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鯉のぼりが

羨ましかった


『鯉のぼり』


我が家には
江戸時代から受け継ぐ
鯉のぼりがあった

もう骨董ものの古さなので
額に入れて飾るだけで
実際に吊るしたりはし ....
彼女の寄越す手紙には
決まって
花びらが添えられていた

『書簡の柩』


それは時に
桔梗であり
朝顔であり
胡蝶蘭であり
種類は定まらず
時には花びらだけでは
何の花か解 ....
綻びをつくろうために
いつも
針と糸を持ち歩いている


『影縫い』


性分なのか
ほつれた影を見ると
どうにも放っておけない
影の形は
人によって様々だ


明るく快 ....
献血に行ったら
貴方の血は夕焼けなので
輸血用には使えません

断られたことがある

16歳の頃の話だ


『血液奇談』


今は何の因果か
私は血液職員として献血車に乗り ....
『未亡人』
という呼ばれ方を嫌った叔母は
高飛車な懐古主義のロマンチストで
まだ幼かった私に

{ルビ刀自=とじ}

と呼ぶように教え込んだ


『{ルビ刀自=とじ}の刃』

 ....
“眼鏡の度があってませんよ”
 
俺には死神のじぃちゃんがいる
母さんの名付け親だ


父さんが死んでから
母さんは死神のじぃちゃんと二人暮しを始めた
俺が面倒を見ようかとも言った ....
“白い蛾が産まれると困るのでしばらく家を出ます”
“追伸”
“白い蛾を見ても殺してはいけませんよ”
こんな置手紙を残して
死神が家から居なくなりました



いつも一緒にいた名付け ....
真夜中
雪の解ける音で
目が覚めた

窓を開けると
まだ小さな
『春』が
窓枠に腰掛けて
せっせと雪を食べていた


時々
喉に詰まらせて
せき込むので
背中をさすりな ....
十一月十五日

俺はあの女が嫌いだった

あの女も俺が嫌いだった

あの女は俺のダチが愛した奴だった


【手向け】−11.15 骨−


ダチが死んだ

唖然とした

 ....
細かい雪が


と降る

夜更け


人の居なくなった渋谷駅で
仕事帰りの
主人を待っていると
同じく
主人を待ち続ける
あの有名な犬が話しかけてきた


世間話か ....
まだ雪の多い
街中を
私は外套一枚で
使いに出ておりました

ご奉公先の奥様は
とても優しい御方で
時々
私に使いを頼む時には
少々多めにお手前を握らせてくださり

何か好き ....
或る日
森の中

猟師に出会った

彼は
鳥が好きらしく


持っていた
大きな麻布の中から

沢山の鳥をだして


味見をさせてくれた



カモは
名月の味 ....
春の朧には
狼の遠吠えが聞こえる


黄身を崩した
蒼い朧月に


マンションの屋上から
屋根の上から
銭湯の煙突から


ああほら


またも
遠吠えが聞こ ....
{引用=私と奴は                   僕と奴は
お世辞にも                   お世辞にも
仲良しとは言えなかった            仲良しとは言えなかった ....
俳優だった夫は
有名なSF映画の主役で


宇宙飛行士の卵を
何人も産んだ


男の貴方も子供が産めたのね

からかうと
真面目な顔で
これからも励みます

言い返した ....
俺はあの女が嫌いだった

あの女も俺が嫌いだった

あの女は俺のダチが愛した奴だった


【手向け】−骨−


ダチが死んだ

唖然とした

初めての喪服は
急すぎて買う ....
僕はスプートニク2号
地球初
気密室を搭載した
宇宙船


まもなく
僕は
他の兄弟と同じように

宇宙の塵となる
鉄の塊


その日
僕の部屋に来たのは
いつ ....
溶けゆく闇に    身をうずめ
骨の芯から     温まる
夢か現か      幻か
何処の誰かの    子守唄
今日は今日の    お疲れを
明日は明日の    お疲れを
 ....
早く消えてくれと
心から願う

働きすぎると
脳味噌の髄から
眼球の真奥が痙攣する

鼻の穴から
二酸化炭素が上手く排出できなくなると

決まって


幽霊が
私の前に出る ....
健さんの蒸発王さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鯉のぼり- 蒸発王自由詩6*11-5-5
書簡の柩- 蒸発王自由詩5*09-4-20
影縫い- 蒸発王自由詩6*07-3-10
血液奇談- 蒸発王自由詩14*06-12-19
刀自の刃- 蒸発王自由詩7*06-8-30
俺と死神_−夕焼け眼鏡−- 蒸発王自由詩9*06-2-25
死神と私_−白い蛾−- 蒸発王自由詩10*06-2-16
冬の味覚- 蒸発王自由詩506-1-22
手向け(骨)(糸)(雪)(暁)- 蒸発王未詩・独白3*05-12-31
渋谷レッド・ノゥズ・レインダー- 蒸発王自由詩2*05-12-24
郷恋- 蒸発王自由詩205-12-20
鳥モノ帳- 蒸発王自由詩3*05-11-12
春の狼- 蒸発王自由詩205-10-26
にわか雨- 蒸発王自由詩405-10-23
星葬- 蒸発王自由詩105-10-20
手向け(骨)- 蒸発王自由詩505-10-16
スプートニクの泣いた話- 蒸発王自由詩905-10-15
夜想曲(ノクターン)- 蒸発王自由詩305-10-12
片襟の幽霊- 蒸発王自由詩304-5-12

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