一つづつひとつづつ
少しづつすこしづつ
慎重に丁寧に
焦らず急がず
積み重ねる努力が
花を咲かせて実を結ばせる
学校の教室で担任の先生が教えてくれた
でもね
だけどね
この人 ....
あー
ギター弾いて歌ってると
空っぽになるなあ
あたしの身体にサウンドホールが空くんです
寂しかったら
ここに飛び込んでおいでよ
鮮烈な響きに身を震わして
泣けばいいよ
君のこ ....
外宇宙から海の近くの君のアパートを結んで
山なりのゆるいボールを投げてみる
猫のあくびより遅くてまばたきよりは速いやつ
うっかり心地よくなってしまいそうな
次の季節の風がカーテンをふくらませる ....
屋根の下の終わらないうた星月夜
昨日来た手紙は捨てる十三夜
この星の果てをめざした秋の蝶
時の河の流れに浮かぶ木の実たち
「さよなら」と書いたお札でりんご買う
....
部屋があたたかいと何も書けなくなった、つま先も踵も地表にはつかず、ふっとうしたひかりになった、七月生まれの人がかに座になって、星座は煮えたぎったあぶくのようだ、部屋があたたかいと何も書けなくな ....
夜を越えて
どこへ行く
朝を待って
何がある
わからないから
荷物を詰めて
明日の海を見に行こう
1.
ベランダのむこうに
海がひたひたと満ちてくる
だから駅前のコンビニも
24時間のスーパーも
どこも沈んでにじんでいる
空の冷蔵庫のなかで
たっぷりと寝た肉を吊り下げて
夜 ....
きみがちいさな黒点につまづいて
細く伸びてみたりさらに縮んでみたり
右手の過去と左手の未来を見比べているころ
困り顔で時間を凍らせたきみによりかかりながら
星たちが残していった虹を見ていたよ
大人は意外と幻の存在を知ってる
自分だけわかっていれば良いと
納得しているから口を噤む
いくつもの不思議を重ねて
君は大人になったから
何もおかしなことはない
細かく震える肌もまた
....
コラージュがわが家のポエジー天の川
わが猫の五キロの体躯秋うらら
ピアノ譜に林檎を載せてセピア色
秋の日に往日をしるピアノ一つ
林檎煮るフォークギターの鳴る部屋 ....
八月の靴で家路の最後の日
冷たくて甘酸っぱくて八月よ
登攀する指たちの鮮やかに泳ぐ風景を目の当たりにしては、花を捥ぐ
稲光として照らされるまなざしは避けがたいせせらぎを背なに負うのだ
その熱を委ね夜へと色をうしなっていく様々な病たちがしなだれて
耳 ....
小さな花瓶に朝が冷えている
うたた寝ゆっくり溶けている氷
冷え切った静寂の前に坐る
うすいひかりに夏の感傷吹きつける
パンクした自転車で夏を通過している
みんな同じような愚かさかかえて朝露
....
夏は初恋
気がついたら好きだったし
気がついたら卒業だった
顔もろくに覚えてないけど
優しい人だった
秋はあの人がいなかった
辛くて辛くて
落ち葉を見ても泣くんだ
恐ろしいほど ....
きりきりと雨の音がしている
ないはずの傷がぐるぐると呻いて
僕は笑ってしまう
きみは何処にだっているのに
まるで恋をしているように急かすのだから
いつだって
ひとは水から生まれて
ひとは ....
君の骨をみたことある、なんて嘘をつく
部屋に入った深夜、床にすわりこむ
あたらしい夜を探して路地をゆく
生きて、辛くても、啄木鳥
瞳 ....
言い表そうとした何百何千のことばも
わたしに少しでも
長くあたるようにしてくれた扇風機の前にふきとばされる
分かってもらえないだろうけれど
暑苦しそうなあなたの寝息が
わたしの世界のロックン ....
みどりごの瞳の奥のほしづくよ
月さやか時計を捨てて丘で待つ
エプロンは空色でした秋の朝
小鳥来るメトロノームのその隣
港町夕焼け市場のレモン売り
十六 ....
誰かに代替わりする夢だった
代わってあげてもいいが
あのひとは男
女の身体に入ってやっていけるのか
打ち合わせ無しにひょいっと
入れ替わって
私が消えて完了する
完了する
私が終わ ....
ちなんで、もしも、である前に
観察するだけのキャットファイトを
虫の温かみで、あざ笑ってみせよう
高熱のオクターブで赤ペンを溶かして
番犬をレンチン、はっかの匂いがするのだ
葉脈のふ ....
なんかなくしていって
傘の色が透明だと便利だけど
コンビニで買ったりして
適当に置き忘れたりして
なんでもそうかもって
好きだった本とか
場所がないから売ったりして
Kindleで読 ....
書くことは思考を連れてくるから、たちどまってはいけないのだ。
季節や天気のせいにした動かない体を冷やして、信号を入力する。
花のことから書こうと思う。
ま夏の花びらたちのこと。さえた緑の ....
朽ちた葉を踏むと
乾いた音がする
傍らに歩くむすこが
聞いて、と
教えてくれる
朽ちた葉を踏むと
風の音がする
今まで気にしなかっただけの
あまりに満ちあふれた
音がする ....
寂しさの淵に腰かけて
心の中をそっと覗いた
心の中は
夜の底のように暗い
でも
暗いけど案外広い
雨は降らないけど
少し湿っている
部屋のあちこちに
カビの生えた優し ....
一本の 道があるよと
それだけで
救いのような希望のような
素晴らしい夜のかけ算。
雑魚寝の朝。
名前も知らない彼らと踊った数時間。
大事なことは何一つ解決しないけど、そこには音楽があった。
見たくないから目を閉じたのに浮かんでくる ....
いちまいの余生に見まがう、あの頬の
夜のふるいにかけられた白き無題よ
こめかみに走る雛鳥、点描にひかりが染みこんだ
その一つひとつはめもりのない朝
捨てられないものを増やした膝を
い ....
自由律?
むろん山頭火さんの句に惹かれて。
ただの、マネ?
NOよ。心からの、オマージュ!
あの猿求めて風の中あるく
撫でたひたいが狭い猫か
まちが紫陽花ばかり自転 ....
初恋を{ルビ啄=ついば}む小鳥に啄まれたとこがいつまでたっても甘い
祖父のつくったハーモニカはなつかしい波の音がするカモメも鳴くし
泣き虫の泣き声で孕んだ空気が夏の青と白に融けてゆ ....
八月の不思議の果ての白い靴
昨日より少しふんわり星の秋
初嵐キッチンクロスが飛んで行く
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