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{引用=不実日和}
声は裂ける傘のよう
いつかの夏を絞りながら
蜜蜂の愛撫に
義眼を転がして
女の雨脚は
蜥蜴たちの抱擁をほどく
鞄の中で犯された
天使の羽根が舞う丘
青い爪を持たな ....
{引用=週末}
雨はガラス越しの樹木を油絵に似せ
開きかけた梅を涙でいっぱいにする

雨は河住まいのかもめを寡黙にし
水面の泡沫は作り笑いに変わる

だが雨は歌っている 
運命のように ....
{引用=人魚}
樹はなめらかに地に裾を広げ
自己と向き合う静寂に包まれている
幹は根元の少し上から二股に分かれ
片方は太く もう片方はやや細い
幹が重なって見える角度を探すと
上に向かって ....
哀しみあるいは悲しみを
膝の上に乗せて
よく眠ってくれるから
ひと時煙をくゆらせるように

ギザギザした鍵を
胸に刺したり抜いたりして
酒と音楽でにじんだ幻を孵したい
ああこの夕暮れが ....
{引用=まどろみ}
種子は雷鳴を聞いた
意識の発芽前その核が
ひたすら芯へと引き寄せる
死に疑似した時間の中

最初に震動があった
そうして微かな熱
やがて忍び寄る水の気配
たった今 ....
{引用=鳶}
暮れかけの空
トンビたちは思い思いの弧を描く
風に乗り
風を切り
風を起こし
また受けて
狩りの照準を
時折水平に起こし
淡くたなびく雲の帯を
くぐるつもりか遠く巡っ ....
{引用=愛憎喜劇}
遮二無二愛そうと
血の一滴まで搾り出し
甲斐もなく 疲れ果て
熱愛と憎悪
振子は大きく揺れ始める

愛も親切も笊で受け
悪びれることのない者
理解できずに困惑する ....
真っ逆さまの光の頂
 集めた八重歯を笊で濯いで
女は大きなアサガオの
   白い蛾に似た花を吸う
小さな蜘蛛が内腿の
      汗の雫に酔っている


生木の煙 風の筆
飛び交う無 ....
{引用=予想図}
わたしの人生の尺に
息子の人生の尺はまだ収まっている
わたしの息子への関心は非常に大きく
息子のわたしへの関心はそれほどでもない
{ルビ直=じき}に息子の人生はわたしの尺か ....
{引用=冬の朝顔}
白い背表紙の本を開くと朝顔の種が落ちて来た
種は発芽して瞬く間にわたしの妄想に絡みつき
ひとりの女の形を編み上げると濃淡を宿す紫や白
水色やピンクの花を幾つも付けたのだ
 ....
{引用=生者と死者}
安全地帯の植え込みで
ラベンダーは身を縮める
風花の中
一株一株寄り添うように

周囲には細く背の高い
雑草が取り巻いている
枯れ果てた骸骨たち
立ったまま風に ....
{引用=道程}
一つの結晶へ
近づくほどに遠ざかる
道程の薄闇
ああ目を凝らせ
不安を透かした薄皮を
一枚また一枚と剥離させ
焔のような白い裸婦像が
現の真中の空ろを炙る

  * ....
{引用=最悪について}
第一に
記憶と紐付く負の感情一色に染まった景色を満喫しながら
自ら最悪だと帰結する狭く閉ざされた思考の環状線を延々
巡り続ける一人旅

第二に
自覚のない最悪人間 ....
{引用=銀杏一葉}
フロントガラスのワイパーの圏外
張り付いた銀杏一葉
冬の薄幸な日差しに葉脈を透かして

用途を終えて捨てられた
ひとひらの末端 美しい標本
飛び立つことはないはずなの ....
{引用=うつけもの}
わたしの頭は憂鬱の重石
悩みの古漬けぎっしりと





{引用=しゃくりあげて}
願いは鳴いた
言葉を知らない鈴のように
子の骨を咥え 風の狐が走る
芝 ....
{引用=彫刻}
折り畳んだまま手紙は透けて
時間だけが冴える冬の箱の中
なにも温めない火に包まれて鳴いた
繭をそっと咥え
欄干に耳を傾ける
肌に沈む月
纏わる艶を朧にし
蠢く幾千幾万の ....
{引用=湿度計}
乾いた悲哀に触れる時
こころは奥から浸みてくる

湿った悲哀は跨いで通る
乾いたこころが風を切る





{引用=〇〇主義に痴漢する
 Ⅰ}
知識は雄弁で ....
{引用=斜陽}
やすらかな捻じれ
霙もなく恥じらう蔓草の
浴びるような空の裂帛
戸惑うことのない白痴的漏出に
{ルビ栗鼠=りす}たちの煽情的リズムと釣り針式休符
聞き耳すら狩り出した
落 ....
{引用=逆説的}
ルイス・キャロルが実在のアリスを愛し物語を捧げたように
わたしも捧げたかった

