足音が聞こえる
誰の足音なのだろう
ふりむくと隠れる

また足音がする
誰のための足音なのだろう
ふりむくと隠れる

ふりむくたびに
料理の数が増えていく
おなかが空い ....
 
 
とても広かった
世界がこんなにも
小さくなって
わたしは人の形をしている

魚になることも
鳥になることもできた
自由なこの世界で

いくつかのわたしが
はみ出してしま ....
 
  
愛という字を
上手に書けないまま
この年齢になってしまった

心が大きくはみ出したり
小さく遠慮して
収まってしまったり

愛という字は難しい

昨日久しぶりに電話し ....
 
 
スーパーのかたすみで
君が開発した商品が
売られている

九十八円で
売られている

定価がいくらかなんて
ここで言えやしないけれども

君はこの商品の
発売が決まっ ....
 
 
わたしは布団の中で
息を飲んだ
なすすべもなく
血が流れるであろう
人が生まれるであろう
そこから
わたしはやって来た
なにひとつ持たず
生まれたままの姿で
わたしは布団 ....
 
 
免許証の更新に行ってきた
誕生日が近い
君も来てると思ったら
やっぱり来ていた
ひさしぶり
と話しかけたけれど
君は俯きながら何も言わず
僕とすれ違って
写真撮影の方へ行っ ....
 
 
いつかの電車の中
きみの隣にいる
窓から見える
もののすべてが
きみとつながっている
薄れゆく意識の中
いつまでもここにいたい
ふたり同じ景色になって
 ....
 
 
海の向こうから
一両編成の
列車がやって来る

線路の上を
走り続けることを
あの日諦めてなければ
というような顔をしてるけど
僕はそのことについて
何一つ触れない
他 ....
 
 
駅前で
象が似顔絵を描いてる
めずらしいので
たくさん人が集まってる
似顔絵はとても上手だけれど
鼻だけ象みたいに長いので
群集の歓声はどよめきに変わる
目から涙が零れてる
 ....
 
 
はるか
彼方から
名前がやってくる

形を持たない
記憶になって

あの空の
波のむこうから

はるか
おまえの名前が
やってくる
 
 
 
 
ねむたくて
ぼんやりしてると
人の話聞いてるの
と雌ライオンの
妻が言うので
雄ライオンの僕は
目の前を通り過ぎていく
バスを見送って
聞いてるよと
ラ ....
 
 
階段をのぼる音がする
子供のからだのまま
大人になってしまったこころで

夕暮れ
母は一尾の魚をさばきはじめる
命の尊さも
生きることの残酷さも
何も語らずに

父は形 ....
 
 
恋するため息が
星になって
夜空に瞬いている

たくさんの思いと
願う心
まだ叶わない
たくさんの星の数々が
今夜も切ない

夢が叶うと
流れ星になって
その人のも ....
 
 
辛いね
ルーばかり食べるからよ
微笑んで
きれいにバランス良く
カレーを食べている
君と違って
ごはんばかり残してる
自分の皿を見て
恥ずかしくなる
子供じゃないんだから ....
 
 
ごめんな
と言う

ただ
ひたすら

ごめんな
と言う

あやまる
理由なんて
はじめから
なかったのに
 
 
 
 
あんたなんかね
あの時あたしを
見捨てればよかったんだよ

三十半ばを過ぎていた
あの時僕は妻と結婚した
僕の意思で子供をつくったために

安定した職に就いている
幼なじ ....
 
 
減りもせず
増えもしないものを
あなたはステージの上で
惜しみなく見せている

たくさんの
紙幣や小銭が
あなたへの対価として
支払われていく

夕日のような
スポッ ....
 
 
水に触れると
懐かしくて
飛び込みたくなるけれど
息が出来ないから
死んでしまったあの人や
まだ生まれていないその人は
水の向こうにいるのだろう

何度も水に触れると
く ....
 
