下らない話聞いてくれ 
本当に下らないんだ 
例えば空が降って来て 
僕等が全員死んでしまうような 
下らない話聞いてくれ 
本当、下ら ....
スノビスムの撃鉄を起こし
シャルル・ド・ゴールに降り立った
着陸までは青空だった
雲の上だから当然だ
愛やその他の悪意を捨てて
身一つで旅に出るならば
そのような悪意から逃れられず
....
ひしゃげたわらの一筋に
薄い雲から来る太陽光の残滓と
飛び交う電子の温度がこもっていた
温かい立体だった
わたしは妹の手に
秋の暮れ方の軽さを載せた
それが十年の
記憶だった
....
その後のこの期
夢のなかで
私はまだ
逃げも隠れも
している
この期に
およんで
い ....
人生はゲームだ
このステージに産まれた瞬間に
ゲームはスタートする
プレイヤーは自分自身を操作して
攻略を開始する
プレイヤーによってエンディグはバラバラ
けして同 ....
手をつないで歩こう
すこしだけ上を向いて
秋の陽の雫は
まるで未熟な葡萄
ぼくの左手は思い出す
恋は死のようにあえぐと
あなたの右手は教える
時は死よりも強いと
降 ....
この間新しく店に入ってきた社員さんと一緒に厨房に入った。
政治とか経済とか歴史とかの話が出来る人で、結構会話も弾んだ。
でも、その人が「日本は核を保有すべきだ」って ....
ぺったんこのくつで
そぞろ歩き探す秋
秋はもう冬になっていて
柿の実が映える空が遠い水色
引き裂かれてトーン耳がつんとして
音を聞かなくなった私は今も
色彩と香りに教えられて
こんな ....
ぶらりと定食屋に入った
カウンターのうえに並ぶおしながきを見ていて
カツ丼をもうながく食べていないことに思いあたる
学生のころ日に三杯は食べていたカツ丼
あれから二十年か・・・ ....
踊りを踊るなら
山のふもとの
見晴らしのいい草原に行きなさい
夢中になり過ぎても
誰に咎められることはないから
歌を歌うなら
そのま ....
{引用=夜の階段を下りて
一階はとっくに海に沈んでいったので
その、密やかな貝を避けながら
水の中につま先をいれる
どこまでも透明な
水晶を重ねて束ねて作った
深海は 魚を飲み込む
....
ドアを開けたらまだ真っ暗で
少しめげたけど
新宿行き高速バスの始発は5時3分
元気を出して、君に会いに行こう
バス停は牧場の横、畑の中
途中が手探り足探りの真っ暗で
牛が寝言でいつも驚 ....
気象台横のごつごつと張り出した岩の上に、よじ登るようにして立ちあがれば、海峡と町の景色が突然足の下にひろがる。そしてその先、海峡の向こうには、白い岩山の山脈がゆったりと雲の下に姿を見せ広々としている ....
小舟を浮かべて 新しい世界を求めて
僕は旅に出ようと思います ひとりで
生きていく才能のない僕は
誰かが傍らにいてくれないと
ウサギのように震えて死んでしまいそうです
それでもひとり ....
出会いは不思議と偶然でも、あの時でなくてもいつかきっとそうなったと思うほど、二人何かに導かれるように知り合った。
大学の図書館で、いくらもない日本語の本の中から、読めそうな小説をさがしている時に ....
まことしやかに伝わる嘘を
信じてただただ突き進んでた
貴方の背中を私は見てた
貴方の涙は見えなかったわ
私は貴方を失って
ぽつねんと一人立ちすくんでた
叫んでは獣に気づかれ ....
昔の女に電話しそうになった
たわいもない話をして
うちに来る?なんて言葉のあと
ふつうを装うのはもう御免だった
電話しても会えなかったかも知れない
駅でビジネス本を一万円 ....
己かわいさに泣くよりも
口を結んで仕事しな
そおすりゃ
田舎の母さまに
粋な便りも書けるだろうし
まんまるお月様登る国で
ぶくぶく溺れる事もなし
貴方十五の ....
冷たくなってきた風に漂って
きみは何処を向いているのですか
田んぼの脇に咲くススキ
あでやかな花に囲まれて
色づく葉っぱに包まれて
それでも自らの身体を染めることはなく
華 ....
マロニエの街路樹が黄葉に色付き、小ぬか雨が毎日のように降り始めると、もう秋冷の季節がやってきていた。
まとわり付くような秋雨の中、娘ははダウンタウンで彼と落ち合うと、一緒に通っている大学からのバ ....
{引用=
光のあふれる
みなもは、しじまの
はぐれた啄木鳥の子どもが、背を黒くし ―●―
オークの幹をつついています
水音にささやかれる樹の間は、
あたたかな池畔のひろがり
....
この世に生まれることのなかったあの子も
あの世で新型インフルエンザにかかってやしないか
息子の看病をしながらそんなことを心配していた
ウィルスも死んだらあの世にゆくのだろうか
....
香の濃いコーヒーの匂い
時間など忘れてしまいそうな一時
走るのを止めないのは
駆け抜ける風が心地いいから
旅にでるからもちものはきびだんごで
そういって後にした
数 ....
色が死んでいく季節の中で
鮮やかに咲く秋の薔薇
何故それほどに、と
数え切れぬほど問われたけれど
同じ夏と冬の狭間でも
身を切られたことがない人たちに
その違いは決して分からない
そ ....
その髪のすぐ下、右の肩に小さな木の葉のような痣があった。
重は、その痣を見ながら、自分にも葉の形の痣が腿にあったのを思い出し、ほんの一時同じ家系か、一族かそんな血を持つ娘を目にしているよう ....
軽やかな部屋
羽ばたくように
真鍮の鈍い光の反射
中空にあるのは
現世から浮かびあがろうと
何ものにも縛られたくないと
軽やかな意識で瞑想したいと
でも思っているのか
未熟なま ....
風のつよい満月の夜だった
荒れ狂うものは風しかないようだった
風は目には見えなかった
近くで音と圧力がほどけていた
夜いちめんの雲が月の光を吸っていた
それらがブラマンク ....
全寮制の中学に通っていた
六時から十時までは
途中休憩をはさんで学習室で勉強だった
中間試験が終わった十月の土曜日
その日だけは自習時間がなかった
テレビ室には二十人くら ....
{引用=off
部屋の明かりを消しても
真っ暗にはならないんだね。
夜たちからは、もうとっくに
ほんとうの夜なんて
消え去ってしまったみたい。
街灯の光がカーテンを透かし
....
もっと息子と向き合えよ
と 夫は言う
筋ジストロフィーの息子は
23才になった
もう 完全に大人の男だ
あの頃
あの6年弱は
わたしにとって格闘の時代だった
小6の担任から ....
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