わたしも溺れたかった
ボードレールがジャンヌ・デュバルの肉体に溺れたように

高村光太郎 ....
{引用=無邪気な錯覚}
窓硝子の向こう木は踊る
風は見えない聞こえない
部屋に流れる音楽に
時折シンクロしたかのよう

時折シンクロしたかのよう
異なる声に欹てて
異なる何かに身を委ね ....
{引用=小乗奈落下り}
薄皮一枚
力ずくの力が萎えた両腕で
無垢な羽ばたきを模索する

庭園の苦行者は薄幸の煌めき
傷口は各々レトリックを備え
投げやりな否定で自らを慈しんだ

最初 ....
{引用=リバーシブル}
雨の{ルビ詳=つまび}らかな裸体と
言葉を相殺する口づけ
水没して往く振り子時計閉じ込められて
中心へ落下し続けるしかない時間
1095桁のパスワード
{ルビ木通= ....
{引用=幼恋歌}
暑さ和らぐ夕暮れの
淡くたなびく雲の下
坂道下る二人連れ
手も繋がずに肩寄せて
見交わすこともあまりせず
なにを語るか楽しげに
時折ふっと俯いて
風に匂わす花首か
 ....
{引用=傷}
抗わず流されず
風と折り合いつけながら
トンボたちは何処へ往く
銀の小さな傷のよう
翅で光を散らしながら





{引用=白紙のこころ}
尖った波に足を取られる ....
{引用=熟れた太陽}
暑い日だった
「スキンヘッドの大工さんの日焼けした後頭部に
もう一つ顔を描いて冷たい水を注ぎたい 」

マスクをした金魚がエアコンの波に裳裾ひらひら
上気したザリガニ ....
{引用=招待状}
時折 招待所が届く
ある時はコクトー
ある時は犀星
畠山千代子だったことも
メルヴィルの白鯨の一章だったりもする

だからと言っていそいそと出かけはしない
しばらく触 ....
{引用=影法師}
セイタカアワダチソウの囁き
太陽と雲のコラージュ
目隠しする乳房
一瞬で潰れた空き缶の音
湖水に跳ねる金貨 落ちる鳩
鉛筆を齧る数学教師のポケットの
癲癇持ちの日時計
 ....
{引用=散歩道}
彼女は二つの嘘を連れ歩く
いつも同じコースで
一つの嘘は人懐っこく誰にでも尾を振った
一つの嘘はところ構わず吠えたてる
どちらも夜のように瞳を広げ
油膜で世界を包んでいた ....
{引用=首}
なだらかな午後
ただそれ自体の円みと感性で
転がって
吸血する問いとなり
落下する 分裂の暗い谷へ

隠匿されていた
真っ赤な夜が溢れても
目交いすらなく
過る夜鷹に ....
その絵具セットには暖色がない
静止したかのような独楽を見つめ
もう一人の自分と根比べするかのよう


沢山もらったその中から母は
かたちの良いものをひとつ除けた
「お兄ちゃん用に」
茄 ....
そらの珊瑚さんのただのみきやさんおすすめリスト(736)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
愚の原石- ただのみ ...自由詩4*21-4-25
頭痛の小悪魔- ただのみ ...自由詩5*21-4-18
モノクロの天国と極彩色の地獄- ただのみ ...自由詩3*21-4-11
この夕暮れが- ただのみ ...自由詩5*21-4-7
至って不真面目- ただのみ ...自由詩5*21-2-13
視破線- ただのみ ...自由詩4*21-1-23
サイレントチンドン- ただのみ ...自由詩8*21-1-16
中る- ただのみ ...自由詩5*21-1-9
哀愁の強行軍- ただのみ ...自由詩7*21-1-3
冬の花びら時の河面- ただのみ ...自由詩4*20-12-27
寒波と二日酔い- ただのみ ...自由詩6*20-12-20
隠喩のような女たち- ただのみ ...自由詩2*20-12-12
悲しみは理由を求めている- ただのみ ...自由詩5*20-12-6
空論のカップに口を付ける冬の横顔- ただのみ ...自由詩5*20-11-29
返り討ちに合った復讐者- ただのみ ...自由詩5*20-11-25
どうしてこんなに暗いのかしら- ただのみ ...自由詩6*20-11-15
怨念の赤い糸- ただのみ ...自由詩6*20-11-8
鏡の仮面劇- ただのみ ...自由詩3*20-10-31
恋人と爆弾- ただのみ ...自由詩5*20-10-24
詩と音楽と酒- ただのみ ...自由詩9*20-10-3
熟れた悪意の日々- ただのみ ...自由詩2*20-9-26
死と詩と虫と- ただのみ ...自由詩4*20-9-19
夭折- ただのみ ...自由詩10*20-9-12
李家の人々- ただのみ ...自由詩4*20-9-6
延長戦- ただのみ ...自由詩5*20-8-29
フロントガラスにちいさな蝶が止まった- ただのみ ...自由詩2*20-8-23
死者の戯れ- ただのみ ...自由詩4*20-8-14
なしごころ- ただのみ ...自由詩4*20-8-1
早贄- ただのみ ...自由詩4*20-7-25
四から二へ/気質として- ただのみ ...自由詩4*20-7-18

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