冷たい冬空の夢
萩山 ふぁるこん



孤独とは群れの中で
人知れずに泣くことかも知れない
ゆえに僕等は丸くなる
春を夢見て丸くなる


浜辺の女
 私達は夜空に浮かぶ小さな星
 冷たい風に飛ばされぬよう
 闇の一点にしがみつき
 瞬くように生きている


岐路の男
 日々は悲しみと嵐ばかりだが
 苦痛や嘆きのほんの隙間にできた
  親しい人の声
   愛しい日常の習慣
    平穏に眠る寝床の柔らかさ
 そんな陽溜りがあるからこそ
 また新しい季節の扉に手をかけられる


あどけない子
 おひさまに起こされて
 おふとんから出たの
 おとさん いなかったの
 だからね ないちゃったの
 でもおとさんは
 だいどころで本をみながらね
 んとね
 おはよっていったの


丘の僕
 どうしてだろう
 無性に消えてしまいたくなる
 透明な細波に揺れる星座の声と
 気紛れな彼女に似た雲間の月が
 僕の座標を歪めて混乱する
 空を見上げる
 僕は天地を喪失する
 足元から伸びた月影が
 僕の形であるかすら
 ひどく疑わしくなる


星座と夜

 静かだね
 とても静かだ

 遠いね
 でもまだ温かい

 いつまで抱き続けるの
 いつまでだろう

 今日はひどく冷えるよ
 いずれ花風が吹くさ

 一瞬とはいえ儚いね
 でもいずれ僕達もそうなる

 さびしいね
 あぁ ひどくさびしい夢だね


自由詩 冷たい冬空の夢 Copyright 萩山 ふぁるこん 2016-01-02 00:02:16
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