壁中に染み付いた
おんがくのしみ
舌先で舐めてみたら
僕の好きな唄や君の好きな唄の味がする

空っぽになった部屋の真ん中で
鼻を研ぎすませる
君と聴いたおんがくのにおいが
僕を満たす
 ....
空白をたどる
そうすればぼくたちはみんな
あの場所と呼ばれつづけている場所に
帰れるはずだ

子供の頃
壁を手のひらで撫ぜながら歩いたみたいに
植物のトゲに傷つけられたみたいに
擦 ....
 
 
洗濯物を畳む
隣では母が洗濯機を畳んでいる
自分で洗濯物も畳めないほど
すっかり老いてしまった

母は工具等を手にしながら
ここはどうするの
と時々聞いてくる
面倒くさくて ....
毎日は平和です幸せですとりたててやるべきことも無く平凡です
起床時に布団を畳むことが面倒なので、昨日からベッドの購入を検討しています

重くのしかかる頭で考えることといえば
 ....
夜中にひとり食パンをかじる
バターをつけないで
ジャムをつけないで
電気もつけない

冷蔵庫の前にしゃがんで
はみはみ
虫みたいに食べる


どこか外国から船に乗せられて
海をこ ....
 
 
犬も歩けば棒に当たるそうです
眠ることが下手な人が
こっそりと教えてくれました
でも、僕は何もしてあげられません
犬が棒に当たる様子を黙って見ているか
背後にその音を聞くくらい ....
張り裂けそうな胸を抱えたままで
整然とした街を歩いていく
君を失ったからではなく
単に空っぽな未来を想って
痛むこの胸がつらくて
知らないうちに奥歯を噛みしめている

若者たちが集まって ....
鯉のぼりが

羨ましかった


『鯉のぼり』


我が家には
江戸時代から受け継ぐ
鯉のぼりがあった

もう骨董ものの古さなので
額に入れて飾るだけで
実際に吊るしたりはし ....
 
 
ゼリーでできた椅子に座る
蟻がたかる
僕はゼリーではないのに
椅子に座っているだけなのに

娘が小走りでやってくる
お薬、買って来たよ
笑いながら黄色い水薬が入った容器を見せ ....
 
 
電柱の傍らに
人が立っていた
面接官、と書かれた名札を
首からぶら下げて

前を通り過ぎようとすると
採用です
そう告げられた

面接官は去り
替わりに名札をぶら下げて ....
生きろ と言う
なんで?と訊かれても
生きろ と言う

苦しみも知らず
他の言葉は叶わず
生きよう とさせる
被災地よりみなさんへ。
なんでもいい、花を育ててください。
こちらには手向けの花も祝う花も慰めの花もない。
どうか花を育てて、祈ってください。
泣きながら なきがらに
思いながら 泣きながら
考えながら おもたいね
かけがえのないからだ
食べながら 思い返すね
かくせない 思いがね
あふれ出るのを
誇りにしていく
彼や彼らが死んで
しばらく経ってから
君は埋葬する
そして理解する
人は死んでも星になんかならない
人は死んだら死体になる
そして記憶になり
いずれ忘れ去られる
埋葬される者はまだ幸運 ....
{引用=
そこにいないということで
目隠しをして
だけれども
部屋の片隅に
座っているおとこ
夜が
真空管のラジオから
トラッドフォークを
紡ぎだし
おとこの耳を
慰める

 ....
 
 
紙に押した自分の指紋で
迷路をしなければならない
広い会場のような所にわたし
そして試験監督みたいな格好をした人
二人だけで向かい合って着席している
何度やっても
わたしの指紋 ....
いつも見ている夢は風景として壊されずにある
ヒビすら入らない
傷つかない

虫の群れのような街にシャンデリアみたいな雨が降る
道路にこびりついた体液が泡になっている
冬が溶けていく匂い ....
今朝
布団がふっとんでいった
どこまでふっとんだかは知らない
布団の裏には彼がしがみついたままだった
別れ話を始めたのは深夜で
彼は私の布団をかぶって
何も聞えないふりをしていた
そのま ....
さかあがりが できないころ
さかあがりのあいまに
けんかした
さかあがりのあいまに
学校へ 行った

おまえんちの家の前の空き地に
むかし なまくびが ならべら ....

