「子どものための幻想詩」
子どもらしい子どもにしたがる
大人のためかもしれない
大人になりきれない子どもがえがく
むなしい まぼろしかも
けれど中にはよいものが
目を磨くん ....
生活感のなかに、だいすきな匂いをかぐ
ゆれるカーテンを抱きしめる
そういうとき、私のなかには
愛しかなくて心細いの
透明な血が流れている
母のお腹のなかにいて
私は目を閉じながら目 ....
水の{ルビ簾=すだれ}がそこかしこに垂れ下がっている夏の部屋に居て、ぼくはもうあの郵便配達夫が来ないことを知っている。ぼくの胸のなかには白い綿毛のようなほわほわした生命体がいつも棲みつ ....
愛は始まりを告げなかった
愛は終わりも告げなかった
愛は形も作らず
愛はどこにも現存しなかった
愛は幻のように思えた
愛は煌びやかな化粧をした戯言のように思えた
愛は歌のように高まる感 ....
秋の細い雨が降る朝
毎日通る通勤路の道路脇に
今日も静かに、丁寧に置かれた小さな花束
三年
置かれる花は変わってきたけれど
変わることができないこともまだあるのだと気づく
止まってしまった ....
ぬれて可愛い犬のあたまを撫でてやる
自分の手が よいもののようにみえてくる
ほんとうのことを言っていればいいと思っているひとのとなりだと
まるでほんとうでないように見えるわたしの手が
....
やばいことはやばいところで起きる。そういう生き死にとはほとんど無縁な場所で自殺を考える俺の中にある余計な物を取り出したい。
雨のおとが体に刺さって下に抜けて行く
その先のまちで
男が酒を飲んで煙草を吸い
女が風呂に入り石鹸の香りを嗅ぐ
花は季節に散る
どうということもない
あたたかな食卓が
どれだけに ....
僕の東側から
今日も君が昇った
コーヒーの香りが
ほんのり温かい
他愛無い話に
マーマレードを塗りつけて
右目は美人のアナウンサー
左目は君の笑顔
ベーコンエッグは
半熟 ....
誰もがみんな、まっ逆さまに死んでゆく
僕は絶望に呑まれて立ち上がる事もできない
死んだら十字架は要らないから棒かなんか差しといてくれ。地面に。
血腥いジャズで朝までウヰスキーを飲む。安い女が話し ....
【新】
手と手と てとてとてと かさなりあって音がする
足と足 大きな靴のなか小さな足が とてとて動く
とおい日の かげが
わたしを追い抜こうとして とてと 立ち止まる
冷蔵庫に ....
もうこの世にはいないように
白い墓標の文字を眺めている
すると小さな手が払いのけて
絵本を読んでとせがんでくる
漂う意識は
もう我が子を眺めるしか
楽しみがないのかね
幽体離脱を ....
随分経ったあとで、ふと思い出し、笑ってしまった
誰かと何かを分かち合うことが上手く出来ないのは前から気がついていたけれど、何となくいつか出来るようになるんじゃないかと漠然と思ってい ....
ふいに風が吹いて
窓がごおごおと揺れているのがわかった
中にいるわたしは本を読むのをやめて
少し水を飲んでから
また読めもしない本に顔を戻す
本の中では狂った男が
ひとりきりで清潔な納屋に ....
ものは
たたいたらへこみ
もとにもどらない
からだは
たたいたらはれるが
いずれもとにもどる
こころは
たたいたらヘコみ
そのあとにハレる
この雨が置いていくあしたをすこしだけ
盗みました ガーゼのハンカチーフはすこしだけ
重たくなりました けれど
いつかしらあしたはあたしを見限り
逃げていきました
気化したい。
汚れる事を恐れない
あなたは強い色
他の色に混じっても
あなたは確かにそこにいる
素のままでいても
あなたは誰も傷付ける事はない
時に眩しく光を弾きもす ....
社会に
二人の時間を
奪われてしまう
でもそれは二人の未来の為で
でもそれは
二人以外の
未来の為で
でもそれで、体を崩してしまった
未来がなくなった時
未来の為 ....
あなたが動けない朝
わたしの空気も重くなる
言葉にできない気持ち
心の病気もみえればいいのに
ふれてはいけない部分を知りたい
あつあつのやかんみたいなの?
カチカチの氷みたい?
....
160915
流す日記を書き終わり
一気にカーテンを開くと
そこには母の顔
月が出ているよ!
あなたの大好きな
あなたは2100年に ....
流民をへて流民にあう
きみは遠い昔の記憶の中の文学少女
すべての物語を読み切れないように
たとえばたった一人の歴史も解析できずに
やはり僕はでくのぼうにもなれない半端者
きみの洗礼を ....
久しぶりに電話してみる
着信音が十回で、切る
内心ホッとする
まもなく向こうからかかってくる
少し慌てる
「なに?どうかした?」
声を聴いて安堵する
「いやどうもしないけど。今話せるの? ....
男がため息をついている
背中はどんどん小さくなって
いつのまにかそこには
泣きそうな男の子がいるだけになる
男はせきばらいをひとつして
たちあがって歩いて行った
その背中はまだ少年だっ ....
ふふふとほくそ笑んでみる
訳はない
意味もない
他人が見たらさぞ気持ちの悪いことだろう
楽しいこともなく
面白いことを思い出したのでもない
笑顔を浮かべてみたくなったのとも違うけれど
そ ....
檸檬のまわりを、笑い声が歩いている
ちいさいね。
そして可愛らしいね。
酸っぱくて。
わたしあの子好きよ。
くすくす、くすくす
天鵞絨の大地の真ん中に
オーデコロンの風に晒されて ....
落っことされ踏み潰され地べたで
もんじゃ焼きになったタコ焼き
大量の蟻にたかられ
真っ黒になったりんご飴
未消化のイカ焼きと
未消化のソーセージを
マヨネーズとマスタードと
秘伝 ....
この気持ちの悪さを
医師に伝えられる自信がなくて
今日も病院からは足が遠ざかる
左側の肩甲骨の少し内側、背中寄りが
熱を持っている
そんなことを言って信じてもらえるのだろうか
....
テレビは水のように流れているが
水ではなくてジュースだ
甘い内容で
働きアリを誘い出す
普通の人のように
屈託なく笑おう
普通の人のように
チャーハンを食べよう
普通の人のように
洗車をしよう
普通の人のように
スポーツを楽しもう
普通の人のように
善いことをしよう
....
わたしはこれから
目を覚ますから
あなたはカップを出しておいて
コーヒー豆は冷蔵庫、
ナッツ・ケーキは戸棚のうえに
泣いてるうさぎにベッドを貸して
手をつないで坂を下ろう
....
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