 
失ったところに立っている
父さんと僕が
二人で写真をを撮った後
ふと思い出したように
西の空を見ている
あの日と同じ
今日という一日も
その一部分に違いなかった
 
  ....
 
 
あの夏の日の
電話ボックスの中
受話器を持ちながら
あと一桁ダイヤルを
回せば届く
思いがあった

あの夏の日は
静止したまま
僕は僕の海に溺れ
窒息している

何 ....
 
 
人は
その人の型に
はまるようにして
生きてるのではないか

はまってないから
という理由は
当然ではないか

僕は
今さらのように
君の型になってみる
すると君は ....
 
 
暗闇で
手を繋いで歩いていた
手首だけになって
手首からその先は
僕のようで君ではない
魂になったように

君の息遣いが聞こえる
楽しそうに
何か話してる
僕も何か答え ....
 
 
見えているもの
それが少し
へんなものであっても
僕らは生きることに
必死だ

街ですれ違う人たちが
冷蔵庫だとしても
見えているもの
それが少し
へんなものであっても ....
 
 
建物を見上げる
人がいる

建物が壊され
人は死んでいく

新しい建物を
見上げる人がいる

人が壊され
建物は死んでいく

この世界で
人に生まれた

私が ....
 
 
見つめてると
雲が流れてきて
君の背中は
いつしか空になっていた

飛べない空が
どこまでも続き
続かないところで
君は思い巡らせている

地上から叫んでも
届かない ....
 
 
青い血が焼かれ
夜が訪れると
失った
命の部品を探しに
空が朝を追いかけていく

僕は君を追いかけていく
君がかつてあった時を
空とは反対の方へ

君の赤い血が流れてい ....
 
  
懐かしいことをしている
八十歳になった
私が今を
そんなふうに思い出す

つまらないことをしたね
本当に
つまらないことばかり
してたね

遠い目をして懐かしむ
八 ....
 
 
しまわれている
音がする
きっとそこは
水が流れている
遠いところ

私たちの
さかなたちが
静かに息継ぎしてる
幅も奥行きも
高さも失ってしまったのに

それ以外 ....
 
 
夕日が沈むと
真っ黒な紙を空にしきつめ
穴のたくさん開いた
空の向こうから
いろんな色の
ランプを照らしてる
私たちは
それが星であるかのように
夜空を見上げている

 ....
 
 
朝目覚めると
セブンスターを吸った
誰のかわからないけれど
同じ質量の
わたしも目を覚まして
セブンスターを吸っていた

あの頃と同じ質量の
今日がはじまる
同じ質量のは ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
はみ出している自由詩109/5/7 23:17
明日の予定自由詩2*09/5/7 21:57
愛という字自由詩809/5/6 21:49
自由詩209/5/6 3:09
歴史自由詩109/5/6 2:21
免許証自由詩109/5/4 22:05
いつかの景色自由詩209/5/4 16:47
大後悔時代自由詩3*09/5/4 14:54
象の出来事自由詩209/5/2 22:51
はるか自由詩1*09/5/1 2:51
ナイトサファリ自由詩309/4/29 23:21
光を見たその場所で自由詩209/4/29 1:36
眩しいため息自由詩4*09/4/28 3:24
ランチタイム自由詩309/4/27 1:23
理由自由詩109/4/26 5:00
愛の言葉自由詩609/4/26 4:45
ストリッパー自由詩3*09/4/24 4:55
水に触れる自由詩9*09/4/22 5:59
古い写真自由詩209/4/18 8:55
超躊躇自由詩5*09/4/15 4:32
人の型自由詩109/4/15 3:44
真夜中の散歩道自由詩409/4/14 2:14
見えているもの自由詩409/4/13 3:41
人と建物自由詩009/4/12 23:50
背中の空自由詩309/4/12 0:42
空のある世界自由詩709/4/11 4:14
懐かしいこと自由詩209/4/10 3:54
しまわれているところ自由詩4*09/4/9 0:11
夜空から、ありがとう自由詩509/4/8 6:49
セブンスター自由詩209/4/6 2:36

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