母さんに
ブティックを
プレゼントしてあげたい

もう街にいかなくていい
大好きな洋服が
売るほどあるのだから

試着室で
好きなだけ
試着することができる

しば ....
 
 
生きている
記念が欲しい

一枚の写真になったり
愛しあったり
つまらないことで口論したり
仲直りしたり

記念のためなら
死んでもいい

綺麗にくびれた
腰が膨ら ....
 
 
わたしたちはいつか死ぬ
ということは
死にゆくわたしが見てるのは
夢なのではないか
 
+
 
わたしは空を飛ぶ
鳥だったような気がする

わたしはアスファルトに咲いて ....
 
 
正確な数値はわからないけれど
たぶん5%くらいになったあなたの体が
目の前に横たわっている

よほど熱かったのか
素手で触れることはできなくて
箸で摘まんでいる

かつてあ ....
 
 
高架橋のところまで
電車を見にいく

生まれる前から
そうすることが
決まっていたように

電車が来るのを
待っている

死んでしまったら
できな ....
 
 
はじめて
海水浴に行った

遠浅の海を
沖に向かって泳いだ

ふりかえると
父と母と妹が
あんなにも遠い

あわてて岸にもどった
かき氷をを食べて
みんな
家に帰 ....
 
 
七才のとき
斎藤内科の待合室で
はじめて死について考えた

三歳のとき
母の背中におぶられて
私はいま三歳で
母におぶられているのだと
考えていた

高校の入学式の帰り ....
 
 
父は風呂に入りながら
トランジスタラジオを聞いていた
湯船に落としてしまっても
乾かせば直ると言っていた
実際お湯に沈んでも
ラジオの音は止まなかった

僕も父の真似をして
 ....
 
 
今日もはみだしている
淀みのようなところで
濾過された水が
次の流れへとはみだしていく

必要のないものが残っている
昔大切だったなものが
今は地名のように残っている

 ....
 
 
古い知人に会った
五年ぶりに会った
会うなり僕の肩を揉んだ
思えば古い知人に肩を揉まれたのは
はじめてのことだった
古い知人は
古い知人のふりをしてる
知ってるだけだから
 ....
 
 
朝、目覚めると
四十歳になっていた

王選手が
七五六本目のホームランを打った
ポスターが貼られた
四畳半の部屋で眠っていたのに

昨日は小学校から帰って
庭でスキー遊び ....
 
 
掌に、和子
昔、手をつないだことがある人
初恋の人

みぞおちに、浩人
祭りの日に喧嘩した
それから何故か知らないけれど
親友になった

右肩に、麗子
距離は縮まらなか ....
 
 
会いたいのに
会えない人がいる

帰りたいのに
帰れない家がある

戦争を知らずに
僕らは生まれたけれど
争いを避けずに
僕らは生きていけなかった

いつからなのだろ ....
 
 
家電に生まれて
気がついたことがある
わたしには声が無い

たとえば
ファンヒーターは
ファンヒーターであるために
温風を吐き出すことで
せいいっぱいだ

電子レンジは ....
 
 
2000年代物の胡桃をひとつ
と言うだけであらわれ
それは再現される
スタートレック
君は?
と訪ねられて
じゃあ、あなたを
2000年代物の
データ少佐を
あらわれたの ....
 
 
いつからそこにいたのだろう
しわしわの殻に包まれた
わたしの祖父

甘さと渋さを身に秘めて
日が暮れるまで
縁側の外を見ている

殻に閉じこもりながら
本当は外に出たい
 ....
 
 
夜更け
冷たくなった台所で
誰かがじゃんけんしてる

声は聞こえないけれど
それは
たしかに聞こえている

誰もいない台所で
聞いている
じゃんけんに
勝ったものは声 ....
 
 
掌をふたつ合わせて手に入れた
祈りを今日の命に変えて
 
 
 
 
伝えたい気持ちを形にして
あなたに届けたいけれど
そもそも私には形がなかった
とでも伝えたいのだろうか
どこかから吹いてきた風が
もう一つのどこかへと走り過ぎていく
その向こう ....
 
