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虹を作る
その生き物の背中には羽があって
だけどそれは
空を飛ぶためのものじゃないらしい
六月の晴れ間を見つけると
庭にぴょこんととびだして
霧を吹きかけて虹を作る
小さな生き物は
小 ....
空へ空へ
伸びる茎
光を光を
求めて
枝分かれして扇形になった
それは
小さな木々のよう
草はらに
明るい森を成している

海の向こうからやってきて
異国の地に根をおろした
覚 ....
青りんごは自ら枝を手放して
地に落下した
それは手のひらにすっぽり包まれるほど小さく
人が食べ頃だと思うには到底未成熟だった

わたしにもっといい耳があれば
落ちた理由が聴こえたかもしれな ....
 グミ

どうぞ、と差し出された袋のなかには
色とりどりのグミ
お祭りみたいにひしめき合ってる

青いのをひとつ
取り出して
口に入れる前に電球にかざす

ママが言った
海の色を ....
ホームセンターで
小さな紙袋に入った花の種を買い
土を入れたふかふかのプランターにまいた
ねずみ色の日々の傍らに
きれいな花を咲かせたかったのかもしれない

庭のひなたに置いたプランターに ....
今年もうぐいすが鳴いた
うぐいすが
うぐいすであることを誇るような
透明の声は
命の分身
離れてしまえば
もう本体に戻ることはない
永遠に

たとえば
意に沿わない風にも
うぐい ....
新じゃがいもをたくさんもらったので
ご近所さんにお裾分けした
お返しに、と
果物をいただく

蜜柑のようでちょっと違う
きめ細かいすべっとした黄色い皮は薄く
手でむけそうだ
現れた果実 ....
家の窓の中にいると
そこが家の眼だということを
うっかり忘れそうになる
薄いカーテンを開け放ち
風を出迎えると
人の眼も
家の眼も
まばたきする
季節のかわりめに
少し驚くようにして ....
夜の闇が怖いから電気は消さないでくれと君は言う

ソメイヨシノが咲いても散るのを知ってるから悲しいとも言う

飛行機に乗るなんてとんでもないとも言う

くたびれたぬいぐるみを永遠に捨てられ ....
あんまり桜がきれいだから
少し寄り道していこうか
寄り道はいくつになっても
心が踊る

野焼きを済ませたばかりの土手は
あっけらかんとした楽しい黒焦げ
ショートカットにしたばかりのうなじ ....
ほこり
砂粒
いとくず
羽毛
ライ麦パンのかけら
消しゴムのかす
書き損じた紙くず
こぼしたミルクの薄い被膜
三日月の形の爪
開くことなく死んだシンビジウムの黄色の蕾
裁縫の針の銀 ....
二月は冷たい熱をまとった光
包まれた小枝は銀色の針金
青々とした空に刺さっている
そして導かれて小さな蕾がこの世に顔を出すだろう

優しかった過去の手を想う
手も語ることはないけれど
私 ....
柘榴をお目当てにやってくるヒタキは
ながら、の達人
羽ばたきながら実をついばむ
秋を経て
冬へと持ち越され
艶を無くし
死んだようになったその実は
つつかれて
したたるようなルビー色の ....
信号待ちをしていたら
横断歩道を渡っていく
誰かが捨てたビニール袋が
その足をアスファルトにつけたまま
滑るように
ゆっくりと

信号が青に変わる直前
ビニール袋は渡り終えて
私は
 ....
初冬の光は
ちょっとあたたかで優しい

川のほとりで
すすきが日光浴している

若いすすきは
つややかな穂先をしならせて
本当の冬を迎えうつにあたり
どう生きていこうかって
ささや ....
ぐるりとしつらえられた
アイアン製の肋骨
鳥は出て行ってしまったけれど
残像として
生きている 今も

初冬の夕暮れはまばたきするごとに暮れ
憂うるわたしたちは夜を迎え撃つ
そのうち弾 ....
波打ち際の賑わいに飽きて
少し沖へと泳ぐ
足が地球に着かなくなれば
急に独りが押し寄せる

海は突然生き物になる
いくつかのうねりを助走にして
高くそびえ立った
生まれたばかりのその腹 ....
春は淡い
命がそこかしこに生まれては散る
風はそよぐ
樹々の葉がさざ波になる
風と水は似ている
そうかな
そうだよ
どちらも掴もうとしても掴みきれない
手のひらを開いたとたん
そこは ....
雨が降りそうだからこうもりを持っていけ
出がけにそんな言葉をくれた人はもういない

傘のことをこうもりと呼ぶ人はもういない
雨に打たれることを案じる人はもういない
雨に打たれたことのある人は ....
いつもだったら
爪切りで刈り取ってしまうのだけど
うっかりしているうち
それが
ニョロニョロになってしまったので
育てている

