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小さな靴の愛おしさを
ときおりこうして取り出してみる
小さな足はもう消えてしまったけれど

バーゲンセールは年々前倒しにやってくる
梅雨が明けてもいないうち
夏服には割引の赤いタグがつけら ....
ちゅんとしか
啼けないでなく
ちゅんとしか
啼かない

くちばしの
下にある
君の発音器官が
そう決めたから

多くの言葉を持つ人は
たくさんの選択肢を持つけれど
ほんとうに伝 ....
とても
とほうもなくとても
すてきな小説を読んだ夜
手放してしまうのが惜しくて
胸のなかで
それを抱きしめつつ眠れば
冬由来のゼラチンは
純粋な水によって
隅々までふやけ

迎えた ....
金属製の留め金は
時折きしむ

わたしを
ここに
留めておくもの
家族とか
四季咲きの薔薇だとか
増えていくばかりの本棚とか
愛すべきものたちばかりなのに

長雨のあと
造成地 ....
土砂降りの雨のなかを
蚊柱が
狂ったように うごめいていた

誰かが
地上の火を
消そうと
とてつもなく
大きなバケツをかたっぱしなから
ひっくり返している

抗えないものをか ....
ことがら は 昨日の記憶

そばがら は 今夜の枕のなかで

ひとがら を 朝のヒカリで描きこむ

うまれたての雛のあたまに
残された
一片の から

どこからと問うこともせず
 ....
沸騰させた水が
マグカップの中で
常温を目指している

まだ
ひりつく
くちびるに
おそらくとても
優しく
同化していくことだろう

情熱だとか
とがりだとか
叫びだとか
 ....
ようやく咲き始めた
耳たぶを
かすめるように
散ってゆく
くたびれた
きのうの薔薇

美しい季節はいっとき
残酷な
まやかしのようでもあるけれど
改行される刹那こそ
愛おしい
 ....
よそへいくための服は
襟のレエスがまぶしくて
びろうどのスカートが重くて
ぴったりしずぎてきゅうくつで
母さんが
帰宅するやいなや
着替えさせてくれるとき
ほっとして
わたしは
すこ ....
いやさなくて
いいよと
それはいう

かなしみは
いやされることなど
のぞんでやいないさと
筆先でなでていく

涙の成分は
瞳に必要なものだという

いわさきちひろの描く
こ ....
つたったあとを
つたうものあれば
つたったあとを
つたわないものもいて

誰かのまなざしのあとを
なぞるものもあれば
誰かの言葉のあとを
なぞらないものもいて

きょうのまことが
 ....
さあ、どうぞと皿が私に差し出される
その上にきれいに盛られている
とてもいい匂いのする料理は
食べやすいように切り分けられている
中には苦いものもあるけれど
健康でいたいでしょう?
それを ....
どこかに
わたしの詩を読んでくれる人がいて
わたしはその人のために書いたのでもないのに
ありがとうと伝えてくれました

それではだれのために書いたのだろう

もうひとりのわたしが
小さ ....
誕生日に
どこへも行かなかった
髪をくしけずらなかった
うねるにまかせた
口紅をぬらなかった
洗いざらしにしておいた
たいていの人がしみだと呼ぶ
頬にちらした点々を数えた
  (およし ....
父の朝はとても早かった
家族が起き出すころ
山から帰ってきた
そのかごには
濃い緑のクレソンやら
根の赤いほうれんそう
原木栽培のしいたけ
みょうがの先には
くたりと
ほの黄色い花が ....
かあさんは白
とうさんは黒
ばあちゃんは茶色で
じいちゃんは巻き尾
そのまたばあちゃんが
どんなだったか知らないけど
たぶんボクの中にいるんだろう

抜け落ちた
冬毛のなかに
いろ ....
朝はこんなにも鳥の声であふれている
それが
そらみみでないことを知ったあと
染み出てくる
当惑を
奥歯でそっとかみしめて
(愛おしいシーツの皺を伸ばすように)
こんなふうに
人は日常に ....
広い平和な公園の片隅に
行ってはいけない
小山があった
5月になると
咲いたツツジに誘われて
子が行こうとすると
親はきまって
こう言う

行ってはいけません とだけ

ダンボー ....
ちいさな命が逝きました

なにもできないことが
くやしくて
何度も名前をよびながら
一度も
空をとぶこともなかった
幼い翼を撫でておりました
スポイトからこぼれた水を
君は果たして飲 ....
とても狭くて
天井が低いから
うっかりすると頭をぶつけてしまう
夏は暑いし
冬は寒いし
もう使わないのに
捨てられないベビーベッドとか
読まれたがっている本たちに
囲まれて思う
一生 ....
覚えたての縦笛から
頼りない汽笛のような音が
飛び出したから
思わず笑って
私は手をふる

