わたしはでかけた
わたしの最大公約数を求め。
みっつのふしぎがおどる
わたしのまわりで、
しかたなさそうに手をつないで。
わたしはでかける
鏡の洞窟を通って。
おどるものたちも息をひ ....
あふれる涙に
区切りをつけて
流星たちは夜を曳く
きらきらと
こぼれ落ちずに
音も立てずに
空は、昔
夜風をながれる
木の葉のさわぎが
飛べない鳥を震わせる
重 ....
あまり器用ではない指先で黄昏時の風景を繕い始めると
粗野な一日が少しずつ整理されて見え隠れしてきます
落穂拾いのように身を屈めた姿勢は屈折した姿 ....
そんなにもきみはまっすぐにぼくをみて
うんうんとうなずきながら
まるでひとかけらのまよいもないふうに
ぼくのはなしをきいてくれる
ぼくはいままでにたくさんのことをみてきたけれど
その ....
空きびんのそこに
ひかりをいれるやりかた
まくらについたにおい
夜のしみついた
空きびんのそこにある
ひかりみたいに
安っぽく
安らかで
失われやすい
性質だったな
....
くもらぬ声で
ささやく物語が、愛
結末は
かなしくても
信じるしかなかった
瞬きの間が、愛
傷んだものは
そのままにしておくことが、愛
差しのべる手も、愛
叫ぼう ....
友へ
こころを寄せて
手紙をしたためています
わたしのうしろで書かれないものたちが
茶化して耳をくすぐります
フェルメールの筆は光の代用
ずっと見ていたかったのに
わたしは弁明しなけ ....
旅立ちは賑やかだ
大皿に盛り付けられた笑顔と
色とりどりの激励の前で
あくまでも清々しく感謝を歌い
覚悟の靴紐を適当に結んだら
潔く見えるように出発しよう
旅立つ者の不安は誰も ....
わたくし 妖怪 おもてなし と申します
わたくしの体のほとんどの部分は 水なのでございます
人間の水分量は六割だそうですね 人って よくそれで生きておれますわね
たわいのないことを地獄 ....
9月
真夏日
ロックミシンと
直線ミシンに
電気を通わせる
いくつもの
ささくれだった傷を接ぐように
激しくも繊細に
針を打ち込む
壁に拳を壊す
いくつもの
波を立てる
....
わたしたちは知らない
夜の闇のいちばんふかいところで
じっと目をとじ 夜をつむぐ
夜の織り人がいることを
あらゆる夜の恩恵をもたらす
ものを語らぬ夜の織り人がいることを
夜のしずけ ....
わがままなあなたのReは愛しても
まだ足りないと盗みいるひと
雨の夜は朝がこないとテレビのなかの猫たち
雨でも散歩はできるよね、と
傍らのちいさな犬はぽつり
おやすみが言えなくな ....
きらきらひかる
ほしをさがした
ありがとう
わすれてないよ
こうして
あたたかいてを
うばわなかった
おほしさまは
ふりそそぐ
なかないで、
追加の勘定を弾ませて帰る還り道。
黒ずんだ木の隙間から
偽者のような、嘘のような小動物。
伺い知れないでいるのは
どことどこの
どちら様だろうか。
挨拶を証明するような時期は
と ....
夏が去ったあとのがらんどうに
いつしか白く大きな九月階段が出現していて
そして僕らはその段々の上に
蒔かれたように腰かけていた
ただそこで空を見あげていたり
何かを読んでいたり
歌をうたっ ....
秋になったのに
秋を受け入れられなくて
半袖の腕を
抱きしめて立っている
もうそこに
真っ白な季節をみてしまい
ゆれる木々の
変化すらみていない
まだこない季節でばかり
過ご ....
暗くなる前から隠れる所を捜した
冷たい風を避けて 二人は草の茂みに潜んだ
ざああ ざああ 荒れ気味の風が林檎畑を走る
強い風に羽があおられて もっと草の奥へと
二人は入り込んだ
夜空 ....
どうにも悲しみで凹んでいるので
エポキシで盛ってみたが
今一つ盛り上がらない
平坦に戻すために
400番をかけてみたが
今度は荒れてしまった
目を細かくして
ゆっくりと順番に
....
バッタがぴょん
土手道よこぎる
バッタばったり
ぴょんぴょんと
とんぼがスイ
稲刈る田んぼに
とんぼとんで
スイスイと
小石がぽちゃ
静かな川面
小石濃い清水に
ぽっ ....
誰もいない
そこに何もなくなったのかもしれないと思う
何故だろう
言葉は無力だ
詩はどこにある
詩は どこに
だけどこうしていることに意味は何もない
そして 詩は書かれる
....
湿度にとらわれた熱量が
肌にまとわりついている
エアコンは嫌いだ
あの冷やりとした
微かにカビ臭い風は
地下の駐車場を思い出す
軟らかにしなだれる
段ボールを思い出す
寝苦しさ ....
忘れないで
と言うには
遠すぎるし
忘れて
と言うには
近すぎる
出会わなければ
と思うには
おだやかすぎたし
会いたい
と口に出すほど
捨て身にも
なれなかっ ....
海のように
とおくに流れる風をさらってきたりはしないけど
湖のように
ずっとおなじそらを映しつづけるわけでもない
川のように
あふれたものが自由になるぐらいがちょうどいいね
....
あなたとさようならをした日
最初はとても晴れた日で
いなくなる日は
ほんとうにたくさんの雨が降った
{引用=
ばいばい
ばいばい
}
あなたはたぶん
そんな言葉知らなかっ ....
よくみられたい
よくおもわれたい
少なくとも嫌われたくない
そんな鎧は
いったん着てしまったら
脱げないよ
いらなかったのに
そんな鎧をいつから
着てたんだろう
重いのに
脱げ ....
熱がある時に観る
テレビのような現実が
頭の端っこで丸くなって
きれいに瘡蓋になる前に
剥がして/痛がって/泣いている
・
彼女は晴れの日でも傘を差している
雨を異様に怖がっているのだ
酸性雨を浴びると体が跡形もなく溶けてしまう
という話を子供のころに聞いて以来
ずっと信じているらしい
雨が降り出してから差 ....
からだがなかなか
かわかないので
手当たりしだいに
夜をあつめ
からからのからだを
あたためている
あたためている
そのうちに
いままで使った
うそや悲しみが
いっ ....
陽も暮れきった午後六時
買い物メモを持って靴を履く
切れているのは醤油
それから時計に入れる乾電池
八時には夫が帰宅するので
急がないといけない
台所にはやりかけのパズルが広げてある
電 ....
きこえる
ひかりがきこえる
波打ち際に
わたしは耳を置いてきてしまった
遠い日の
あなたが歯をみせて笑ってる
くりかえし
....
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