明日を思いわずらうなと
私の人差し指の先に生えた
ニョ ....
つらつらと つららのことをおもってみていた
軒先に根をはやし
重力に逆らいながらも
きりりと尖ってうつくしい
冬がこしらえた期間限定のその造形は
猫とじゃれたあと
うつらうつらしているうち ....
凍てて黒く澄んだ空に
咲くとりどりの花

ずっとずっと昔に
同じようにして見た花火を思い出す

あの時隣にいた人は
もうこの世にいないことも思い出す
なんどなんど思い出してもまた思い出 ....
 明日

空は雪と一緒に

枝は小さな蕾と一緒に

冬の指は
いつかの冬の指と一緒に

夜明けを待っている

 
 ピアノ

女の子が帰ったあとは必ず
ピアノの蓋が開いて ....
寒さは
指の先から入り込み
肩へ
背中へ
そして足先へ

もう何も燃やすものがない
闇の他にはなにもない世界で
やがて闇と同化する

薄くて透けそうな
パラフィンカーテンよ

 ....
十月になっても初夏みたいな日が続き
小さな畑でおくらの収穫をする

母は
穏やかでなんのわずらいもない日よりだと言う
この小さく可憐で柔らかなおくらの花が
せめて実になるまでそれが続きます ....
晴れた日の海のような青
遠い島まで泳いで行けそうな空

台風の落としものを拾う子ども
背中には
期間限定の羽

台風が去った朝に
台風の行方を考える
身軽なようでいて
実は
ひと ....
人がいなくなった庭は
草がぐんぐん伸びて
かつてその地に眠った心臓のありかを隠した
もう探し出せないし
探そうとする人もいない
よく見ればブルーベリーが細々と実り
小鳥が集う楽園になった
 ....
縁側に座り西瓜を食べながら
その黒い種を口から飛ばす
黒々として立派な弾丸は遠くまでよく飛んだ
白くて未成熟な種は気がつかずに食べてしまったかもしれない

夜、蚊に刺されたあとをかきながら
 ....
夏の夕暮れの
そこは片隅
母の白い指のすきまから
転がり落ちた
ひとかけらの氷のゆくえを追った

蝉の声が遠のく
逃げていく蟻の触覚
氷は崩れ、いつか傾く
音もなく
あとかたの水
 ....
おととい 小さなせせらぎを見つけて
家に帰ると
網戸に黒い揚羽蝶がとまるのを見つけた
そして
蝶も私を見つけた
気配の優しさ
遠い記憶の静かな切なさ
完璧な蝶の姿で
再び会いに来てくれ ....
ただのみきやさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(837)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
小さな生き物- そらの珊 ...自由詩8*23-6-28
ヒメジョオンの巷- そらの珊 ...自由詩12*23-6-19
梅雨に捧げる供物として- そらの珊 ...自由詩5*23-6-14
群青- そらの珊 ...自由詩11*23-6-9
アカザ- そらの珊 ...自由詩5*23-6-7
うぐいす- そらの珊 ...自由詩8*23-5-24
到来物- そらの珊 ...自由詩9*23-5-23
まばたき- そらの珊 ...自由詩15*23-5-8
真昼の月を見つけたら- そらの珊 ...自由詩10*23-4-7
春の雪- そらの珊 ...自由詩6*23-4-5
あさのゆか- そらの珊 ...自由詩12*23-3-10
しるべ- そらの珊 ...自由詩9*23-2-22
小鳥な日々- そらの珊 ...自由詩12*23-2-10
風の朝に- そらの珊 ...自由詩11*22-12-23
日光浴- そらの珊 ...自由詩9*22-12-12
鳥籠- そらの珊 ...自由詩6*22-11-26
夏の泡- そらの珊 ...自由詩8*22-7-13
赤いちりとり- そらの珊 ...自由詩14*22-4-16
蝙蝠- そらの珊 ...自由詩722-3-28
ささくれ- そらの珊 ...自由詩11*22-3-26
つらつらつらら- そらの珊 ...自由詩8*22-2-4
冬の花火- そらの珊 ...自由詩322-1-8
冬の気圧配置は次第に緩むでしょう- そらの珊 ...自由詩12*22-1-5
パラフィン- そらの珊 ...自由詩10*21-11-12
おくらの花- そらの珊 ...自由詩15*21-11-6
茄子の花- そらの珊 ...自由詩13*21-9-20
青空オルガン- そらの珊 ...自由詩9*21-8-6
西瓜な季節- そらの珊 ...自由詩9*21-8-2
氷流- そらの珊 ...自由詩9*21-6-25
再会- そらの珊 ...自由詩8*21-6-3

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