私が何を欲するかと言えば、
馬鹿を見ない正直さ、なのだ。
綿飴のような雪が降る
真昼間の御堂筋を
デモ行進の労働者たちに紛れて歩く

肩に 髪に
降り積もる雪が
おれたちの影までも
白く塗り潰してゆく

そういえば

子どものころ
登 ....
あっ、わたし
ふきとばされにきたのかもしれない

冬の砂浜では髪も波打って
耳も引きちぎられそうに寒くて
 ワタシヲ
 マモッテキタハズノ
 カタイカラサエモ
泡となって ....
ハピネスという薬が売られている
誰もが 誰もこんなもの買わないだろうな と想っていた
そう口にしていた
だけどあなたの袖についてるものはなんだ 
あなたのポケットから 零れているものはなんだ  ....
いつか
笑い飛ばせる日のために
一枚の部屋に絵を描いている
暖かい一日の始まりと終わり
そこに溶けていく人たちのように



降り積もる行き止まりに
立ちすくむ人を見ている
その背 ....
焼き払われて
焦土と化した故郷の村に還ってきた
いちめんの砂地に転がる骨のオブジェたち

あたしの家のあった場所に
炊煙があがったような気がして
駆けよってみると
テントのまぼろしの ....
靴下を洗濯籠に投げる
途中、失速して
僕の知らない野原に落ちる

しばらくすると
一匹の美しい横顔の生き物が
くわえて行ってしまった

もう何も無くさないようにと
決めていた ....
とにかく王様は目を輝かせて
いくさだの狩りだのと飛び出したきり帰ってこないし
王子たちは毎日飽きもせずに
女だの武器だのと目につくものに見境なく手を出す有様で
臣下たちは強欲を隠そうともせ ....
数学が苦手だって言うのに
もう少女ではないから
計算違いは許されない


髪を伸ばすこと
それは可能性
ダイエットコークの味を好きになること
それは目論み


統計では
きみの ....
親父の趣味は小さな鉢植え
鉢の順番を並べ替えては
玄人じみたため息をついて
またはさみを入れる

たどり着けない完成に向かって
まず渋茶をすするのも

たどり着けない完成に向か ....
言葉のひとつひとつに歓声があがり
思い思いに笑い転げ
級友たちの恋の話は
昼休みの教室で佳境をむかえていた

数年も経てば
誰もが通る道である
ということを知るのだろうが
その前に ....
行ったことのない所ばかりの
詳しい地図には飽きたから
パチンコ屋のチラシの裏に
勝手な地図を描く

縮尺や図法なんて知らない
知ってる場所を適当に
描き出してみるのだ

   小学校 ....
子供の頃
粗大ごみ置き場があったんだ
いまは粗大ごみをすてるのにお金をはらわないといけなくなってるけど
あの頃は金など払わずなんでもぶち込んでた

粗大ごみ置き場はぼくらの基地でもあった
 ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた


「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
真夜中
雪の解ける音で
目が覚めた

窓を開けると
まだ小さな
『春』が
窓枠に腰掛けて
せっせと雪を食べていた


時々
喉に詰まらせて
せき込むので
背中をさすりな ....
大きく口を開けてください。

はい、そのまま開けてください。


右の上奥歯に過去がはさまってます。

取り除きますね。


右の下奥歯には偽善が詰まっています。

そのままに ....
右手で鉛筆を握れば
白紙に数多の糸が行き交う
複雑で繊細な
心の世界が姿を現す

左手で消しゴムを握ると
もつれた糸が消えてゆく
過ちも涙さえも
左手がくずに変える

右手に鉛筆を ....
“自分が気持ち悪くてしかたがないんだ”


そう、僕は自分が自分で気持ち悪い。
“嫌い”とまでは言えないんだけれども。
どうやら、そこまではまだ捨て切れてはいないらしい。
かろうじて、 ....
太陽と青い空は
罪悪感の象徴だった
だから雨の日に外に出た

田んぼの中にどんな虫がいるのか探して、
森の中にどんな虫がいるのか探して、

たまには行ったことのない場所にも行 ....
22歳の誕生日から3日経ち
私は生理になった


さあ、とお腹の中の月時計が私に言う
いつか生まれてくる赤ちゃんのために
お布団を新しいのにかえましょうね


初潮を迎えてから
ち ....
その日
チカテツが「おかわり」と言ったので
駅員さんはバケツいっぱいの鬱憤をチカテツに与えた
そうやって今日が特別だってことを体に教える
チカテツは震えながらそれを
お腹いっぱい食べた

 ....
林檎を見ています。

一つの瑞々しさをはらんだ林檎、それは歌います。
その歌は軽快なリズムでもって林檎の命、林檎がかつて実っていた木、沢山の仲間たち、
花であった時代、訪れた虫たち、そのきらめ ....
ひょろっこい身体で、ジャカジャーンとエレキギターをかき鳴らせ!

とびきり素直な言葉を素敵なメロディーに乗せてさ。
聴かせる相手が今はいなくても、それでいいんだ。

今は、この世でたった ....
「ゆき」が「ゆき」の上に降りつもる
「ことば」上に「ことば」が降りつもるように
たとえば「発語」ということばに「発語の共有」ということばが降りつもるように
白の上に 白が降りつもり
どこまでの ....
発売まで指折り数えたCDを
ようやく手にして
するするセロファンを
むいているときのときめきは
リンゴを倍速でむいているみたいで

ポンと
再生ボタンを押すと
さらに加速度を増して
 ....
僕たちは不良になりたかった
髪の毛を逆立てたり
ボサボサにしたりして
悪い人になりたがった

夜中
僕たちは飲めないお酒について語り合った
一枚のチューインガムを
チューインとガムに分 ....
呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった

呑んだくれた ....
輝くような明日が待っている



誰もが思わなくなったって

明日にしてみたら

たまには輝くのだから

輝きがいがないではないかと

愚痴をこぼす時代なのだ



 ....
青い鳥撃った
ソテーして食べた
幸せを体に取り込んで
最高に幸せになるはずが
バチ当たりだと裁かれた
青い鳥撃った
古い猟銃が
俺撃った

青い鳥売った
百万円で売れた
幸せをお金で手放して
めちゃく ....
待ち合い室の窓辺には
枯れそうな観葉植物がいて
誰もそれに気付かないまま
誰もがうつむいている

ただ水をあげればいい

枯れそうな観葉植物は
まだ枯れてはいないのだし
渇きをいやせれば
また青々とし ....
健さんのおすすめリスト(1270)
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