物陰にひそんでいる、一頭の
  動きののろい獣をみつめるみたいに
  流れているのだろうか、ぼくにとって
  あの時間もこの時間もどの時間も?


  不揃いの靴たちの
   ....
    きさらぎは昼さがり
     北風の挑発もなく
    ふゆびのさざなみは
ベランダのひさしをすどおり
 やわらかなひかりとなって
 おだやかに三和土のうえで
  尾っぽを引きずっ ....
海に行きたい
夏の海に

あなたとの強い想い出の大抵は冬で
冴え渡る多摩の空の下から富士を望んだり
電車に揺られ詩的なものを探しに出たり
さよならを言えずに雑踏で握手を交わしたり
冷めな ....
  蓬色の夜、
  つぶれた{ルビ褥=しとね}に居て
  夥しい数の接続詞らが
  わたしの躰の至るところで
  いっせいに哄笑をはじめたので
  何か 訳のわからない一塊の
   ....
コンビニの駐車場と壁沿いの喫煙所の側で
畑とその向こうのアパートを背景に
ひなたぼっこをしている2匹
にゃー
にゃー
細く甘えた声で私たちを見上げる
にゃーっていってるね
2歳の子の ....
そして
翳りなく空はかがやきを増して
ゆくりなく月日をもちさる
あなたの舵でもって



トー
という音がきこえて
それは地鳴りのようでもあった
つられて飛びたつ鳥 ....
  秋晴れの
  空に、境界線
  ……らしきものが浮遊している
  長いのも短いのも 互いに絡まり合って


  私は 時期外れの薄着をはおり
  アイスクリームを食べながら人 ....
夢の尾はいつだって手からすべりはなれてゆく
そして明けて
朝、
つかみそこねた少し乾いたその手触りを思い出している
どんなにこごえても
血液は凍らないやさしい不思議だとか
たとえ凍ったとし ....
  裸の男が
  岩をかかえ
  緑色になっていく


  渚は
  ほそく長く続く
  多くの声や
  魂にまみれては
  かなしむ
花一輪、波紋を作るみずうみにたゆたう心七月の舟


摘み捨てて赤い花ばかり選んでは水辺の恋の淋しいあそび


白い鳥飛び立つ果てに海がある君の涙をもとめて遠く


いとしくて細い指さ ....
さいはてたい

わたしは 流しの くだ から くだへと。


どこから きた ということも知らずに、

やんだ水溜まりの先に、青い、

それはそれは青い、透き通った空を視る。
 ....
一面の海。一面の空
波の飛沫のとどかない中空の城

折れた七節を
秘密の糸で縫って
生き返ったと
誇らしげなきみに
魂について説く

きみより多くを知る道理はあっても
深く ....
消えない泡と見えない泡が
手をつないで終わりを見ていた
おぼろな背中 光の蔽い
けだもののかたちの曇を見ていた


指を灯す指を絡め
指を照らす光を見ていた
歪ませ ....
リップバンウィンクル


目覚める 焦る
行けるどこへでも
なのに何にも忘れれん






やだね


やだねやだねえ
野次を飛ばして
足組んでビール
自分の ....
知識の果実、による
異常肥満の精神
に、は
揺れる火が怖い


聖堂は黙す
ひざを折る彼、の
芯を修繕することを
慎ましやかに受け入れる


となりに並ぶ彼女の
骨の ....
愛していると言うたび
黒ずんでいく道を歩く
盗んだ砂糖でパンを作った
明日は砂場を埋めにいく

今日はいちにちくもり空だった
生ぬるい空のしたにねそべれば
生きていることを忘れられる ....
その日は
お花見の桜より うんこの話のほうが 
うつくしかった
お隣さんが用意してくださった花見弁当を囲んで
いっしょに 盲の方と お花見をした
お洒落な桜色のスカー ....
人 人 おまえは
ひと
噛み砕き
噛み砕かれ
野にあいた
暗い穴の淵に横たわる


天気雨
小さな蜘蛛が隠れる場所
風が
少しずつ少しずつ
強くなってゆく

 ....
ため池は空をうつすが
空はため池をうつさない

涙と呼ぶには
あまりにもふかい緑色のなかを
どこまでもどこまでも進んでいく
夜の中で意味が冷えていく
わたしは知りながら傾いて
もう少し影を濃くしようとしていた

ふるいうたが流れていた
それとも口ずさんでいたか
どちらにせよわたしたちは小さすぎた
隠しごと ....
最後の日に神がのたまわり文字を走らせる
全ての血と肉や
まだ見ぬ命はあらゆる予言を生むだろう
すべては若者となり
すべては具現化し
すべては老いぼれとなり
やがてふやけた夢を見るだろう
 ....
 
