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{引用=彫刻}
折り畳んだまま手紙は透けて
時間だけが冴える冬の箱の中
なにも温めない火に包まれて鳴いた
繭をそっと咥え
欄干に耳を傾ける
肌に沈む月
纏わる艶を朧にし
蠢く幾千幾万の ....
{引用=湿度計}
乾いた悲哀に触れる時
こころは奥から浸みてくる

湿った悲哀は跨いで通る
乾いたこころが風を切る





{引用=〇〇主義に痴漢する
 Ⅰ}
知識は雄弁で ....
{引用=斜陽}
やすらかな捻じれ
霙もなく恥じらう蔓草の
浴びるような空の裂帛
戸惑うことのない白痴的漏出に
{ルビ栗鼠=りす}たちの煽情的リズムと釣り針式休符
聞き耳すら狩り出した
落 ....
{引用=逆説的}
ルイス・キャロルが実在のアリスを愛し物語を捧げたように
わたしも捧げたかった

わたしも溺れたかった
ボードレールがジャンヌ・デュバルの肉体に溺れたように

高村光太郎 ....
{引用=無邪気な錯覚}
窓硝子の向こう木は踊る
風は見えない聞こえない
部屋に流れる音楽に
時折シンクロしたかのよう

時折シンクロしたかのよう
異なる声に欹てて
異なる何かに身を委ね ....
{引用=小乗奈落下り}
薄皮一枚
力ずくの力が萎えた両腕で
無垢な羽ばたきを模索する

庭園の苦行者は薄幸の煌めき
傷口は各々レトリックを備え
投げやりな否定で自らを慈しんだ

最初 ....
{引用=リバーシブル}
雨の{ルビ詳=つまび}らかな裸体と
言葉を相殺する口づけ
水没して往く振り子時計閉じ込められて
中心へ落下し続けるしかない時間
1095桁のパスワード
{ルビ木通= ....
{引用=幼恋歌}
暑さ和らぐ夕暮れの
淡くたなびく雲の下
坂道下る二人連れ
手も繋がずに肩寄せて
見交わすこともあまりせず
なにを語るか楽しげに
時折ふっと俯いて
風に匂わす花首か
 ....
{引用=傷}
抗わず流されず
風と折り合いつけながら
トンボたちは何処へ往く
銀の小さな傷のよう
翅で光を散らしながら





{引用=白紙のこころ}
尖った波に足を取られる ....
{引用=熟れた太陽}
暑い日だった
「スキンヘッドの大工さんの日焼けした後頭部に
もう一つ顔を描いて冷たい水を注ぎたい 」

マスクをした金魚がエアコンの波に裳裾ひらひら
上気したザリガニ ....
{引用=招待状}
時折 招待所が届く
ある時はコクトー
ある時は犀星
畠山千代子だったことも
メルヴィルの白鯨の一章だったりもする

だからと言っていそいそと出かけはしない
しばらく触 ....
{引用=影法師}
セイタカアワダチソウの囁き
太陽と雲のコラージュ
目隠しする乳房
一瞬で潰れた空き缶の音
湖水に跳ねる金貨 落ちる鳩
鉛筆を齧る数学教師のポケットの
癲癇持ちの日時計
 ....
{引用=散歩道}
彼女は二つの嘘を連れ歩く
いつも同じコースで
一つの嘘は人懐っこく誰にでも尾を振った
一つの嘘はところ構わず吠えたてる
どちらも夜のように瞳を広げ
油膜で世界を包んでいた ....
{引用=首}
なだらかな午後
ただそれ自体の円みと感性で
転がって
吸血する問いとなり
落下する 分裂の暗い谷へ

隠匿されていた
真っ赤な夜が溢れても
目交いすらなく
過る夜鷹に ....
その絵具セットには暖色がない
静止したかのような独楽を見つめ
もう一人の自分と根比べするかのよう


沢山もらったその中から母は
かたちの良いものをひとつ除けた
「お兄ちゃん用に」
茄 ....
{引用=とある一}
――――――それは
俯く若葉のこらえきれない涙
朝には珠となり蜘蛛の糸を光で撓め
――――――それを
誰が量ったか
人も地も飲み切れず地も人も飲み込むほどに

問う ....
{引用=*}
時間もその都度仮面を変える
あなたの役どころに呼応して
悲劇には悲劇の 
喜劇には喜劇の
だけど時折場違いな仮面
ピエロの場面に憂いの真顔とか
隠した心を見透かすように
 ....
{引用=むかしばなし}
幾千幾万の囁きで雨は静かに耳を溺れさせる
まろび出た夢想に白い指 {ルビ解=ほど}く否かためらって
灰にならない螢の恋は錘に捲かれて拷問されて
透かして飲んだ鈴の音も夜 ....
 祖父の無線アンテナが世界中から不幸を手繰り寄せていた
朝はもう昔だ。ツユクサやイヌノフグリに覆われたあの土の
盛り上がった一角、あそこが祖父を埋めた場所だと、誰から
教えられた訳でもなくずっと ....
隣家の屋根から翼のような雲が見える
朝の微睡みから覚め
膝に居座る悪夢が霧散するまで
蛹の時間
軒の氷柱の光の粒は 
瞼につめたいやわらかな真珠
木々の梢を半ば強引に愛撫する風
その風に ....
 *

