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秋が始まる頃
ようやく
旅人が帰ってきた

ちょいと
長い散歩だったかな

悪びれもなく

おかえりというのも
待ち焦がれていたようで
まったくもって
しゃくなので
おみや ....
ぞろぞろと
つながって
生まれくる
かまきりの赤ちゃん

泡を固めたような
麩菓子に似た卵から
孵化してしまったら
もう戻れない

生まれた瞬間から
君たちは みなしご

風 ....
おそらく
それが見ず知らずの善良な動物の皮であった
という
ひどく生々しい事実にもたれながら
わたしが
しらずしらずのうちに
この足で踏みつけてきた
ものを想います

どうして
こ ....
古いフィルムネガ
光にかざせば
見知らぬような

ああ 確かに私だろう

こびと専用の夜行列車の小窓の中で
かすかに笑っているようだが
それは条件反射の類だろう
本当に可笑しい時は ....
蝶に似た花に
花に似た蝶がとまっていますね

うろこに似た雲が
ここではないどこかから流れてきて
ここではないどこかへ泳いでいきます
そこは空ですか
ええ
海によく似た空です

せ ....
浴室にこおろぎがいた

おまえ、どこから入ってきた?
こんなところにいたら
いずれ泡にまみれて死んでしまうよ
ここは地獄のお湯屋だよ
どこの世界にも
ちゃんと生きているつもりでも
なぜ ....
夕べに
生まれた
小さな泡が
今日に
命の鼓動を始め
明日に
いつつの指を得て泳ぐ

空に
生まれた
小さな塵が
今日に
光の鼓動を始め
明日に
いつつの指を得て泳ぐ

 ....
無邪気であり
かつ残酷でもある少年は
少女にはわからない遊びに夢中になったりする
原始の森から続く通過儀礼のように
せみとり くわがた かぶと虫
昆虫標本

はばたくために作られた軽い羽 ....
冬の朝
ランドセルを背負う前に
背中にしんぶんしをおふくろが入れてくれた
と夫が言う
ホカロンなどなかった時代

結構あったかかったんだな、これが

しんぶんしはあったかいのか

 ....
足踏みをして
空気を送り込んで下さい
それが
おとになるのです
白い鍵盤の上でこどもが遊び
黒い鍵盤の上でスキップをする
電気もいらない単純でのどかな楽器
足と手さえあればあとはなんにも ....
列に帰属する蟻
ときたま
はぐれて戻らぬ蟻もいる

白いカナヘビが忍者のように
するりと岩陰に隠れた

彼女は言った
東京は子供が住む場所じゃない もはや
20キロも200キロもおん ....
焼けた砂浜を
飛び跳ねるようにして
海へとかけてゆくこども
裸足の裏がじりじりと焦げる

ポップコーンが無鉄砲にはじけて白い入道雲になる
どこまでいってもたどりつけない水平線
追えばどこ ....
いつまでも咳が出る
のどにつまった小骨のせいだ

はやく、はやくとせかされる
あほう、あほうとわらわれる
うかうかすると
小骨から
芽が出て
つるが伸び
ぼくのいのちをのっとりにくる ....
おばあちゃんが言った
ふりかえっちゃいけないよ

茄子の牛に乗って空へ帰る人たちを
見てはいけないと言った

だってさみしくなるだろう
送る方も
送られる方も、さ

藁を燃やして送 ....
とつきとうか
出口の見えないトンネルの中を
さまよい歩く気分でした

年中睡いくせに
その眠りは浅く
私は大海に漂う一枚の木の葉のようでした


{引用=沈みかかっては(眠りに落ちて ....

コップ一杯の水を飲む

夜の間に
水分が失われた細胞が
目覚めていくのを感じる

八月六日の朝
同じように水を飲む

最期の言葉は
ミズヲ クダサイ

この水は
私の水 ....
おひさまに干されたふとんは
懐かしい匂いがする

平屋建ての木造家屋
屋根より高く育ったヒマワリ
リュウノヒゲにふちどられた細い通路
赤いバラのアーチでは
テントウムシがアブラムシを食べ ....
雨上がりの
苔の上で眠る
あの幸せを
私はどうして手放してしまったのか

雨上がりの
苔の上で眠る
それをするには
私は大きくなりすぎてしまった

雨上がりの
苔の上で眠る
極 ....
小さな命は消えてしまった

新しい駅を造るために
もともとあった川はせき止められ
ある日
ただのどろの土地になっていた

川を移転させるらしい

駅がほしいのは
人間だけで
川に ....
夏は
エアコンを入れるせいか
気づくと
ガソリンメーターの残量計が
あとわずかということがある
ランプがあとひとつというのは
かなりアセル状況で
近くのガソリンスタンドで入れていこうか
 ....
横断舗道を
小学校六年くらいの
男の子たちの集団が
渡っていく

