鏡にうつる
自分を見てる
ありもしない
本を読んで

ふすまが
開く音がして
慌てて
本を閉じる

それでも
気づくことなく
人は次の
ふすまから出ていく

少し
 ....
 
ニックネームしか
なかったら
人の名前はなんだろう

ニックネームしか
なかったら
名前以外が人になる

ニックネームしか
なかったら

あなたの
名前を呼ぶ人と
同じ ....
 
人と
人ではないものが
遠く
電車の音に
秋を知る

かわいた肌を
懐かしみ
風を舐める

ふみきりの
音が止む
くしゃみしてる
静けさの向こうで
人恋しく
こおろ ....
 
食べものが
食べものでなくなるとき
食べる
行為をあきらめた
音がする

音色と音色が音もなく
鳴るとき

卵が割れたり
割るしかない朝が
人の意識に
訪れる
 
 
もう会わない人たちが
改札を通過する

昨夜知らない人たちと
あんなに
飲んだはずなのに

今朝はやけに顔のない
彼らの名前を
だれも知らない
 
 
いろんな空が
ひとつの空で
暮らしてる

言葉もなく
言葉ばかり集めて
あの頃
僕は
何を見てたんだろう

こんな空がある
あんな空もあった
そこで
暮らした日々よりも ....
 
冬でもアイスが
買えるようになってから
妹がいる

冬でも愛した
恋人と暮らしてから
それでもまだ
妹がいる

冬にアイスを食べた後
当たりなのか
つい
確かめてしまうよ ....
 
太陽のない
惑星の
生きもののように
夢を見てる

漆黒の意識の中
聞こえない
囀りと
見えない鳥

あの空も
雲も
地平線と
沈みゆく太陽さえ

目を覚ます
 ....
 
この雨の
景色を覚えてる

父に手をひかれ
玄関の
扉をあけた

その時
降りはじめた雨を
あれから僕は
ずっと
見てる気がする


僕の手の中にある
小さな手
 ....
 
隆起した部分と
しわになった部分の
すべてが僕のものになる

からだ

僕はからだになる
からだになりたい
からだだった

からだ

血がめぐる
この地表の下で
マグ ....
 
鯉が泳いでる
恥ずかしそうに
ヒゲをはやして

あのヒゲは
何なのだ
鯉にはヒゲがあるのだ
何のために
あるのだ

きっと
恋のためなのだ
あのヒゲをさわりたい
けれど ....
 
掌の草原はしる僕がいる

生命線地平線のむこう側

夕暮れを切った爪が伸びている

風が吹く隙間を通る指と指

ないものを掌あわせたしかめる
 
 
家を
ぼだされだ
わらしが
わらしでなぐなるまで
泣ぐ声が聞ごえだど

おめは
山がらひろってきた
わらしだがら
ほれ、見れ
この柱さ傷がある
熊の爪あとが

オドは言 ....
 
家族のために
家族がある
家族の中に
仕事のための
仕事があるので
クッキーも焼けない
お母さんに
僕は
勉強のための
勉強がありますので
おやすみなさい
さようなら
明 ....
 
ただいま
あの渓流沿いの
真夏の道をはしる
僕の源流よ

さようなら
また会う日まで
流れていますように
道を流れる水が
きっと僕が人である
その日まで

こんにちは
 ....
 
宝石
ではないものばかり
身につけて
宝石になる
女たちに
贈ったものたちは
埋もれた
地層から発見された
女だてらに
それは
光を失わない
夜空の星の数だけ
駆け ....
 
友だちの
りんご畑から
りんごを盗んでしまった

十数年後
街でばったり
友だちに会った

一緒にお酒を飲んだ
ふところには
あの日のりんごが
ひとつあった

りんごは ....
 
いつもの
一日がはじまり
暮れていくだけだった
はずなのに

雨が降ってる

屋根を叩き
地面を濡らす
音が
ただしてるだけ

このまま
すべてが終わるまで
 ....
 
さあ
詩の時間です
と言われても
照れくさく

授業が終わるまで
僕は
窓の外を見ていた

おばさんたちが
道すがら
話す声が聞こえる

おばさんは
どうしてあんなに ....
 