どこかへいくの?
またかえってくるよ

音を作るこどもたちが
今でもほら
とても楽しげ ....
座ったときの
長さが
一体なにを証明するのか
わからないまま
――座って見る景色はほんの少し懐かしいけれど
――座ってみる景色は背伸びする必要がないから
私は
計られ続けてきたけれど
 ....
洗いすぎて
ごわりとした
ネルの小さなパジャマ
ふたつめのボタンだけ
なぜか赤い糸で
不器用にくくられている
夜泣きのたびに
私にしがみついた
熱を帯びた袖
黄色いライオンの模様
 ....
もくれんの
白いたまごが
割れると
たちどころに
小鳥が生まれ
空にむかって
さえずりをはじめる
風が吹けば
はばたく真似事もする
翼は
永遠に無垢なまま
飛び立つことをしないま ....
春という素性の上に
細いすじがねを
うっかり高く伸ばしてしまった
ふたりは
よりかかりあう
その寸前で
定冠詞のような
小さな花を咲かせている

あなたはわたし
わたしはあなた
 ....
人はなんでもないような場面を
なぜか覚えているものだ

中学校からの帰り道
乾いたグラウンド
走者のあげる土埃
プールに浮かんだ白いはなびら
すでに樹の指先は新しい葉を生やして
吠える ....
わたしに
ゆ という文字を
教えてくれた人は
あたかもそれを
ひとふでがきのように
描いてみせるので
その曲線の美しさに
魅せられたわたしは
日暮れて
昏くなるまで
いくどもそれを ....
そのわらべうたは
作者不明だという

畑に添って
作られた石垣
その隙間から
シダやペンペン草が顔を出し
しっぽがふたつに別れた小さな虫が
忙しそうに出たり入ったり
雨が降れば
水 ....
左手首の動脈を
右手の指先でさぐり当てる
脈に触れれば
自然とそれを数えてしまう
まるで
生きていることを
確認するように
えいえんに似たそのリズムを

日が暮れて
血の匂いがする ....
指の絆創膏をはがしてみれば
血は止まったものの
いまだ なまめかしく
傷はそこにあった

たった一日
空気を遮断されただけで そこは
色が蒸発したように
あっけらかんと白く
まるで湯 ....
ただのみきやさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(831)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
バーゲンセール- そらの珊 ...自由詩1914-7-3
はずれくじひいたみたいなすかすかのオレンジを憎んでみたりする ...- そらの珊 ...自由詩20+14-6-23
陰翳- そらの珊 ...自由詩2314-6-14
とめがね- そらの珊 ...自由詩12*14-6-13
蚊柱- そらの珊 ...自由詩18*14-6-10
から- そらの珊 ...自由詩25*14-6-5
常温- そらの珊 ...自由詩23*14-5-30
ことづて- そらの珊 ...自由詩1114-5-27
よそいき- そらの珊 ...自由詩21*14-5-26
水彩- そらの珊 ...自由詩21*14-5-24
流跡- そらの珊 ...自由詩16+*14-5-22
差し出された皿- そらの珊 ...自由詩22*14-5-20
青い手紙- そらの珊 ...自由詩17*14-5-19
そばかす- そらの珊 ...自由詩20*14-5-15
ありしひ- そらの珊 ...自由詩13*14-5-14
MIX(もらったもので出来ている)- そらの珊 ...自由詩16*14-5-12
カミツレの花- そらの珊 ...自由詩12*14-5-11
公園- そらの珊 ...自由詩12*14-5-10
おとむらい- そらの珊 ...自由詩11*14-5-9
屋根裏- そらの珊 ...自由詩10*14-5-7
楽隊- そらの珊 ...自由詩1814-5-6
さよなら、座高- そらの珊 ...自由詩12*14-5-5
衣替え- そらの珊 ...自由詩2114-5-2
もくれん- そらの珊 ...自由詩1614-5-1
相似形- そらの珊 ...自由詩1414-4-25
かあさんも受験生だった頃がある- そらの珊 ...自由詩1014-4-24
- そらの珊 ...自由詩2614-4-20
アルカディア- そらの珊 ...自由詩19*14-4-18
夜の洞窟で- そらの珊 ...自由詩12*14-4-17
溺れる人魚- そらの珊 ...自由詩21*14-4-16

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