きゅうじつ
のっぱらにねころんで
そらをみている

くもが
すこしずつ
かたちをかえながら
いそがしそうに
そらをながれていく

あれはあれで
しごとをしているのだ
 ....
 
 
日曜の午後
まだ若かった父と
釣りにいった

一尾の鯉を釣り上げた
家に持ち帰って
僕が釣ったんだよと
母にいった

さっそく料理してくれ
父がいうと
きれいな川なの ....
 
 
いつからか
りょうしんのせなかに
はねがはえている
まだそらをとべるほどではないから
あんしんしてるけれど
それはすこしずつ
おおきくそだっていることが
あうたびにみてわかる ....
 
 
こどくであることが
きんじられているのだから
むれている

たけばやしで
たけはかぜにゆれている
みずからのかっとうに
かぜはとてもよくにている

あるばん
たけばやし ....
 
 
懐かしくて
よい匂いがしてきます
家の匂いによく似ています
目を瞑ると
窓から光がこぼれます
もういない人の
声もよく聞こえます
 
 
 
 
はざくらのころ
れんきゅうのひに
ふるさとのうらにわで
かぜのざわめきをきいている

わけもわからずに
まつようにしている
ひとになるまえの
ははをおもいだすようにして
 ....
 
 
ちいさなかねが
とどいている
それはてがみ
かあさんがくれた

へんじはかかない
ぼくのかねは
きれいに
ひびかないから

ひげをはやした
あなたのこどもが
おもっ ....
 
 
死にかけた
山で吹雪の
向こうには
斉藤の部屋
の灯りがある
 
 
 
 
息子が
ひらがなを
逆さまに書いた

いつから僕は
鏡の世界に
いたのだろう

左から分けた
髪が右に
そよいでいく

街宣車の怒号も
静かな春に
よく馴染んで ....
 
 
てのひらを
みみにあてると
なみのおとがきこえる
そのうみを
いっぴきのおおかみが
わたっていく
とおいむかしに
ほろんでしまった
くにのしきちに
さくらがさいている
 ....
 
 
しあわせな
人が書く詩は
どことなくわかる

役に立たないことを
知ってるから

しあわせな
人が書く詩は
少しだけせつない
たりないものが
少しだけ
残ってしまう ....
 
 
イデオロギーが
目的ではなく
手段なのだとしたら

人として
あるべき姿が
目的ではなく
手段なのだとしたら

二十一世紀
初頭を生きている
僕らが信じていた
二十 ....
 
 
帰宅して
テレビを点けると
職場の人たちがいた

今日の忙しさを
器用な言葉で
楽し気に話している

着替えながら
会話に耳を傾ける
笑っても
話しかけても
彼らに ....
 
 
また首になりそうだよ
顔のない父が言う
もうとっくに切り落とされた首を
また切り落とされるまで
明日もできるだけ頑張って
働きにいく

もの心つくまで
父の首が玩具だった
 ....
 
 
恋をしたのだと
人に告げると
恋はなぜか
はかなく散る

だから僕は
無人駅で
一人列車を降りた

切符は思い出に
コートのポケットに
恋の日付が
記されたまま
 ....
 
 
アメリカでは
志願すれば
誰でも兵士になれた
九時から五時まで
一時間の
昼休み付きで

日本では
精兵だけが
兵士になれた
一撃で
敵を倒すはずだから
勤務時間も ....
 
 
君の目に写るのは
赤い満月か
蒼く光る新月か

目に写る
それは大抵見えている
目に写らない
それも

昨日わたしは恋をした
日没の背に
その向こうにある
朝の胸に ....
 
 
声が聞こえる
とても遠いところから
すぐ近くから

ここにいるよと
声が聞こえる
わたしの隣の席から

贈り物が届いている
箱を開けると
欲しかったものばかり

微 ....
 
 
やすみなさい
明日できることは
明日の楽しみ
だから
取っておきなさい

おやすみなさい
眠る君に言う
起こさないように
明日の君の
幸せのために

今日できること ....
 