せまい部屋の
小さな飯台をかこむ
家族がいる
いつもの朝だった

祖父はよく
僕のおかずを間違えて
食べた

だれも
気づかない
静かに人が食べる
音だけの
朝がつづい ....
 
たくさんの
言葉があるのに
ひとつしかない
辞書

いつも
同じ言葉を繰り返しては
おなじ辞書で
たしかめていた

今日も
あたらしい
言葉が生まれた

辞書を引くた ....
 
ライオンは
もう流行らないので
亀がリーダーになった

亀は亀なりに
がんばってるけれども
亀以外の動物は
待ちくたびれていつも
居眠りばかりしてた

ライオンの背中に
甲 ....
 
馬にまたがって
本を閉じる
栞をはさむのを忘れたまま

目の前が揺れてる
馬とともに
風とともに
新しい物語がはじまる

馬をおりると
手料理の皿を持ってる
あなたが
あ ....
 
ラーメンも
それ以外も
よく食べた

一人で食べる時も
それ以外の時も
よく食べた

ただ、

あなたと
二人で食べる夜に
それ以外、は
なかった
 
 
川の向こうに
黒猫がいる
こちらをじっと見てたのに
いつのまにか
居なくなってる

遊歩道でひろった
小さなノートをひらく
知らないことばかり書かれてある
わたしは石に
名 ....
 
半チャンラーメン大盛りで

いつものように
注文したら
大盛りは百円増しになりますと
今日はじめて聞いた

ずっと大盛り無料だったから
たったの百円が
微妙に高く思えたので
 ....
 
金魚だった
時の記憶がよみがえる
透明な水の中で
息をしながら
その向こうに
白い建物が見える
人だった
時の記憶がよみがえる
わたしは今
どちらなのかわからない
夢 ....
 
焼け落ちた
羽がまた羽のように
はばたいてる

焼く前よりも羽らしく
空気をとらえ
空気におぼれながら
屋根の上に
鳥がいる

まだ飛べない
幼い鳥の声がする
途方にくれ ....
 
水のために
夜は流れるので
その最下流
海が見えるあたりにはきっと
朝がある

朝のために
水は流れるので
その最上流
泉が湧くあたりにはきっと
命がある

そうして
 ....
 
 
鏡のしくみ


ふたつの世界を隔て
ふたつの世界を結ぶものがある

手をふれるだけで
抱きしめることはできなかった

今日はピーターが
誰かをさがしてる

鏡のむこ ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
部屋自由詩208/8/23 19:34
名前自由詩008/8/23 0:08
ニュータウン自由詩1*08/8/23 0:03
意識の音自由詩608/8/21 22:58
大都会自由詩308/8/21 22:29
故郷の空自由詩408/8/21 21:10
アイス自由詩508/8/20 22:57
夜球自由詩5*08/8/20 20:43
雨の景色自由詩308/8/19 22:04
からだ自由詩108/8/19 1:17
自由詩108/8/19 0:08
掌の記憶俳句308/8/18 22:54
小熊とわらし自由詩408/8/18 21:14
日本人としてのイチロー、あるいは日本人になれないわたしたちに ...自由詩108/8/17 23:09
キャッチ・アンド・リリース自由詩108/8/16 22:48
「宝石」自由詩1*08/8/15 23:01
りんご自由詩708/8/15 17:10
夏の雨自由詩008/8/15 13:02
詩の時間自由詩208/8/14 16:24
暮らすように歌う自由詩13*08/8/13 19:44
辞書と言葉自由詩108/8/10 23:29
生態系のしくみ自由詩008/8/10 23:08
自由詩208/8/10 0:02
それ以外自由詩008/8/9 22:32
梅田川自由詩2*08/8/9 18:23
(←写真クリックで拡大)自由詩1*08/8/8 23:06
夢の中で自由詩3*08/8/7 13:02
屋根の鳥自由詩208/8/6 20:59
水のための夜自由詩4*08/8/4 22:23
鏡のしくみ自由詩308/8/4 20:49

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