動物の名前を書いていると
人がやってきて
他人事みたいにほめてくれる

交差点のあちらこちらでは
初夏が観測され始め
立入禁止の札もまた
ゆっくりと音をたてている

このまま一 ....
新緑の木漏れ日
雨上がりの朝
ひとの気配を飲む森
まぐわうように
愛をからませて吐く息
命の匂いに満ち満ちて止まない
そんな五月のように私たちが求めて止まないころ
得ようとしていたもの
 ....
  さむい納屋のなかで 菫色の図形が
  次第に数を増していく 害のない菌のように
  いつしか 石塀から剥がれおちた 西陽のつくるあなたの影
  それは いつまでも 母屋の外に置かれた ....
青い扉の向こうに
雪原が広がっている
かすかなノイズ
そのなかに紛れるように
一頭の白い馬
あれはあなたが放した淋しい夢だ


指で触れて
夢だと知りながら
その長い首を抱きしめる ....
握られ
ねじられた硝子の器から
水があふれつづけていた
指のかたちの溝を
無音が浸していた


樹の傍らに立つ鏡
どちらにも在るもの
片方にしかないもの
片方から片 ....
猫砂に埋もれた二人の思い出は
一部は綺麗に乾涸らびて
形だけくっきりと存在している

一部は砂がかけられずに
異臭を発して、未だ砂の上の鎮座する。


軋む心と身体を引き摺って
ほん ....
あなたは笑っているのか
どこにいてもわかるお日様の声

私たちの心臓は揺れていて
駆けつけたい気持ちではちきれそう
あなたの詩は泣いていて
文字をなぞれば指が濡れ
ゆき場の無い塩水が光っ ....
暗闇の中で
夜眼のきかない私たちは
離れ離れになり惑い
不安げに歌を口遊む
重ならない音
不協和音が大気を揺らす
世界中が苛立ちで満たされる


もっと明るいうちに
互いの眼 ....
目立たぬようにまとわりついてきたあなたたち
こんばんは
眠れないので話そうか

寝返りを打つたびに首の汗を拭う
空腹
泳ぎくたびれた金魚
月の無い窓際
控えめな秋の羽
消えゆく蝉 ....
あまねさんのおすすめリスト(2020)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さよならなんて云えないよ- 草野春心自由詩3*16-2-16
色鉛筆①- 信天翁自由詩316-2-9
2016SS- たちばな ...自由詩14*16-2-5
shitone- 草野春心自由詩416-1-31
にゃーにゃー- たちばな ...自由詩11*15-12-2
光と時間- しもつき ...自由詩15*15-11-4
sakai- 草野春心自由詩215-11-1
ノースバウンド- そらの珊 ...自由詩1915-10-31
nagisa- 草野春心自由詩315-10-25
水辺の恋- 石瀬琳々短歌6*15-10-21
さいはてたい.- つきのい ...自由詩515-10-20
中立- mizunomadoka自由詩615-10-19
棄天使の地図- 木立 悟自由詩715-10-19
さびき釣り- もり短歌2*15-10-18
承認のサンクトゥス- うわの空 ...自由詩515-10-16
砂場- はるな自由詩315-10-5
うつくしい_うんこ- るるりら自由詩22*15-10-3
水へ_水へ- 木立 悟自由詩515-10-3
緑色- はるな自由詩615-10-2
隠しごと- はるな自由詩615-9-10
アセンブリ- 凛々椿自由詩315-6-23
はげ- たもつ自由詩415-5-20
あなたに終わらない五月を- たちばな ...自由詩30*15-5-11
- 草野春心自由詩415-2-22
白い馬(あるいは青い扉)- 石瀬琳々自由詩16*15-2-19
ひかり_ひかり- 木立 悟自由詩415-2-17
猫砂- ……とあ ...自由詩11*15-2-17
お日様の詩- たちばな ...自由詩12*15-2-17
夜のオクターヴ- 衣 ミコ自由詩9*15-2-16
残暑- たちばな ...自由詩615-2-13

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