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アルコール
頬の先がほのりとあたたかで
外側が詰まったように白ぼけて隔たり
空気のあられな涼しさに
階段をかけあがり
ぼくらはときに大切な何かを失い
かと思えば突然にけたたましく
午前2 ....
いつくしみ、それから。
海辺に立って眺めると、世のなかのへりが見える。すべてひとはそこから滑り落ちていく。花や木や鳥や雲、それからコカ・コーラやマルボロは落ちていかない。滑り込むのは、僕らの時間ばか ....
風に揺られていたね
僕らはなにも選べずに
別れの言葉を強いるのは夕風
信じることも疑うことも
選べずにいた
僕らを置き去りにして
地球 ....
{引用=
群集に埋没してしまいそうな
あらゆる完全なものの中で
自分の価値を見失ってしまいそうな
ツクリモノの世界で
ツクリモノの自分が
ツクリモノのコンセプトで
ツクリモノの生 ....
すっきりとした風が
風が吹いてきた
すけこました顔付きで
筋斗雲を呼んでいる
ここでも
生まれたばかりの幽霊が
うろう ....
さわれそうなほどの青、空
心音の近くで
水の流れる音がしている
少し、痛い
大気圏の底辺で沸騰している僕ら
水を注いでみると、遮断機が下りて
通過していく何かがある
夕暮れに ....
徴兵された兵士のように
寒い目をしてあなたは通路を行く
改札を抜け再び階段を降り
あなたの目が地下鉄に乗る
と、私の目だけが置き去りにされる
壁にはたくさんの色あせたポスター
その ....
巨大アパルトメント郡の厳格な質量に問う
「A!断頭台は何棟だい?」
「アベル メメントとは?」
消防車の鐘 乃至薄布で顔を隠したあの光
幾何が気化して出来た夜空を慰める瓦斯燈
を ....
今朝は季節がもどり
寒い雨が降っていた
泡粒は無情に
傘の上を跳ねまわっている
白梅の枝にも川が流れる
空は雨の中をどこかへ行った
採っておきの小枝を
詩の女神に捧げ ....
逆立ちをすることは、あまりない。けれど空を見上げることは多いし、できるなら見方を変えたいと思っている。溜息、ハア、でこの東京のネガティヴをまたひとつ、ハア、でふたつ、そしてたとえばお母さんは星になった ....
{引用=
それは例えば
閉園前の遊園地
閑古鳥の鳴くデパートメント
誰も通らない非常階段
埃の積もった工具箱
空気の止まった閉架図書室
星光をただ通し続ける真空空間
そこにはや ....
そういえば、と
一行で綴られた手紙を
まだ読み終えていないことに気付く
しん、と
静まり返った日には
覚めない雨が降っていなくても
どこかで
音がするものだから
....
俺はつまり暴虐の限りを尽くした
俺が俺ではなく まだボクだった頃だ
じいちゃんばあちゃんアルゼンチン旅行
父親、修学旅行の引率 なんかの用事で夜 母親も出かけたし
いもうとは叔母ちゃんのところ ....
涙する者は
死んだあと
青いかなしみとなって
宇宙遠方の
つめたいの霧のなかを
何かを考えてるふうに 歩き続けます
ひとが何光年もの希薄のなかを
さまようはずは ないです ....
夕日が奏でるのは
次の世界へと わたり響く調べ
もろびとの想いは 影にひかれ
終わりの彩りへと 去ってゆく
しかし まだ
呼ぶ声がある
呼ぶ声がある
愁いと憧れに染まる ....
人工の丘を埋める鳥
どこか似ていて異なる羽音が
溝と水面に響いている
瞳から現われ 発ちつづけるもの
どこまでもどこまでも向かうもの
手のひらに生まれる光の群れ
丘の上の鳥 ....
広い、窓のあった部屋
私の一部分がそこで途切れていて
確かな
薄い胸で必死に空気を集めていたこと
息切れと
ほんの少し気持ち良いと思える
ぴりぴりとした痺れとで
滑り込んできた電車は目眩 ....
こんな雨の日に泣きたいのは気のせいだと思った
この間、久しぶりに友人と飲んだとき
ずいぶんとしあわせそうな顔になったじゃないかと言われた
そのセリフの半分が
励ましだということを
僕は知 ....
曲がれそうで曲がれるカーブは
いつかどこかで落ちていくもので
今日
と言っても嘘はどこにも転がっていない
今も削られるままの
海沿いのあの煙突のようなこと
僕らも、ひょいと飛び出して
落 ....
封筒のいのちが燃やされた朝
高い樹木は舌のかたちに風に揺れ
戦争に行ったままおとうさんは
還ってきませんでした
硬いあおぞらで何かが倒れます
夢の森はいまでも神聖なままですが
月だけが ....
僕は転がる
傷を負い
痛みに耐え
自分を抜け出せば
それで終わりにできるけど
まだ転がることができる
昼下がり
陽射しを避けて歩く公園の道
眩しさを縫うように進むとき
....
ノームの目には ほかに何も映ってはいなかった
青い空
白い雲
風にざわめく木々の枝
その目に写し取られた風景は まだ世界としての意味を与えられ
てはいなかった いまだどこにもい ....
少女は少女のままで腐り、
そのまま氷のように頑なになって、
誰にも見向きもされなくなった。
りんごの端っこを噛んで、
少女はなけなしの塊だった。
どうにも止まらず、
「やめてくださ ....
駅の喧騒の中で、君を待っている
君ではない人たちが通り過ぎていく
時計の針は動いて行く
壁に寄りかかって、僕はゆらゆらと揺れている
君ではない人たちはどこにいくんだろう
....
それは
ありふれた日常に
巧妙に
隠されている
たとえば
ほら
君が今朝飲み残した
コーヒーカップの底に
向かいのアパートの
窓ガラスの黒に
蝋燭の炎を眺めている
....
飛べるはずもない身体を
立ち入り禁止のフェンスにあずけて
みるみる遠ざかる飛行機を見送る
だんだんと小さくなってゆくのは
きっと僕の方だ
手の届かないものたちが
近くに感じられてい ....
どうしょうもなく渇いてしまえば
身軽になるものだというように
からから笑いながら
波打ち際の空き缶の口元を叩く
浜辺の砂
昨日までわたくしは海の中におりました
かつては地殻の内側で赤々 ....
山の上にも
春が来て
キタキツネも
やって来る
遊ぶふりして
野蒜が伸びる
南の斜面で
欠伸する
北の国では
雪が残って
だんだら模様
裏の斜面で
ひっそりと
冬の孤児
....
リンゴ、僕、すごく苦しい
白い霧吹きのような
お化けにさらわれちゃうんだ
きっと
僕の悲鳴は衣を裂くようで
その瞬間に
世界が終わる
世界が終わった後は
狂おしいほど単純な光景
だか ....
風の始まりは
そんな熱の高まりからだと知っている
草笛を吹きながら
その始まりに立っている
(草原は静かに燃える)
気流に運ばれてゆく草の音は
枯れ色の野を赤く染めながら
や ....
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