{引用=さびしさで明けた一日は
かなしく暮れゆきまた終わる
遠くのどこにも里はなし
近くのどこにも愛はなし
かなしみで終えた一日は
知られぬなみだで幕となる
みあげるどこにも星はなし
....
見頃のはずの桜を散らす雨
僕等の体にも雫をこぼし
明日に備えてと帰宅を急ぐ
待ち合わせの朝に受け取る電話
君の枯れた声で風邪だと気付き
見舞い帰りの路地裏に咲いた
小さな綿毛をくし ....
これは悪意なのか
単なる敵意なのか
ただ凹むだけだ
剥き出しになった
露わな感情に
なぜだと今更聞かない
ただそうしたいから
そう言ったのだろう
私では考えられない
執拗 ....
もう夏の野菜たちを食べている
君たちを育ててきた人は
どんなふうに思うだろうか
皮を剥かれて
切られたり叩かれたりして
木のまな板の上で
内側まであばかれる
まだ初夏なのに、ね
....
仕事が終わり
公園にひとり
子どものころに
遊んだままの
こんな夜更けに
遊ぶものはない
呆然と立ち尽くす
ブランコと滑り台
季節が変われば
風が変わろう
水のように
私 ....
清楚である姿を評価されるあまりに
欲望を抑えつけられたヴァージンガール
キモイだのうざいだの言われたくないから
いつもいつも誰とも言葉を交わさない純白のチェリーボーイ
知りたくないこと ....
さ
バクちゃんは
経営していたコンビニをたたんだって
さ
バクちゃんは
東京に出てきて
お笑いコンビを組んだって
さ
バクちゃんは
食べてた夢をネタにしたって
さ
バク ....
夜
ビルの間を車で抜ける
慣れた街の裏通り
ちょっとエモーショナルなHOUSEを聴いて
心地よくて人生を忘れる
意識が消える瞬間はいつも素敵
うるさい自我が吹き飛んで
音 ....
通りすぎた時
触れ合った手に
金色の光が見えることがある
それが縁というもので
その光がはっきり見えるようになるのは
手が触れたずっと後の話である
縁があった人の思い出は
....
戯言に心奪われている間に
刻々と
夕景は色を変え
惜しむことなく一日の終焉を飾る
何も出来ない人の器を
笑うような神々の所作
手を見つめる人はやがて死ぬといわれるけれど
私は自分 ....
ひとはかくことでしか、解消されないものがある、じぶんはじぶんいがいにはなれないんだ、じぶんはじぶんでしかないだ、じぶんをさがしたってじぶんいがいになれるわけじゃないか、じぶんをさがしたってじぶんいがい ....
心は無防備な壁のように
何も言わずに建っているけれど
音も立てぬまま剥がれてゆくのは
真っ直ぐだった僕の懐かしい声
ずっと一人で戦って来たんだ
ずっと一人で隠して来たんだ
....
美少女のあの子
みんなの悪口言って人気者
真似して悪口言ってみたら
わたしはなんでか悪者に
笑顔のあの子
いつも下品なことばかり
それでもみんなの人気者
真似して下品してみたら
わ ....
有機的な汚れを拭い去られ
白い月はやはり月なのだな
手の届かないほどよい宙空に
ふんわりきりりと存在している
ちょっとした手順の間違いを
指摘されそうなでもやさしく
流してくれそう ....
ぬかるんだ草むらに
芋が一つ転がって
そこに獣が蹄をたてる
水を張った水田に
金色の稲穂
そこに人々は鎌を入れる
気付けばいつも
あぜ道を歩いている
今日もあぜ道を歩いて
あ ....
ある朝目覚めて
ふと
青い上着が欲しくなる
そこで風呂場に行って
蛇口をひねると
じょぼじょぼと溢れだす
かなしみ
浴槽がいっぱいになるまで
五分とかかるまい
白い上着を浸しておけば ....
誰も彼も理想の世界を描くだけ描いて何もしない
誰もがどっかで絶対望んでいる景色はまだ誰も見たことがない
幸せになりたいと神にすがるように皆みんな口を揃えて唱えて祈っているくせに
産まれてから ....
遥かな青い空の彼方に羽ばたいてしまった
ぼく…
もう其処には還れないのだと想った
鋼色の群青色に吸い込まれ
旅立ったからには
もう帰還は許されないのだと
それは私の罪
そして ....
キラキラ輝いていたアイドルは
ギラギラのおばさんタレントに
トロトロに煮込んだはずの愛は
ドロドロの昼ドラ視聴率0.2%
四捨五入で0の手間暇 うそっぱち
愛してあげましょう いつまでも
....
ほんとうのことは
ネットには出てこない
ランキングにも載ってない
誓って
受け身でいるのはいい
誰かの
せいにできるから
みんな
楽々とルールを破る
私は時々
赤信号で ....
初夏の夕暮れ
やわらかい風に吹かれながら
玄関先にしゃがんで
ビオラの花柄を探しては
摘みとる
こんもりと咲き茂る寄せ植えが
あたらしく
生きかえるのが好き
いつからだろう
....
夜の台所で、
テーブルに残った母の湯飲みのなかに、
数ミリ残った酒の水面に映る私を探す。
近づけば近づくほどに私は見えない。
離れれば離れるほどに大きくなる、
蛍光灯に頭が喰われていく。
....
レントゲンに映る骨格の美しさ
CTスキャンの的確さ
MRIに描かれたデッサン
内視鏡のリアルな映画
どれもこれも
何とも言えず美しいのだ
ぼくが外見的に美しいとは言えないけれど
素粒 ....
二人で食べる朝御飯が
何故だか少し恥ずかしかった。
昨晩、互いの体温を感じながら
何もなかったかのように向き合って、
普通に朝御飯を食べている。
夜が来て、また朝が来て
その繰 ....
春の におい
おはなの におい
あたらしいみどりの におい
いきものの におい
もうもどらないあなたの におい
たちこめるいのちの
においのなかで
....
穏やかな風と光が
丘のひだにあふれて
卒寿の猫背を包みこむとき
おひとりさまのスライドには
しみじみとよみがぇってくる
はるかに過ぎ去った
白い季節の ....
えいえんを信じていた頃
私はほんとうの幸福をしらなかった
夕陽 映画のエンドロール 好きな人の背中
見えなくなるものすべてに憧れていた
今を生きていると
恋がそれほどのものではないの ....
炎が眠っている
その熱と光を休めながら
かつて燃えたことを証明する
灰が柔らかな布団になって
炎は夢を見ている
かつて照らし出した
闇の中に浮き立つ人の顔が
ばらばらになって融合 ....
てのひらの紅い花
恋とともに散りました
頬をかすめた桜花
友とともに散りました
胸に抱いた白い花
母が亡くなり散りました
空を仰いで流れる
涙を
そっと指でなぞり
想 ....
茹だる夏の向日葵畑の真ん中で
自分のためだけに泣いてみたい
1日の長さを感じながらね
泣き疲れて眠って起きても
まだ太陽は誰のためにでもなく
燃えていてくれるんでしょう
あと50億年の命の ....
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