重も、その娘に手を差し出すと、つとその手を握り締めて暗い廊下を、何人もの男をそうしてきたような慣れたいざない方で部屋へと連れていかれる。
 そんな時、言葉など必要ないのが、いまだに英語もまま ....
高校生時代の友人と三十年ぶりに連絡を取るようになり、MLで音楽談義などするようになった。

ジョニ・ミッチェルを聴けという。ツェッペリン、パープル、クイーンが好きなやつだっただけに、その変貌ぶり ....
わかったことがある。

これまであらゆる現代詩を読んでいても、言語的な感動をしたことがない。

そのことが、自分の作品にある致命的な欠落(文字の連なりに付加価値を与える要素)の正体であり、そし ....
例えこの世界が嘘だとしても
私の頬を包んだ
貴方の手の温もりは
真実だと泣いた

波が打ち寄せる岸壁に
叫んだ
私の人生は終わりだと
何故貴方達は言うのか
自らの人生でさえ
危うい ....
   踏切


仮に待たされたと考えて
横切っていく貨物列車の裏側には
「さよなら」さえも存在しない
元々は一方的に出来合いとして扱われていたのだから
どこにも間違いはないと言えるのだが ....
 北の海は凍てつく潮風がのし掛かるような厳しい冬空の下にあった。
 北上してきてやっと大洋から入り組んだ細い海峡へ、そして最後に港のある入り江に辿り着いた帆船はどれも内陸からの荷が町まで届いておらず ....
これが何を意味するかは解らないけど、


この痛みは確実に、私の身体を蝕んでいる。




何とかしなくちゃとは思うのだけど、

行動に移す程の事でもないかと、思ってし ....
十月さいごの日だまりが

ぼくらに光を継いでゆく

風のしたで悲しみをかまえ

いちばん好きな他人を失う


恋人の不実をまえにして

ぼくは悪くなかったのか

神様、怒って ....
 町の誰もがそれを知ったとき、多分、それは、男の女への未練だろうと噂した。
 女とその娘がどこに行ったのか、町の誰も知らず、男に聞かれても皆ただ首を振るだけだった。
 男は、女が灯台のある島の赤い ....
「そっか。そうだね。見つかっちゃったんだ」
 サッカーの練習から帰ってきたHiromiは、Sayoの話を聞くとそれだけ口にしPenneの頭をなでていた。
 Sayoは大きな旅行用のバッグを持ってく ....
探しているものは案外そばにあって
あちこちひっくり返したりしてるその手の
袖口に引っかかっていたりする


最後にきみを見たのはいつだったか
霧がかかったみたいにぼんやりとしているけれど
 ....
歌になりたかった
いつでも人を元気づけるような
歌として生まれたかった
そして人に口ずさまれたかった
人の楽しみでありたかった
人の希望でありたかった
そしたら苦しみも絶望も知らなくて済む ....
「ひどい臭い、あなた、部屋で何やってんの。魚の缶詰でも作っているんじゃないでしょうね。ここは、食品工場じゃないんだからね」
 そこまで言って、Sayoが口を開き、そこから出される答えを待っている。そ ....
「晴」


青空の尻尾が眉間を撫でると

開いた眉がくすぐったそうに泳いだ

昨日の薄皮が少しずつ剥がれて

今日の陽光にりるりるとはためいた




「耕」


 ....
 Penneのサポーターが取れるのに、三日かかった。
 アザラシの面倒は、夏休み中のHiromiが見てくれたが、週二回あるサッカーの練習に連れて行くわけにもいかず、その間は昼間Sayoがアパートにい ....
分からないままに歩き続ける
たどり着く場所なんて知らない

まして此処が何処かなんて
想い描く余裕もないから
ただ流されるがままに
諦めて誤魔化して色褪せていく

その世界を壊せばよい ....
夜も更けて

もうすぐ

最後の曲の余韻につかまって
奴等がやって来る

隙間だらけの言い訳で
目隠しした僕の回りを
ゆっくりと巡り始める


イヤホンの内側で突然に
発 ....
窓辺にうつる

あたしの頬が

便箋に文字をしたためる

不惑は遅くて

別々のよるが

哀しみをガラスで仕切る


こんどの夢は

ながすぎたメルヘン

こんどの愛 ....
 部屋に戻るとHiromiは、リビングの三人掛けのカウチに座ってテレビを見ていたが、その横でPenneが大きな潤んだ瞳の顔を上げ、Sayoが部屋に入ってくると、娘と一緒に光沢のある灰色の顔を向けた。
 ....
                 091026