午後四時
青の上から
橙や赤や紅色が
塗り重ねられてゆくのを見ながら
大急ぎでベランダのシーツを取り込む
あのうつくしい仕事をしている人が
どんな人だかは知らないが
時折
ゆるめ ....
 

耳が遠くなった
もう手が届かないところまで
痒くても
かくことすらできない
 
耳は更に遠くなっていく
遠くなるにつれて
聞こえるようになった
知りたかったこと
知りたくな ....
雨が降った。わたしは雨の足に圧迫された。爪先から踵まで力に満ちた足は、わたしの体に、触れず、目の前を塞いでいく。雨水の、どの部分も干からびていて溢れてくる。一粒でも零れると、それは止まらなくなり、旱魃 ....  
  
 
これから結婚について書きます。
その前に男性側の視点であることを前提としなければなりません。
何故なら私が男だからです。
女性側からの視点で書くことも不可能ではありません。
 ....
 もう共感しなくなった年月が
 物干し台にほされてる
 夜になれなかったやみが
 陽だまりで喘いでる
 でも生きる方法なんて
 なくならないのだと
 笑ってる

 昔言ったことのある言 ....
たしか死んだはずの父が
逆上がりをしている
たしかに死んだはずなのに
まるで昨日のことのように見える
うまくできないのだろう
年老いたからだでは
それでも負けず嫌いの父に
も ....
同級生に出会えません
同じ教科書を広げ
同じ食パンを食べ
同じ制服を着ましたが
違う仕事に就きました
そういう決まりなんですね
知らずに席を立ちました

子供しかいなかったんですから
 ....
今日も何も落ちていない 遠い日に
また 私自身がそこから落ちていく時
この暗い眠りの中で
この身を風に任せた
私は ひとり
何となく そこに 横たわっている
私の 一人の
暗い この ....
{引用=
少年は、真夜中に目が覚めて
自分がベッドでは
眠っていないことに気がついた
ベッドではなく、
床に寝そべって
眠っていたのだ

ゆっくりと
体を起こし
まなこをこすって
 ....
 
 
会社の電話が鳴る
受話器を取ると
雨音だけが聞こえる
すぐに父親からだとわかる
何の前触れもなく
そして何も話さないから
電話の時は昔からそう
ずっとそう

受話器から漏 ....
歌をうまく歌えなくなったら
僕は喉をかっきった
おかげで声はまったくでなくなったけど
下手な歌を歌うくらいなら
よっぽどまし

声を出せなくなった僕の代わりに
君は鼻歌を口ずさむようにな ....
健さんのおすすめリスト(1267)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
おんがくのしみ- なかがわ ...自由詩111-6-13
とんかつソース- コーリャ自由詩311-6-6
ずっと、畳む- たもつ自由詩8*11-6-5
ハッピーダイアリー- 山中 烏 ...自由詩5*11-5-23
深夜、食パン3枚- 橘あまね自由詩3211-5-17
犬も歩けば棒に当たるそうです- たもつ自由詩611-5-15
暴動、そしてヒグマの影- 真山義一 ...自由詩2811-5-10
鯉のぼり- 蒸発王自由詩6*11-5-5
水薬- たもつ自由詩511-4-29
面接- たもつ自由詩611-4-18
い・・- 小藤自由詩211-4-17
春に寄せて- 縞田みや ...散文(批評 ...1111-4-1
から- 小藤自由詩211-3-20
Doors_close_soon_after_the_mel ...- カワグチ ...自由詩1911-3-13
そこにいないということで、存在をしてる- 真島正人自由詩1011-3-10
空咳- たもつ自由詩411-3-2
恥ずかしい街- コーリャ自由詩411-3-1
毛布があったかいうちに- とんぼ自由詩311-2-28
そらおそろしい- るるりら自由詩31+*11-2-23
美術用品のある日常- 吉田ぐん ...自由詩3311-2-21
遠くなる耳- たもつ自由詩411-2-18
雨の後- ズー自由詩4*11-2-16
結婚について- たもつ自由詩2411-2-16
- 真島正人自由詩511-2-13
さかあがり- 小川 葉自由詩6*11-2-11
そ≠ら- 佐々木妖 ...自由詩8*11-2-6
リバー- 番田 自由詩211-1-27
少年は、そのベッドに他人が寝ているような気がした- 真島正人自由詩5*11-1-26
受話器の雨- たもつ自由詩1011-1-25
君の歌- なかがわ ...自由詩111-1-23

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