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連れてってというものたちは
刺をもつ

過ぎ行く時間のすそに
そっと
刺をさす

──エクサンチウム ストルマリウム
野山で遊んだ私たちは
君をくっつき虫と呼んで投げ合った
いつか ....
ぷらすちっくの小さな筒型の編み機には
五つの突起がついていて
人造絹糸を星のかたちに結わえたら
それが
りりあんの始まり

食べ散らかした夏蜜柑の皮
白黴の生えた白パン
蟻の住処は大洪 ....
──わしが死んでも
  この時計は捨てんでくれよ

親父はよくそう言っていた
死んでから
それがたったひとつの
遺言らしきものだったと思い当たる

祖父がやっていた
はんこ屋の店先に ....
人は
はぎとった他者に
記し
記してきた

鳥は記さない
慈しみあう
つがいの声は
白い森に響き
溶けて消えていくだけ

{ルビ草子樺=そうしかんば}は
カバノキ科シラカバ属  ....
閉じられた瞼は
眼球にやさしくかけられたさらし布
或いは
フリンジのついた遮光性の高い暗幕

時折
なにかに呼応して
波打つように
揺れる

ベビーカーのハンドルに止まったちょうち ....
おそらくは
やわらかな春の香り
おそらくは
かぐわしい早乙女のような
おそらくは
この世に用意された
おびただしい
喜びと悲しみのあわいで
おそらくは
それは
幻の香り

さく ....
浴槽の栓を抜く
しばらくは何事も変わらない水面
さざ波のそぶりさえない
今 渦中では
見えない引力に導かれ
出口へと
まさに水が
わあわあ殺到しているというのに

ことの始まりは
 ....
ゆくすえは
どこまで見まもることが
できるのだろう

吃音のことで
それほど悩んでいたなんて
知らなかったけれど
親は子の悩みを
まるごと肩代わりすることはできないし
してあげたいけ ....
あおい穂がよそぐ水の表を
        (それは音楽)
ちいさな円が浮いては消える
        (それは音楽)
見えない命がそこにある
        (それは音楽)
おたまじゃくし ....
「ママ、なんでみどりなのに、あおっていうの?」
信号を指さして
そう問う
まだ乳くさい我が子を
天才だ! と思った遠い日

わたしは
なんと答えたのだろう

仮に
みどり、と名づけ ....
【緑の風】

一輪車に乗った子供が
緑の風をうけてゆく

不安定なのに
軽快に

不安定だからこそ
愉快に

たったひとつの輪さえ
あればいい


【蕗によせて】

 ....
デイサービスの
老人たちが
歩行訓練を始める

ゴールで
待っているものは
何であるのだろう

長い廊下
張り巡らされた手すり
かすかな息遣い

静かな午後の
クラブ活動
次の冬のために
てぶくろを洗う
寒くなると
きまって血流障害を起こす
私のやわな指先を守るための
カバーたち

毛糸で編まれたもの
外国のお土産でもらった
ムートン製のグローブみたい ....
明け方
素になった
あしのうらが
のんびり呼吸をしていた

朝、起きて
人が再び活動を始めたときから
あしうらは忙しい
意にそまない誰かであっても
一緒に過ごさねばならない
破れか ....
声がする
崖っぷちに
かろうじて
爪を立て
呼んでいる
誰かを
よるじゅう
求めている
雨に打たれて
傘も持たない
家もない
母もない
優しい思い出も持たない
痩せた猫が
 ....
るる、と呼べば
りら、と響く

それは歌

スノードロップが
白い鈴を鳴らしている

水仙が
黄色い笛を吹いている

{引用=合唱団の申し込みは
春色のポストへ出してください
 ....
みつめる
みつめる
じっとみつめる
そうすると
何かが
語りかけてくる

種を手放したあとの
たんぽぽが
茎に残された
小さな瞳で
私をじっとみつめる

世界には
なんと
 ....
もう なんにちも
雨は降らないし 降りようがない
雨乞いの呪文も
もはや効き目は薄れ
わずかばかりの
水を流して
やり過ごしている

 {引用=さかな 苦しいだろう
さかな 底に怯え ....
  連なっている
 ひとつひとつは
いびつななりであったとしても
 連なることによって
  ハルモニアを産んだ

   重なり合っている
  響き合っている
 ひしめき合っている
峰 ....
生は死と向かい合っている
希望は絶望と向かい合っている

夜の
長いテーブルの端と端とで
見えない糸で引き合っている

まじまじと見つめれば
彼らは
なんと似ていることか!

