだ
今は遠く離れていても
おなじ海に
たどり着くまで
青空に顔を向けて
無邪気に咲いた早朝
陽射しが眩しすぎて
不甲斐なく萎んだ午後
無力を思い知って
力なく項垂れた黄昏
もう夢なんか見ないと
突っ伏して泣いた真夜中
花が落ち ....
昨日さがし
今朝、起き抜けに
自分は右左が分からず
(ほんとに)
今朝、目覚めたとき
自分は表裏が分からず
自分の仕事が何なのか
すっかり惚けてしまって
濁った頭の中を
....
空が削られる
パラパラと降ってくる削りかすは
鉛筆のそれに似ている
積もることもなく
街の音を少しだけ消していく
人々は傘をさす
溶けていく空の断片を吸って
傘は成長を続ける ....
ひえきった背骨から、ひとつひとつ
きわめてあいまいに
呼吸の輪郭をかたちづくっていく
雪が降るかもしれなかった
駅前広場で、
ぼくは行き先を忘れたふりをしていた
夕飯に何を食べようか決めて ....
思えば君は
薄いゴムと縮んだ性器の隙間や
欠陥商品の微細な穴からたまたま生じた子ども
でなければ
ナマ入れ中出し好きのバカ親から出来た子どもだ
総じて我々は
無計画な家族計画や避妊のヘマで ....
ひと昔もふた昔も前みたいに霜柱立ったり
ちょっとした水溜りに氷張ったりするわけじゃないけど
それでも今どきの朝って起きるの辛かったりする
とりあえずは出かける場所があって
帰ってこれる場所 ....
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