溜め池の波紋が大きく揺れた
葦原に身を隠してはこちらの様子を伺っていた餓鬼どもが小石を投げ入れたのかと思った
そうか、いつまでも泣いてばかりは居られないのだ
ここから先はこの御玉ヶ淵に架 ....
「一」という字の、地平を
我が胸に…刻む

「一」という字の、地平から
熱い湯気は…立ち昇る。

「一」という字の、念力で
切り拓かれる、明日。

いつの日か
ふり返った背後に
 ....
オランダのチューリップ畑の{ルビ畔=ほとり}に
浅い川は緩やかに流れて
カーブを描く辺りに
一人の風車は立ち

やがて赤と黄色の無数の{ルビ蕾=つぼみ}は
過ぎゆく風に身を傾げ
遠い風車 ....
生姜焼き これは一番 祖父の角瓶チョロリと啜った5歳の春
トンカツ ソースが命 息を止めてガツッリと向き合いあう勝負は刹那
カキフライ タルタルソースにトンカツソースレモンを絞り海の音きく
サバ ....
冷たい風が太陽を輝かせるだけだなんて考えは生真面目過ぎるからだろう?

運命が君の思い通りに運ばないのは
逆に世界の凡てが君の考える方向に動かされているからなんだ
、と
自分の死をまえに ....
秋の長雨 落ち葉を濡らす
行き場のない 人知れず孤独な
悲しみの樹 痩せた枝先に
溜まる涙に宿った光 いくつも


泡沫になる 紅蓮の炎
静けさの夜に 音もなく揺らめく
穢れた肉を ....
十年前に名古屋に転勤

一番はまこと屋と一柳の味噌煮込みうどん
つぎは昭和区にあった平和園の名古屋特製ラーメン
そして海午後のチーズオムレツカレー 優しい味
豊田市の山村にあるチャイナポート ....
法事の後に、故人を偲び
「献杯」してから口に注いだ{ルビ麦酒=ビール}により
みるみる僕の顔は真っ赤になり
吐き気をもよおし
頭痛の額に少々冷えた、手を添える。

そうして僕は平手で
白 ....
晴れた日に
(  )を捨てる それは
たったひとりだけで行う儀式のように
もう一度愛してから、という未練は
明るい光が消してくれる

洗いたての
(  )を捨てる それが
慣れ親しんだ ....
泣かせて

泣かせて

今夜はどうにもならないのだから
そっとして欲しい

恋じゃないのよ
なんでもない
駄目なあたしが此処にいるだけで

明日はきっと晴れるから

だから透 ....
可能な限り赤い空に

ぼくらがおもう神様がいた


ライトバンが光を揺らして

とぼとぼとぼとぼ道を行く

いき違いばかりの愛しさが

まかり通ってからから言う

からからか ....
墜ちていく間は
燃える翼を見ていたい

粘菌に似た街の灯りを見下ろせば
森も海も本心も
凡て闇に統一されるから
僕らはこうして
まだ一緒にいられるんだ

燃え尽きずに落ち続けている間 ....
人は生まれて死んでゆく
あたりまえといえば
なるほど あたりまえ

太陽が昇れば起きて
陽が沈めば眠りにつく
ただ、そこに記憶があるだけで

生死もあまり変わらないのだろうと思う

 ....
ひとの心は果てしなく彷徨う
距離や時間を超えてゆく

痕跡にすぎないものに捉われ
憶測の触手をあすに伸ばしておののく

ときどき何かを削ぎ落しながら
変わってしまうことをおそれながらも
 ....
晴れた日の会場内に 用意された百脚の椅子

来賓者、関係者、招待者、出席者、
名簿に記載された ずらりと連なる固有名詞

司会者は叫ぶ
(百人満席、晴れた日に、)
新聞は語る  ....
幾億粒の{ルビ眼=まなこ}が煌めく
夜の底

磁気に繋がり
流れを描き
脆く途切れ
こぼれる様を
見ているようで
見ていない
視線の針が交差する
決して出会うことはなく
跳ね返る ....
自分のからだを抱きしめてみる
季節が逝こうとしていているから?
いいえ
この借り物のなかで
巡り巡っているものの温かさを
確かめてみたいから
けれど取り出したとたん
あっけなくそれは
 ....
行方知れずの小指を探して
後ろに歩いてみる


昨日に向けど
まだ形も失く

七日と後に返ってみれど
まだ影も失く

一つ月と下がってみれど
まだまだ気配も失く

いち年後戻 ....
自分で思っているよりずっと
いい人じゃない
なのになんで
いい人のふりしてんだ?
まるで新手の詐欺だこりゃ
優しくもない
友達思いでもない
ふいに馴れ合いが耐えられなくなり
見棄てる
 ....
孤独とは群れの中で
人知れずに泣くことかも知れない
ゆえに僕等は丸くなる
春を夢見て丸くなる


