命のことなど問われれば
とってもエライ国会議員
「七十歳になってもまだ生きて」って 怒鳴ります
「七十歳になったら死ななあかんね」
六十九歳のお母ちゃん
淋しく笑って固まった 父の ....
指先に流れ込んでくることばたちが綴る詩は
川の流れにたゆたう髪のように絡みついては
また流れていく。ことばたちは生まれては海
月になって遥か彼方の階段をめざしていく。
ことばたちが昇っていく階 ....
風になびく風鈴
風に逆らうライダー
向かい風はもちろん
横風も追い風とも闘う
風鈴のような人生を
オートバイで味付けする夏
空が空を掻き毟り
空はちぎれ ちぎれちぎれる
爪 柱 軌跡 鐘
傷の音 鳴り止まぬ 傷の音
舌の渦
声の洞
青の青の檻
空の囚人
遠い遠い 雨の色から
....
昨夜は寝ながら考えた
僕達は
円の中心を求めるように
いつも中心を求めている
キーボードの上で
テントウムシが{ルビ触覚=おぐし}を直している
ENTERの右の
7HOMEと8←との間
溝にハマった姿勢だが
寛いでいるようにしか見えない
{引用=どこから とか
....
君は知らないだろうよ
夜の向こう側には
大きなぜんまい仕掛けの
塔があるのさ
何の塔かってそりゃ
時をつかさどる塔さ
てっぺんには風車がついていて
時間の風を受けて
ぐるぐるぐるぐ ....
静かに暮らしたい
朝にはパンを焼き
夜には水を飲み
平日は黙って出かけ
休日は車を洗い
あまり欲しがらず
あまりいやがらず
その日あったことはすべて忘れ
一生の終 ....
思い出の公園でブランコが揺れていた。
横浜に降る霧雨は仄かに青色で。
なぜだか僕は独りぼっちで寂しくて。
今在る幸せに気付く事も無かった。
誰もいない公園で僕はブランコに揺ら ....
風に乗り
真夏の匂いが立ち込める黄昏時
草葉に注ぐ夕日と影
蜩の声は空を舞い琴線に伝う
目に映るもの
聞こえる声
とり巻く全てのものに心惑う夕暮れは
束の間 平和だった幼い頃を思い出す
....
夕方
遮断機カンカンカン
電車がはいってくる
また
カンカンカンが鳴る
ひっきりなしだから
夕方
西瓜の温度がとまる
西空が黄ばんでいる
また
....
どしゃ降りの中学校
俺のことが好きなあいつ
傷ついたものたちが着替えはじめる
野ざらしのソファに
自棄になって座っている
クズたちが責められる
擁護されるクズも ....
ああ なんていい風だろう
みんみん蝉が緑の木立に鳴いて
大きな鳥が素早く飛び立ち
鬱々とした気分が
涼やかに洗い落とされていく
この高曇りの八月十一日
[目を閉じれば未だ
橙 ....
晩夏に聞く蝉の声はせつなさが漂う
時折、声が小さくなったり
一際大きくなったり
最期の力を振り絞っているようで
今朝、玄関の前に蝉の亡骸が転がっていた
なぜ、こんなところで死んだのだろう ....
つきさすような北風が
吹きぬけてゆく冬の空は
嫌われ者と思われて
さびしそう
時折舞い落ちる白雪たちが
華麗な姿でなぐさめる
遠くにみえる白銀の山々が銀幕となり
群れとぶ冬鳥 ....
しかめっつらしてないでさ
むりやりにもわらないでさ
ぽかんと空をみようよ
窓がよごれていて
みがきたくなるかも
ふしぎだね
むかしもいまもこのさきも
どこかではかならず
ひとと ....
海は想う
「わたしを包み込むこの方は誰?
凪いだわたしを優しく撫で
荒れ狂っても受け止めてくれるこの方は
空は想う
「ちょいと撫でりゃこの通り
吐息一つで身をよじりやがる ....
趣味で生きているんです
死ぬこともできるかもしれないが
くだらなくとも
生きてゆくことが
せいいっぱいの趣味なんです
まだまだ生命活動を続けたいと
こころが言っているようなので
....
私は泣いた
君という海の波打ち際で
不器用さを
愛おしさから
短所に変化させたのは
慣れすぎた歳月と
甘えすぎた気もち
海辺に向かって
手を繋いだ瞬間を
覚えてい ....
穏やかに沈んでゆく
貝殻の奥で
一枚の花弁のひとひら
(花占いを信じている女の子)
無差別に積み上げられている時間
嫋やかに蕩けている
石膏の奥で
一粒の星屑のひとかけ
(星占いを ....
碧く陽の無い朝に引かれる
細い音の線がある
見えない飛沫が
花を揺らす
羽の空が 暗い川を流れる
午後が午後に集まり
吼え声を上げる
窓の滴をすぎる影
....
吐きそうなぐらいの愛おしさが
懐かしい記憶と一緒に込み上げてきた
もうあの人の顔も思い出せないのに
もういっそ死んでくれと思ってたのに
いつかの日々がヤニのようにこびりついている
いつか ....
健康で
天気がよくて
女房の機嫌がよければ
僕は満足だ!
コトコト走る
1両編成の海鉄を見ていると
失われた何かに気づく
錆びたレールの上を
一面の田んぼの中を
むせかえる緑の中を
ゆっくり走る
その可愛らしい姿
もう二度と
見 ....
田舎の
海辺の町は
夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる
古びた町並みは
時代に忘れ去られ
潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む
人も少ない真っ青 ....
50年後の今夜、満月だ
生暖かくて湿気てはいるけれど
町明かりは遠くまではっきりと見える
夜の風のなかにはもう秋を感じる
宿命められている
それは不自由を言うのではない
....
哀しみに陽がさしてくる
ささないで欲しいのに
いましばらく
いやずっと忘れたくないのに
哀しみに陽がさしてくる
あのこが泣いている
あのこが笑っている
理不尽 ....
生きていることの内にしか僕は生きない
気にしなくても佇んでいる
僕は僕以上になりはしない
様々な色を水面に映して いつも感情は儚く色をまとう
その細やかな手触りを生きていることが内包してく ....
盂蘭盆会
暮れてゆきそうでゆかない
夏の空に
うすももいろに
染まった雲がうかぶ
世界はこんなにも美しかったのですね
なんども見ているはずの景色なのに
まるで初めて見たように思うの ....
もう夜の高速を走っていると
真横から花火があらわれた
夕方の浴衣たちはこれを見に行ったんだろう
サイドミラーにも花火が入る
花火の爆音がきこえている
ミサイルがこんなとき ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43