 
魚屋にいくと
魚屋さんが魚になっていた

わたしは予測していた
いつかこんな日がくることを
だって
こんなにたくさんの死んだ魚を
毎日店にならべることができるのは
きっと魚 ....
 
 
あの日の雨が
まだ降りつづけている

ぼくはきみの
短い小指を思い出し
きみは普段走り慣れた道を
はじめて走る道のように
車を飛ばしてぼくを思い出している

出口をさがし ....
 
 
言い訳のように
日は昇り
言い訳のように
日が沈む

言いたいことがあった
その日は
もうここにない

ここにはない
言い訳ばかりが
空と海の隙間
地平線で
まだ ....
 
 
立ち食いそば屋で
夕飯を食った

客のほとんどは
お酒を飲んでいて
立てなくなると
ざるそばを食って
次々と去っていった

素数について
話している客がいた

立て ....
 
 
ぼくらは
うすっぺらな
辞書を一冊もっていて
辞書に書かれていないことは
あってはならないと
願ってしまうものだけれど
たとえばバスに乗るときなど
その行き先が
本当に帰る ....
 
 
今日は晴れたので
君と散歩に行く
君は摂氏三度
手をつなぐと
昨日よりもあたたかい

こうしてるうちにも
春が近づいている
なるべくそのことには触れないように
君の手を握 ....
 
 
恐竜の鼻先に
トンボが一匹止まっている
それはただの偶然
恐竜はトンボを食べないし
トンボも食べられるとは思わない

わたしたちは生きていくために
必要のないことばかりして
 ....
 
 
凍りつく雪道を
自転車に乗ってたら
つつつーっと滑った

つつつーっは
るるるーっになって
滑っていく
斜めになった視線の向こうには
生まれたばかりの
 ....
 
 
白ヤギさんから届いた手紙を食べている
しかたがないので手紙を書いてしまう
という展開を知りながら
次々と届く手紙を食べている
白い糸を吐きながら
やがて後悔している
黒ヤギなど ....
 
 
ポプラ並木があった
ポプラ並木は
ポプラ並木でしかない
そのことを
証明しているかのようだった

ポプラ並木があった
根っこのあたりを
無数の蟻が歩いていた

ポプラ並 ....
 
 
風邪をひくと
風邪の気持ちがわかる
希望がないのだ
夢を見ることはできても
悪夢ばかり
風邪は子供

もう会えない人が
夢の中にいる
もう会えないとわかってるのに
また ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
ブティック自由詩310/3/9 8:24
記念自由詩110/3/8 3:13
自由詩610/3/6 3:06
5%のダイエット自由詩4*10/3/5 0:28
高架橋自由詩610/3/4 1:32
海水浴自由詩110/3/3 1:35
帰り道自由詩310/3/1 0:19
トランジスタラジオ自由詩510/2/28 0:17
ふっとの自由詩3*10/2/27 21:26
古い知人自由詩110/2/27 0:56
手紙自由詩210/2/25 3:28
名前自由詩6+10/2/24 2:33
白い原稿用紙自由詩6*10/2/23 5:02
心理自由詩110/2/20 3:07
胡桃[草稿]自由詩010/2/18 1:46
胡桃自由詩5*10/2/18 1:12
じゃんけん自由詩2*10/2/17 1:20
祈りと命短歌310/2/16 2:08
バレンタインデー自由詩210/2/15 0:17
魚屋自由詩410/2/14 17:56
雨が透明なのは思い出だから自由詩210/2/13 2:02
言い訳自由詩310/2/12 4:03
素数自由詩1110/2/11 0:37
辞書自由詩210/2/10 0:37
雪だるま自由詩510/2/8 23:21
余生自由詩210/2/7 23:25
雪道自由詩410/2/7 0:00
かいこ自由詩6*10/2/6 21:14
ポプラ並木自由詩110/2/6 1:17
風邪自由詩510/2/5 23:31

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