わ ....
日曜日の朝風呂は
どこか わくわくとして後ろめたい
隣のおばさんがそろそろパクチー(犬です)を
散歩させる時間
湯気でくもっている気配の浴室の窓をちらり見て
一体誰が入っているのかしらんと思 ....
女の子の
苗字と名前にある
わずかな空白に
小さな川が流れて
いる
せせらぎのような気安さであるから
そこをいったりきたりすることが
できる
時々流れてくる桃を
無邪気に拾って遊んで ....
わたしたちは
いつだって
傘のかなしみを知らないのです
雨は水のふりをしているけれど
あれは
悪魔なのです
今は悪魔であるけれど
もとは穢れなき天使だったのです

傘は特別製の防御服 ....
夜に積み上げられた箱階段が
複製を繰り返す(発芽)
その上を
じゃばらの形に折れ曲がりながら
わたしの影が長く伸びつつ登っていく
星々が裏声でささやきあっている(給水)

そうやって
 ....
一枚の紙を
折りたたんでいく
半分に折れば
にぶんのいちの面積の
しかくが出来る
そこには
重なる相似形

出来上がりの形を
思い描きながら
そっと指で伸ばしていけば
ちいさなさ ....
終息に
ともなう安堵
かすかな
心残りを秘めて
三月が来る

中原中也賞を受賞した或る詩集を読む
悲しいことに心が揺れない
この詩集の良さは
三月が来ようとも
きっとわたしにはわか ....

まっさらな白い紙に
一篇の詩を書きつけ
それを食す

奥歯でかみしめていけば
罫線はよじれ
句読点が記号に戻っていく
口腔内の温度で意味の糊付けが剥がされ
構築された言葉はゆるり ....
ごすいって
ひすいに似たような

たおやかに
睡り続ける
午後
もくもくと
宝石になる練習をしよう

纏足の爪先から
あたたかな成分が溶け出していく
あらがえない{ルビ麻薬=レ ....
朝がやってくる
風がやってくる
音がやってくる
虫がやってくる
雨もふりかかれば
猫もやってくる

人がやってくる

外へ広く放たれた
寛容な空間だった

祖母が景気よくぞうき ....
さみしいと
雪になる
凍えて咲く花になる

産まれて
すぐに旅立った
あの子の魂なのでしょう

てのひらで包めば
睦みあって水になる
笑って
消えてゆきました
ただのみきやさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(812)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さみしんぼう- そらの珊 ...自由詩1413-6-21
りりあん- そらの珊 ...自由詩21*13-6-18
親父の遺言- そらの珊 ...自由詩1713-6-16
【草子樺】_詩人サークル群青_6月の課題『慈』から- そらの珊 ...自由詩20*13-6-11
おさらい- そらの珊 ...自由詩26*13-6-8
花まんま- そらの珊 ...自由詩22*13-6-4
うず- そらの珊 ...自由詩22*13-6-1
ゆくすえ- そらの珊 ...自由詩21*13-5-29
それは音楽- そらの珊 ...自由詩1013-5-27
【仮にみどりと名づけてみる】群青五月のお題、緑から- そらの珊 ...自由詩20*13-5-25
【緑化帯】_詩人サークル「群青」五月のお題「緑」から- そらの珊 ...自由詩26*13-5-21
a_scene- そらの珊 ...自由詩8*13-5-21
カバー- そらの珊 ...自由詩20*13-5-18
あしうら- そらの珊 ...自由詩23*13-5-15
痩せた猫- そらの珊 ...自由詩21*13-4-9
るるりらイズム- そらの珊 ...自由詩16*13-4-6
みつめる- そらの珊 ...自由詩1913-4-5
川という女- そらの珊 ...自由詩19*13-3-30
文脈- そらの珊 ...自由詩17*13-3-27
夜会- そらの珊 ...自由詩12*13-3-26
準急列車が出発します- そらの珊 ...自由詩19*13-3-23
川岸にて- そらの珊 ...自由詩18*13-3-20
カサノ_カナシミ- そらの珊 ...自由詩19*13-3-18
夜の箱階段- そらの珊 ...自由詩22*13-3-7
家族の音がする- そらの珊 ...自由詩16*13-3-4
三番目の月- そらの珊 ...自由詩15*13-3-1
朝食- そらの珊 ...自由詩1313-2-28
午睡_或いは崩れ落ちる砂の壁- そらの珊 ...自由詩24+*13-2-23
縁側- そらの珊 ...自由詩16+*13-2-21
むつのはな- そらの珊 ...自由詩1313-2-20

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