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炎天下
  暗転する

極めて正直な
光の圧に屈服

発汗 溶解した エロチシズム

レイバンをかけたロダン
    考えない人たち

        薬指に カラスアゲハ
  ....
Venus flytrap
抱擁から解き放つと
――心臓から飲まれていたのはわたし
黒い孔雀は飛び去った
眼差しの影ひとつ 
落とすこともなく 
時の支流が無数に重なり合う彼方へ
ひとつ ....
つかみどころのない臓器
痛みはあっても在処のない

つるりと気取った陶器
来客用もちゃんとある

すきま風の絶えないあばら屋
震えている いつからここで

過敏すぎる 肉を削いで裏返 ....
滲む濃紺のシルエット
おくれ毛ぬれたその耳を塞いで
いたのは 誰の声だったのか

小さな手から逃げ出した
風船は 空いっぱいにふくらんで 
音もなく 破裂した 大人びて寂しい

始まり ....
書き連ねたその名が
細波となって 寄せては返す
好きだ 好きだと 漏らした声
海に降る雪 静かに跡もなく


わたしは溶岩
死火山の 抜き盗られた{ルビ腸=はらわた}
灰の伝道者だった ....
{引用=*小樽カントリークラブ}

空は灰 まだらに吠え
泥めく海 見渡すかぎりの獣
分厚い風を羽織り
霧雨でぬれた頬
それでもゴルフ
おそらく
たぶん
見るからに
上手くはない老 ....
この糸のほつれをそっと咥えて
赤錆びた握り鋏はその蓮の手の中――
信仰と諦念の{ルビ臺=うてな}に眠る 享年「  」


景色の皮膚を剥がした 
耳は遠く
階段を上り下る 
橙色の帽子 ....
青い裂果 
   光の手中に墜ち


さえずる鳥 ついばむ鳥
文字へと変ずるか 黒く蟻を纏って


大気に溶けだす肉体は祈り
小さな動物の頭蓋のよう
未満の種子 生を宿すこともなく ....
  ――水脈を捉え ひとつの
薬湯のように甘く
 饐えて 人臭い
       廃物の精液  
            輸入された
どれだけ銭を洗っても
どれだけ子を流しても
      ....
風のグリッサンド
娘たちのうなじ
蜜蜂の囁きと遠い銃声
耳の奥 深く 深く


雨のアルペジオ
素早い波紋のダンス
生まれ 出会い 干渉しあう
飛べなくなった蜜蜂は冷たい


 ....
その美の真中に隠された荒野に
どうか 花ひとつ
植えるだけの土地を譲ってくれませんか

血の滲んだ足を隠して走り続ける旅路のどこか
ほんの一歩か二歩
見守る場所を許してほしいのです

 ....
{引用=どうかあなたという揺るぎない現実に対して
絵空事のような恋情を描くわたしを許して下さい
これらの時代錯誤で大げさな言い回しは
詩人気取りの馬鹿な田舎者がそれでも言葉だけ
精一杯めかし込 ....
生まれ持ったもの 遺伝だろうか
あるいは環境 日陰育ちなのか

わたしの扱い方が悪かったのか
つい荒々しく掴み 力任せに――

その瑞々しさとは裏腹 なんという辛口!
泣いているのは わ ....
がらんどう
でなけりゃ鳴らない
灯りはいらない
隙間から射し込む程度
《{ルビ外面=そとづら}はいつだって焼かれているさ
がらんどうで
鳴かねばなるまい


万華鏡を回す要領
青白 ....
透明な何かがかすめた
それで十分
脳は甘く縺れる痛みの追い付けない衝撃に
砕かれ 失われ
死に物狂いで光を掴もうと
欠片たちは
凍結されることを望みながら
永久に解読不能
時間の延滞の ....
いくつもの門を通り
いくつもの問を越え
理解と誤解をなだらかに重ねては
綴り合わせる 欲望の道すがら
まるで古い雑誌の切り抜きや色紙を
ぺらぺら捲るような 陽気な悲しみ
目深に被り直して
 ....
「覚めない夢もいつかは覚める

闇の深みにスポットライト
行き来するたび変身する
――あなた
咬み合うヒュドラのよう
分裂と統合の具象化
象徴としての女神よ
純・錯覚 恋は
中空の象 ....
コンパスのように立て
最初から最後まで
近寄ることも遠ざかることもない
己の中心に
想いは帆のように憧れを孕み
どこまでも出歩くだろう