夏休みが始まったばかりだというのに
どの子も
こんがりと日焼けしていて
プールでもいくのだろうか
子犬がじゃれ合うみ ....
子どもの頃
夏になると
庭に母がとうもろこしを植えた
毎日水やりをするのは
弟と私の仕事だった

「これ、なんていうとうもろこしか知ってる?」
「とうもろこしに名前なんてあるの、おねえち ....
圧縮されたファイル
記憶という
過ぎ去った時間

遠くで花火の音
安全地帯からは
それをみることは叶わない

蒸れた熱が
蜃気楼のように、ゆらぎ
ここではない何処かへ連れていく
 ....
夏を待つ間
透明な
ガラスのコップに
冷たい水を注ぐ

満ちていく
満たされていく
透明な入れ物に
透明の中身で

夏が来る頃
どこからともなく
水滴が現われて
コップの魂を ....
湖底に眠るオルフェウスの首
無数の藻を寝台にして置かれている
目は閉じられ
口は唄うかのように
ほんのかすかに開いている
水がゆらめいて光りさざめく

闇と光が溶け合っている
死と生が ....
パンダの赤ちゃんが
亡くなったと
News速報で流れる
平和な日本

動物の赤ちゃんが死ぬのは
特に珍しいことでもないけれど
パンダは特別枠なので
みんながかわいそうと言う

わざ ....
マスカットは
{ルビ麝香=じゃこう}を纏い
たわわに実る
房のひとつひとつに
水をたたえた命が宿る

今は廃屋に
つるを伸ばして
たわわに実る
愛すべき
黄緑色の鈴によく似た果実よ ....
さみだれている庭
ひと雨ごとに、育つ緑がここにある
雨の匂いと土の香り

湿気は、ほんのささいなセンチメントも
美しくふくらませる
庭を見渡せる屋根付きテラスで
濃く煎れた紅茶を飲んでい ....
ここは泥棒市場
通称キャットストリート
骨董を売る店が連なる

ここで売っているものは
どことなく胡散臭く
まがいものの匂いがする

モノガタリには事欠かない

溥儀が紫禁城でコオ ....
南国にも雪はふるのだろうかと
君が言う

南国では溶けて雨になるわと
私は答える

南国で雪がふれば、みんな喜ぶのにと
君が言う

みんなって誰のことと
私は問う

南国にも病 ....
ただのみきやさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(831)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
露草- そらの珊 ...自由詩15*12-9-22
みなしご- そらの珊 ...自由詩1512-9-21
わたしもまた一枚の皮張り- そらの珊 ...自由詩912-9-21
銀塩写真- そらの珊 ...自由詩14*12-9-19
うつろい- そらの珊 ...自由詩24*12-9-15
こおろぎ- そらの珊 ...自由詩2612-9-12
星という海星- そらの珊 ...自由詩1512-9-6
少年と少女- そらの珊 ...自由詩21*12-8-30
しんぶんし- そらの珊 ...自由詩16*12-8-28
おるがん- そらの珊 ...自由詩12*12-8-28
ダイイングメッセージ- そらの珊 ...自由詩10*12-8-24
あの夏- そらの珊 ...自由詩10*12-8-21
たくらむ小骨- そらの珊 ...自由詩1012-8-12
盆送り- そらの珊 ...自由詩2312-8-10
とつきとうか- そらの珊 ...自由詩1412-8-8
誰かの水- そらの珊 ...自由詩14+12-8-6
黄昏待ち- そらの珊 ...自由詩2312-8-4
ラ_シルフィード- そらの珊 ...自由詩1312-8-1
小さな命- そらの珊 ...自由詩10*12-7-31
ガソリンメーター- そらの珊 ...自由詩8*12-7-30
街角の風景- そらの珊 ...自由詩10*12-7-24
とうもろこしを茹でながら- そらの珊 ...自由詩19*12-7-21
夏の鍵- そらの珊 ...自由詩15*12-7-20
初蝉- そらの珊 ...自由詩23*12-7-18
オルフェウスと竪琴- そらの珊 ...自由詩8*12-7-15
News- そらの珊 ...自由詩16*12-7-14
ネオ_マスカット- そらの珊 ...自由詩10*12-7-13
紫陽花のうた- そらの珊 ...自由詩1212-7-12
キャットストリート- そらの珊 ...自由詩9*12-7-11
南国にふる雪- そらの珊 ...自由詩11*12-7-10

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