水の上からの眺めを
台風が
せせら笑うように
湖岸の木々は
大枝を揺らして
今にも根本から
倒されようとしているのが
テレビ画 ....
{引用=


この空に底があるとして
それなら沈んでいるのは
きみが何万光年も前にさけんだ言葉のなきがら。
鈍色に光っているそれら

かえりたかったところ、

わたしの瞳の縁で ....
冬の夜空ったら輝く星ひたすらまぶしくて

手編みのマフラーとか恥ずかしい思い出の数々

泣きながら破り捨てた一枚の写真
私の肩を抱いていた男の顔
なんて
忘れたような
未だ忘れられない ....
眠れない夜はどうしようもなく
つまらないことばかり考えている
暗闇の微かな声を聞きながら
雑念の海を泳いでいれば
やがて疲れ果てては沈んでゆく

その頃、星たちはすれ違っている


 ....
 Sayoは、マネージャーのスティーブに子供が病気だと言って、二日ほどの休みを取った。
 スティーブは、夏の忙しい時期にサーバーやラインのコック達が休むのをひどく嫌がるのは知っていたが、今までろくに ....
雨の中
自覚する
ケヤキの落ち葉
鳥の声

風の音
休日の午後
お茶を飲む
一人想ふ

寒椿の花
給料日1日前
一人食を
得る

ハナミズキの
赤い実
時は流れる
 ....
もう腹を立てたりするのはやめよう

ぼくにはひとを裁く権利などないのだから

あらゆるイマジネーションを使って

ぼく自身に置き換えてしまうのだ

身に覚えがないとしても

身に覚 ....
婆ちゃんが三途の川を渡ってから 
いつのまにやら9ヶ月 

日曜の朝早く目覚めた僕は 
思いついたように動き出し  
あまりの遺品の多さに 
ほったらかしていた
戸棚の奥から 
次から ....
剥き出しになった電線に
切り刻まれた夕日から
滲み出すオレンジ色の血潮

一夜にして枝葉を落とされ
無念の拳を空へ突き上げる
街路樹の黒い影

夢見るように
朽ち果てていくことさ ....
 リビング・ルームのテーブルには、油まみれの四角いカード・ボードに、ピザが二かけらだけ残り、もう白いチーズを固くしいびつな三角を見せていた。
 Hiromiはウォーフでの母親の話を聞くと、そんなこと ....
君の唇の くれない が
僕の内側を伝い落ちると
日常が育んだなけなしの植物群は
夢見るように朽ちていった

君の爪の くれない が
僕の外側を掻きむしると
日常に着せたつきなみな制服 ....
……とある蛙さんのおすすめリスト(3008)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「冬の肌」(2/3)- 月乃助散文(批評 ...4*09-11-2
北米版『北の宿』か_Joni_Mitchell_&_Jame ...- A-29散文(批評 ...1*09-11-1
現代詩をそんな読み方してないゆえに- KETIPA散文(批評 ...9+*09-11-1
温もり- ミツバチ自由詩7*09-11-1
滲みゆく月- 中原 那 ...自由詩11*09-11-1
「冬の肌」(1/3)- 月乃助散文(批評 ...4*09-11-1
侵食、怖畏。- aokage自由詩4*09-10-31
ぼくらは光を継いでゆく- 吉岡ペペ ...自由詩2109-10-31
「あざらしの島」(4)- 月乃助散文(批評 ...3*09-10-31
「波の声をきいて」(13)- 月乃助散文(批評 ...5*09-10-30
秋桜は大人になってゆく- あ。自由詩15*09-10-29
- 新守山ダ ...自由詩1109-10-29
「波の声をきいて」(12)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-29
四行詩四態_<11>- nonya自由詩11*09-10-28
「波の声をきいて」(11)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-28
分からないままに歩き続ける- kauz ...自由詩12*09-10-28
うしろの正面- nonya自由詩8*09-10-27
ひとり唄- 吉岡ペペ ...自由詩809-10-27
「波の声をきいて」(10)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-27
passage- あおば自由詩3*09-10-26
この空の底に- あぐり自由詩7*09-10-26
冬の夜空ったら- 恋月 ぴ ...自由詩21*09-10-26
テナントの空き箱- 中原 那 ...自由詩3*09-10-26
「波の声をきいて」(9)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-26
公園にて- ペポパン ...自由詩8*09-10-26
ぼくは祈りしか持たない- 吉岡ペペ ...自由詩709-10-25
祖母の家出_- 服部 剛自由詩609-10-25
夕暮れ- nonya自由詩10*09-10-25
「波の声をきいて」(8)- 月乃助散文(批評 ...3*09-10-25
- nonya自由詩9*09-10-24

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101