青空ではなく あおそら と
くちびるに纏わる
透けた胎児 月のように

発芽を奥ゆかしくも留め置いた
――エバの種

見上げる大気の透過した青
見下ろす海の反射した青

 ....
窓ガラスを伝う雨
樹木は滲み油絵のよう
秘密を漏らすまいと
ずぶ濡れで走り続けた
若き日のあなた
尖った顎
靴の中の砂粒を取る間も惜しみ
聞えない声を聴くために
人々から遠ざかり
た ....
黄の蝶と白の蝶とが連れ立って渡る線路に光倒れて


風も無く半旗を垂れたわが心空は高くてなにも見えない


あてどなくふるえて迷う小さな蛾人に纏わりなにを思うか


説明も言い訳もも ....
言葉のフェイクを削ぎ落し
白骨化したあなたを抱いている
突風にあばらが鳴ると
手を取ってかちゃかちゃ揺らしてみた
骨盤に唇を押し当て目を瞑る
あなたは眠りからさまよい出た夢で
青いインクで ....
翅を欠く揚羽と並び歩く道白磁と見紛う骨の白さ


すずやかな朝にまどろむ娘たち夏の火照りを蓄えたまま


安全も安心も不安あっての約束手形不渡りもある

今朝はまだ世間の目には止まらな ....
互いから目を反らすため見るテレビテープを貼った風船に針

見開いて水に倒れた金魚の目土葬にした日の絵日記帳

酒が止み雨に酔ったら{ルビ螻蛄=ケラ}の声死ぬまで愚直に夢を掘り

四十万にも ....
兄笑い弟泣いた花火は海へ闇へ消え何も残らず


カブト虫カバンに隠し学校へ死んだ弟靴音軽く


廃屋の塀からおいでおいでする夏草に咲いた少女の指


死んでやる孫に向かって言う母をさ ....
{引用=独居美人}

託児所の裏の古びたアパート
窓下から張られた紐をつたい
朝顔が咲いている
滲むような色味して

洗面器には冷たい細波
二十五メートル泳ぐと
郵便物の音がした
 ....
わたしは 年老いたわたしの失われた記憶
小さく萎縮した脳の中 仕舞い込まれて 
行方知れずの 動かしがたい過去の事実だ

茫漠として靄のかかる
瓦解した印象の墓場から
時折ガラクタたちが目 ....
山の斜面の墓地を巡り抜けて
今朝 風は女を装う
澄んだ襦袢が電線に棚引いて
蝶たちは編むように縫うように

ぎこちなく鉈を振るう
季節の塑像が息を吹き返す前に
キジバトの影が落ちた
泣 ....
そらの珊瑚さんのただのみきやさんおすすめリスト(721)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
どうしてこんなに暗いのかしら- ただのみ ...自由詩6*20-11-15
怨念の赤い糸- ただのみ ...自由詩6*20-11-8
鏡の仮面劇- ただのみ ...自由詩3*20-10-31
恋人と爆弾- ただのみ ...自由詩5*20-10-24
詩と音楽と酒- ただのみ ...自由詩9*20-10-3
熟れた悪意の日々- ただのみ ...自由詩2*20-9-26
死と詩と虫と- ただのみ ...自由詩4*20-9-19
夭折- ただのみ ...自由詩10*20-9-12
李家の人々- ただのみ ...自由詩4*20-9-6
延長戦- ただのみ ...自由詩5*20-8-29
フロントガラスにちいさな蝶が止まった- ただのみ ...自由詩2*20-8-23
死者の戯れ- ただのみ ...自由詩4*20-8-14
なしごころ- ただのみ ...自由詩4*20-8-1
早贄- ただのみ ...自由詩4*20-7-25
四から二へ/気質として- ただのみ ...自由詩4*20-7-18
とある二編- ただのみ ...自由詩5*20-7-11
新たな起点- ただのみ ...自由詩3*20-7-4
頭の上にかもめが落ちて来る- ただのみ ...自由詩8*20-6-27
帰郷- ただのみ ...自由詩4*20-5-31
201912第五週詩編- ただのみ ...自由詩3*19-12-31
201912第二週詩編- ただのみ ...自由詩6*19-12-15
感傷――観賞のための- ただのみ ...自由詩5*19-9-23
まねごと――門口に終わりの予感- ただのみ ...短歌3*19-9-22
自由の女神- ただのみ ...自由詩5*19-9-16
まねごと――やすらかに老いる町- ただのみ ...短歌3*19-9-7
まねごと――悲哀のもどかしさ- ただのみ ...短歌3*19-8-31
まねごと――夏から秋- ただのみ ...短歌1*19-8-24
坂だらけの街- ただのみ ...自由詩7*19-8-18
わたしは記憶- ただのみ ...自由詩4*19-8-17
水源地- ただのみ ...自由詩2*19-7-28

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