 
黄砂の降る甲子園を
選手たちが行進している

選ばれたものだけが
行進している
選ばれなかったものたちは
観客席で選手を見守り
さらに選ばれなかったものたちは

あてもな ....
 
 
鳥籠で
キリンを飼うことにした

キリンは可愛らしくて
このまま鳥籠より
大きくなってほしくなかった

けれども心は違った
僕がいない時
沈む夕日にアフリカを見ている
 ....
 
 
仕事はすべて
機械がやってくれるというのに
人はまだ働こうとしている

機械に負けないように
速度ではかなわないけれど
きっと彼らは何日も寝ていない

私は今
午前なのか ....
 
 
冬の雪の下
土の中で正座していた足を
今ゆっくりとほどいていくように
私の足にも
春がおとずれている

痺れる感覚に
気を失いそうになりながら
すみずみまで血がめぐる
生 ....
 
 
みあげると
よぞらである

ほしひとつない
わたしのひふの
うちがわである

こどくがつづく
さばくをあるきつづける
わたしである

こえがとどく

あなたのよぞ ....
 
 
透明な水槽に
きれいな水を満たしていく
やがて現れる一匹の魚を
妻と二人で待っている

数億と言われる精子は
あらかじめ神様が予想した
人の数かもしれない

水槽の向こう ....
 
 
限りない世界だと思っていた
生まれた家も
家の外も

知らない道を迷っていた
草ぼうぼうで
怖いから家に帰った

ものごころがついて知った
そこは近所の球場の
外野の土 ....
 
 
三十九にしては
綺麗な奥さんだね
ありがとう

少し高そうな
靴を贈りたくなると
君は言う
ありがとう

休日出勤の朝
肩を揉んでくれた
君が産んだ
子供と二人で
 ....
 
 
まだ生まれていない
君を心配してる

生まれたら
誰も経験したことのない
君の人生が待っている
君が君であるために

僕は何度か死にかけたことがある
鼻先を
時速百キロ ....
 
 
なにも無い
遠いところから
君はやってくる

名前を持たずに
やってくる
君の名前を考えている

夜十時で閉店した
ジャスコの二階フロアを
エスカレーターの下から
少 ....
 
 
母の夢の中に
わたしは現れました

たくさんの人たちの
夢の中にも
わたしは現れました

母の夢の中に
ふたたび現れたのが
妹でした

彼女も同じように
数えきれな ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
くも自由詩510/4/29 2:17
ご先祖様自由詩110/4/28 5:19
とり自由詩810/4/27 3:41
竹のはな自由詩710/4/24 3:50
音楽自由詩410/4/24 2:17
葉桜の頃自由詩010/4/21 3:47
ラ・カンパネラ自由詩1*10/4/20 1:18
斉藤の部屋短歌510/4/19 3:37
静かな春自由詩410/4/19 1:44
海を渡る狼自由詩3*10/4/18 1:22
忘却自由詩810/4/17 2:49
開花自由詩210/4/16 14:05
歯磨き自由詩310/4/15 2:46
自由詩310/4/14 4:33
春の切符自由詩3*10/4/13 2:23
新しい戦争自由詩310/4/12 1:48
赤い蒼玉自由詩5*10/4/10 2:31
春の席自由詩510/4/6 3:24
おやすみなさい自由詩3*10/4/4 4:43
The march in March自由詩1*10/4/1 2:35
鳥籠のキリン自由詩110/3/31 2:50
しずまない自由詩2*10/3/29 1:32
許せない春自由詩4*10/3/28 2:34
春の夜空自由詩410/3/23 22:07
水槽自由詩410/3/21 1:43
スクイズ自由詩010/3/19 2:12
休日出勤自由詩010/3/15 5:17
尊さのその先自由詩4*10/3/13 3:27
自由詩5*10/3/12 6:10
目覚め自由詩110/3/10 1:02

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