浜辺の女
 私達は夜空に浮かぶ小さな星
 冷たい風に飛ばされぬよう
 闇の一 ....
子供をたくさん産んだ 女友達
男を連れた 同級生
女が皆で ぼくの、ママになりたがる
   オマエハ、デキノ、ワルイ、コ、ダカラ
   (だったら、見なきゃいいのに
   オマエハ ....
薄曇り
灰色のやわらかなシーツの上
鳥たちが矢印で年のゆくえを示す

あなたがじっと見ている
薄緑の瓶の中にオレンジの蝶
と思えば炎

お湯の中に重い身体を沈めたら
ふかふかタオルで ....
かわいた裸につめたいドレス
あなたの肢体の隙間を縫って
透けて見える 十二月の行進

こっそり口を開いた嵐だ
札束を数えるように
耳を裂く静寂を値踏みして

時間が止まって感じるなら
 ....
男たちよ
ふんどし締めて
大宇宙に挑戦するのだ

女には無い
力を突きつけろ

生きて
生きて当たり前

どうせ死ぬなら

強烈な生命を燃やしてみろ

何でもいい
たった ....
 「未来」「永劫」の概念をわすれて
    四季の移ろいだけにこだわる
           余命わずかの
    卒寿となったおひとりさまは
    つつじが丘のひだにたたずみ
      ....
青暗くて遠い夕方

路地から猫が振り返る

だいぶ遅い因果律

いのちの殻が振り返る


今ごろ順番かあ

これが俺の天罰かあ

からだの不調で

俺は死にそうだった
 ....
音楽が聴こえる
生まれたばかりのまっさらな音楽が



夜明け前の流星群
ふたり一つの毛布に包まって
星を摘んだね

明けの明星が強く輝いていても
私たちの歓びの涙にはかなわなかっ ....
浅草のそば屋の座敷で、酒を飲む。

年の瀬の店内は無数の会話で、飽和して
向かいの席に数分前、若いふたりが坐った。
隣の机で、三人家族は静かに語らい
幼い息子はパパの{ルビ腿=もも}に、じゃ ....
贅沢な感覚の増す 時を澄ます窮の弓が張る
移ろい四季は何者に身を委ねたのか

とても暖かい

案ずることを止めないが
四季はいつだって研ぎ澄まされた手先からの仰ぎもので

意志を持って ....
ビーズのように
煌めいてみえるから
私は掬う
その場しのぎの
粗い笊で
泥水みたいな夜のそこ
横切っていく
言葉の川
掬い揚げたら一層輝きをまして
ただの小石が詩のように光る日もあっ ....
あおい満月さんのおすすめリスト(1230)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
そして始まりと終わりにミンク鯨を食べたものたち- アラガイ ...自由詩13*16-1-14
「一」___- 服部 剛自由詩616-1-12
異国の夢___- 服部 剛自由詩516-1-12
私の食事- チーズオ ...自由詩216-1-12
貯水地- アラガイ ...自由詩9*16-1-12
流れる- 藤原絵理 ...自由詩516-1-11
名古屋飯- チーズオ ...自由詩316-1-11
手を添える- 服部 剛自由詩616-1-11
弔い日和- そらの珊 ...自由詩1716-1-9
ゴールデン街にて- チーズオ ...自由詩316-1-9
赤い空- 吉岡ペペ ...自由詩1816-1-9
燃える翼を見ていたい- 畠中ゆた ...自由詩216-1-8
そして…- レタス自由詩8*16-1-8
越境- 梅昆布茶自由詩2316-1-8
空席- 為平 澪自由詩816-1-7
流星雨- Lucy自由詩24*16-1-6
血温計- そらの珊 ...自由詩22*16-1-4
置いてきぼりの何時かの心- 貝の石自由詩2*16-1-2
友達思い- Lucy自由詩8*16-1-2
冷たい冬空の夢- 萩山 ふ ...自由詩4*16-1-2
マザー・ファッカー- 為平 澪自由詩10*16-1-1
冬の宿- ふるる自由詩916-1-1
冬の空ぼど気まぐれな奴はいない- ただのみ ...自由詩18*15-12-30
新世界- レタス自由詩315-12-30
芥子色の北風_七- 信天翁自由詩415-12-30
いのちの殻- 吉岡ペペ ...自由詩1315-12-30
メロディ- レモン自由詩22*15-12-30
年の瀬のそば屋にて___- 服部 剛自由詩715-12-29
贅沢感覚期- 朝焼彩茜 ...自由詩12*15-12-29
ビーズ- Lucy自由詩21*15-12-28

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