コンパスのように立て
滾る情熱は千切れるほ ....
なにもない
わたしのなかには
わたしがいるだけ
気だるげな猫のように
死後硬直は始まっている
小さな火種が迷い込むと
すぐに燻り 発火し 燃え上って
肉の焼ける匂い
骨が爆ぜる――生枝 ....
当たり前すぎることだから
素直に応じた
お椀に浮かべた麩のように
あなたはあなたに浸されている


――まるで 無い 
     ない みたい


家では
タツノオトシゴの溺愛
 ....
――黄金が憎いのだ
魅入られ 争い奪い合う 不動の価値が
金の卵を生む鶏は腹を裂かれて殺された
その輝きが飼い主を愚かにした
鳥でも蛇でもおよそ卵には天性の美のフォルムがある
それは新たな命 ....
すでに起きたのか 
これから起きることか
おまえの吐息 ひとつの形のない果実は
始まりと終わりを霧に包み
不意に揺れ 乱れても 損なわれることのない
水面の月の冷たさへ
わたしの内耳を し ....
樹木の恥じらいが小鳥の逢瀬を覆う頃
光を浴びてあなた
光を断って歩き
文字から浮き立つイメージのように
境界を越えて往く
今朝の雫にふるえながら幼さを脱いだ
蝶のように 華やぎながら
― ....
台所の窓辺に
葱だけが青々と伸びている
ほかの葉っぱたちは項垂れて
もう死にますと言わんばかり
葱だけが青く真っすぐ伸びて
葱好きではないけれど
すこし 
刻んでみたくなり 
ぱらりと ....
温泉たまご並みだ

チュンしか言わない雀の喧嘩だ

スノードームだ

死の灰の乱反射だ

おしりが視線を放してくれないのは

即興画家のせいだ

占いみたいに水膨れて

ゆ ....
雨の幕間に耳目を伏して
乾いた水脈を手繰るように


生命の中核へ
堅い樹皮を穿つように
かつて滾り迸ったもの
跡形もなく
洞に ただ
ぬるく饐えた匂い


記憶――暗愚な夜
 ....
つぼみふくらみ
匂わずに匂うよう
結びの前にほころんで

 笑いも 
   泣きも
     つかの間の

結びの前に散りはてる
燃えてあふれるその様を
いまは小さくしまったまま
 ....
桜のように咲いて桜のように散った
そう言いたいのか


生きてさえいれば何度でも桜は咲くのに
敗けても焼けても国は残り桜は咲くのに


桜花よ
秘匿のために付けられたというその名
 ....
コーヒーをかき混ぜるとスプーンが何かに触れた
すくい上げると 懐かしい腕時計
そっと指でつまんで 見る――当然死んでいると思ったが


――蘇生するような
        秒針の震え!
 ....
なだらかな丘を曲がり下る路のむこうは見えない


 {引用=突き当たり 川沿いのT字路を左折する
右手には野菜や果物を売る民家が二つ三つ軒を連ね
白壁が所々すこし剥げたカフェらしき店が一軒あ ....
そらの珊瑚さんのただのみきやさんおすすめリスト(669)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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忘我のプラトニック- ただのみ ...自由詩12*17-7-8
海辺のカソカ- ただのみ ...自由詩7*17-7-1
秘密のラッコ隊- ただのみ ...自由詩9*17-6-28
青い裂果- ただのみ ...自由詩16*17-6-24
世代論- ただのみ ...自由詩16*17-6-21
六月と手口- ただのみ ...自由詩8*17-6-17
花ひとつ分の土地- ただのみ ...自由詩13*17-6-14
ミューズへの恋文- ただのみ ...自由詩9*17-6-10
白いふくらはぎ- ただのみ ...自由詩8*17-6-7
がらんどう- ただのみ ...自由詩13*17-6-3
スティグマティクス- ただのみ ...自由詩11*17-5-31
白い頂のよう- ただのみ ...自由詩16*17-5-24
Ennui/ある朝の人生論- ただのみ ...自由詩5*17-5-20
コンパスのように立て- ただのみ ...自由詩12*17-5-17
喚き散らす肉- ただのみ ...自由詩14*17-5-13
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桜花- ただのみ ...自由詩9*17-4-12
春と詩はよく似た病と嘯いて- ただのみ ...自由詩11*17-4-8
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