何故 君はいってしまうのか
大人たちよりも ずっと ずっと先に
危ないよ
あんまり先を急ぎすぎると
石ころだか何だかわからないものにつまずいて
転んでしまうよ
危ないよ

とん とん  ....
やさしさ
それは母が子に与えるような
理由なき奉仕
決して見返りを求めず
時には損失さえ被る

義務感に命令されるものとも
悲劇の仮面をかぶって踊るものとも違う

どんな人でも満たさ ....
僕のからだの内燃機関は
なにを動力にして
ここまで
走らせ続けてきたのだろう


西日はいつも眩しいね

僕の手が掘り出したいものの
手がかりを
きっと
西日は知っている
 ....
橋のうえに
大きな虹がでたので
ぼくはトイレへおとうさんを呼びにいき
台所へおかあさんを呼びにいき

お嫁にいった妹を呼びにいき
死んでしまったおじいちゃんを呼びにいき
介護施設のおばあ ....
今日も
トマトが
降っているから
空から落ちてきたものを
食べてはいけません
とは
誰も言っていないから
朝のサラダは
皿を
素直に
差し出すだけで
私たちは
満たされて
形 ....
信じていたものが
違っていたとき
ぎゅっと身が縮む

寒さに震えながら
両手で缶コーヒーを
強く強く握り締めたりする

あきれるほどにぎやかなパチンコ屋に入って
無感動に札を穴に入れ ....
昨晩まで裏庭で死んでいた父が
今朝は生き返って
何かの冗談のように
冗談を言いながら食事をしている

自分の胸に手を置けば
小さな鼓動が伝わってくる
それは生きていることの証なのに
多 ....
死期が近づくと
彼等は自ら首を吊って死ぬ
夜に 孤独な木を探してその枝に
縄を垂らして果てる
南の大地は熱い
吊られた身体は素早く腐る

自分ひとりで首を吊れない者は笑われる
ましてや ....
時々
私の手のひらから
生まれてくるもの

最初は小さな涙
ぬれてる感じがして
よく見ると
小さな水の欠片があふれていた
手のひらを拭いても次から次へと
出てきた
それを見ていた ....
他人に優しいって事は
自分にも優しいって事かな
君に優しい顔を見せるたびに
僕は自ら犯した罪を
古いものから順に消し込む



過去に犯した罪を贖う為に
君の気侭な振る舞いにも優しさ ....
乾燥した空気に
なんとなく
背中が痒くて今日も
着合わせには気をつかったつもり
なのに
私とドアノブの隙間にパチリ
静電気が走る

アスファルトの似合わない小道
夕顔の枯れてしまった ....
ぼくが最も多感だったのは14歳から17歳くらいで、その時考えていたことを今になって思い出した。

ぼくは独り暮らしの寂しさから同居人を求め、一羽のセキセイインコを飼った。まだ性別はわからず、半年ほ ....
朝起きたら
郵便受けが手紙を{ルビ銜=くわ}えていた

切手はないのに消印はある
宛名はあるのに差出人がない
ちぐはぐな手紙

開けてみると光が入っていた
光はみるみるうちに封筒から出 ....
窓の外は
ひどい風の音です
のどが苦しく鳴るような
うねるような
激しさなのです


思わず私は
自分ののどを押さえます
ひどい風の音です


いま飛び出せば
何を吐き出して ....
#81

 おなかのなかに
 憂鬱のカタマリがある

 ちょっと熱めのコーヒーを
 ゆっくり飲んで
 そいつを溶かしてゆく

 夜はこれからだ
 時間はいくらでもあるさ


 ....
見慣れない肌の子供が立っていて
おまえは苦しんで死ぬと囁くものだから
そんなもの
首を絞めたっていいじゃないか
結局のところ
君たちは知らないんだ
君たちは知らずに転げる
転げている、ろ ....
ある現実に落とされた
一粒の出来事は
どんなに大きな波紋を描こうとも
より大きな現実に吸収されてゆく

私たちはそれを
受け止めたり
跳ね除けたりしながら
けれど
その波紋の消えゆく ....
黒頭巾ちゃんはちょっとだけ酒乱気味です。
だから、お酒を飲むときには、飲み過ぎないように気をつけています。
けれど、たまにはやっぱり、失敗してしまうこともあるのです。

黒頭巾ちゃんはアル日、 ....
弦が切れた。

あまりの唐突さに、指に血が走ったけれど

そんなこと

気にもならないくらい

弦は、綺麗な音ではちきれた。

ぴぃぃぃん、と

誰かの泣き声みたいに。
つつき割る事を
あきらめたのか
雛は
まるく
まるく
丸まっている

身体は否応無しに育ち
卵の殻は変わらない
身体に合わせて
大きくは
なってくれない

その身の大きさに気 ....
かの有名な某バンドは

「助けて!」と、歌い 人々を助けていた

自分たちが 助けてほしいのに

歌うことで 他人を 助けていた

「助けて!」と、歌えば

僕にも 誰かを 助 ....
冷たい雪の降る夜に

わたしのからだは凍えてゆくから
わたしのからだは
小さくなる

わたしはわたしを抱き締める



冷たい雪の降る夜に

わたしのことを
わたしのほかに
 ....
紙コップに注いだウーロン茶が
ずいぶんと長い時間をかけて
紙を軟らかくしてしまったようなので
もうお茶を飲む気にもなれなくて
台所へ持っていって
その液体を捨てた。

残った紙コップは
 ....
人は夜に音になって
躓かない程度に囁き合うらしい


朝が夜に向かうように
ページを手繰り寄せる
薄い絵の具を
筆の先で伸ばすように心音を
澄ませていく
夢を見る、ことを覚えてからは ....
キレイな夜明け
誰にでも平等に訪れる
だけど迎える朝は公平じゃない

逃げられない現実が
いつだって両手を広げていかにも優しげに抱き締めてくる
その手を振り払うことは出来ない
「放ってお ....
(1) 予兆

パソコンがどうもいつもと違う音、カラカラカラと変な音を立てていたら

・パソコンの寿命が間近
・良くないことの前兆
・中のハムスターが暴れている

のどれか。ハムスター ....
俺は世界が平和になればいいと思っている
実際にはならないだろうけれど、そう思う
黒も白も朝鮮もクソも味噌も、
俺はみんな仲良く出来ればいいと思っている
実際には出来ないだろうけれど、そ ....
月よ
明るい夜にしてくれないか

昼と見間違うほどの
白い明かりで照らしてくれないか

わたしがそっと
吐息を洩らす瞬間を

にぎやかなその光で
包んでほしい

そうして
で ....
今日もきゅうりは
もてなかった
女のこたちの気ままな指で
もがれてみると
ぽきんと折れた切り口には
みずみずしい
ひかりがあふれていた

うちに帰ってきて
冷たい水で
顔をごしごし ....
そいつに
名前をつけろ

祈りと祝福の
すべてをこめて
そいつに
名前をつけろ

そして

その名前を
口のなかで
いとおしむように
つぶやけ

その名前を
耳元で
 ....
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