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狐雨みたいに
吹雪の中から日が差して
カラスかと思えば
カササギが
白く眩んだ雪原に
モザイクの影をひとつ
長い尾羽
跳ねる指先
氷の粒はからだを奏で
血は渦巻いて管を響かせる
う ....
早贄みたいに残された
だれかの祈り
吹雪きの中
目くばせする
硝子のような時を隔てて

木の実を爪繰る
指先に
小鳥の心音

あなたの長い舌が
耳の奥まで入って来ると
つめたい ....
舌から舌へ
鈴はころがった
光は溶けた
音は影のよう黙っていた
あなたは三度 
わたしは二度
相槌みたいにまばたきして

天蓋がはぎ取られると
屈葬にされた白骨が二体
愛は愛という ....
冷気を嗅いで手繰り寄せる
黒い焔 死せる舞踊者
太陽との距離を測りながら
夢を滾らせる
からだは形を逃れ
こころは殻を得た
重なり溶け合う
不可分の同一
全感覚でまぐわうように
世界 ....
裾に吹雪をあしらった
むらのない雲をまとい
忽然と 瞳に降り立った
白き盲者 太陽は
この網膜を滾らせて
まぶたには収まりきらず

毛糸の手袋にくっついた
固い玉状の雪の欠片が
あた ....
かわいた月は夕間暮れ
水気をとりもどす
井戸底に 灯る骨
白く鳴り
つめたく響く 唇は
もう血肉を夢見ない

かつては跳ねる想い
着物を乱し帯を解き
胚芽から
鋸状の風が渦を巻いて ....
月のとまった樹の根元
眠る蛇の
耳の彼方に凍りつく
川の音 ふるえる
齧歯類のような
尖った痛みを胃の腑に飼って

雪をのせた朱い実の房
星座をなぞる指の匂い
焼べられた記憶
せつ ....
赤く途切れたブランコ
見下ろしている厚化粧の空
つけまみたいなドローンが落ちた
鳥だったころを忘れ
祈りは地べたを這いまわる
時代のツールが暴いたものは
スキャンダルでも陰謀でもなく
ぼ ....
やっとのことで傍まで来た
ああ熱情
   文字すら吐息まじり

すぐに結露して
景色を曇らせる
一瞬見えた地吹雪の荒野

温度差はどれほどか
そのまなざし
大きなはめ殺しの窓

 ....
樹 死者へこぼす涙

残さずことばを散らし

ぬれて光る 生の裏地

知ることで目隠しされ

唇で唇を封じるように

傷口から遠く

白紙は音を吸い

飛び去ったかたことを ....
実としずくは出会い
抱擁し
いま互いを手放した

実は朱く燃え
しずくは銀光を放ち
確かに交じり合い
なにかを残し
なにもかも忘れ

雨はみぞれに変わり
鼻孔に冬が立つ

も ....
チャコールグレーの小さな蛾
狂ったように暴れてた
冷たいアスファルト背に
おしみなくしぶとく力なく
さかしまの日差しに浮かれ
うなされて
生死の境を針と糸
縫うように縫うように
浮いて ....
こどもの声が転げ回っている
かわいいようで
自分の手じゃとどかない
こころの裏地を引っ張られる
いやな感じもして
微笑みの抜け殻が
靴音をひびかせた
日差しが絡まって睫毛は重く
広い駐 ....
雲が雨へ
悲しみが涙へとほどけるように
もつれむすぼれた紐状の時感覚
遠近法と陰影を施されただけの
一枚の絵の中の記憶の構図と感情の色彩
それらすべてが
ことばへほどけるなら
数多の矛盾 ....
濡れそぼつすずめらが
低い枝から隣家の庭先へ消えた時
わたしは「あわれ」を見なかった
ただチュンにチュンを重ね
チュンの間と強弱で言い尽くす 
すずめらの韻律は人より力強く
雨音と斬り結び ....
交じり合う水の響き文字にはなれず
木陰に隠れ 泣く者もなく憎まれて
契りもけむる朝 嗄らす声すらなく

爆ぜる肌 墨でなぞった夜の谷
差すべに月になじむことなく
ゆがむ静寂に 息を重ねて
 ....
かつて太陽目がけて投げ上げられた一振りの剣が
この日祭りでにぎわう往来の真中へ落ちて来た
剣がひとりの人を貫いて固い地面に垂直に突き刺さると
群衆は一瞬凍り付き すぐにその場から逃げ出そうとした ....
筆を洗ったように
空は濁っていた
積もりに積もったことば
こころはもう見つからない
遠い昔に死んだ
自分のようななにか
滲んだ絵具
見分けのつかない瞳から
こぼれ出す 記憶の澱

 ....
太陽の剃刀は陰部からひと脈の血を匂わせた
人肌の季節を占って結露した光の置き場に困り果て
まだ暗い田畑で骨を拾う
骨は拾われる度に肥え月や星の声を濁らせた
他者の思考の中で溶かされる甘い小舟か ....
こらえ切れずこぼれ出す
涙のように 雨は

地を打つ哀歌
屋根に踊る陽気なリズム

暗い雲から紡がれ
眼差し次第で宝石よりも燃え

明日は乾く水たまりに
つなぎ蜻蛉が卵を下ろす
 ....
麒麟の影で琥珀を拾う
差し出す耳に
甘く崩れ
世界は暗転した

蝉の声を運ぶ蟻の群れ
記号になりかけの{ルビ蜻蛉=とんぼ}の群れ


懐中時計を開ける度
動き出す舞台
ことばを纏 ....
一本の樹の中でうわさが広がった
灰の幕屋は綻び 
沈黙は決壊する

降り注ぐことばがことばを
地に開く波紋が波紋を
打ち消し合い 相殺し
延々と生と死を被せ合う
その声は群れ
ずれ重 ....
浮力を失くした夏を掌に掬い上げ
大地は死者と契る

数は数えるものではなく
総体として抱きしめることで
各章から噴き出す色彩の嗚咽や戦慄きすら
受肉した祝祭の肌を駆ける花びらであることを
 ....
そんな記号の縺れや絡まりを休日に解いている
きみは雨音に聞き入って 雨などとっくに止んだのに
トンボの翅を咥えたことがあるかって
森をさまよった少年が手入れもしないナイフを持って
復讐に来るよ ....
残らず文字が飛び去った詩集を開いて
男は夢を見ている

白紙の上に万象を結び付けていたものがなんであったのか
ことばという記号はうさん臭かったけれど今はむしろ生臭くさえ感じている
実体験も夢 ....
わたしは見た
立葵がゆれるのを
風の仕草を想いながら

わたしは見ている
だが今のものとは違う
ずっとむかし
でこぼこ道の端
夏草から抜きん出て
こちらを向いた
斜陽のせいか
ど ....
太陽は慰めない
空は悲しまない
雨は歌わない
誰もいなくても
人はそうやって

ながくもなく
みじかくもなく
はやくもなく
おそくもなく
香は燃え尽きる

すべては鏡で
なに ....
大気の芯はつめたく溶けた硝子で出来ている

濃い影に瞳を浸し

耳は遠い過去でボートを漕いでいた

死んだ男の携帯番号を消していないのに気がついた

やせっぽっちの若造のまま逝ったやつ ....
風が立ち止まると
その樹は息絶えた
葉はみなとけた
地に届くこともなく
夢の中のおたまじゃくしが
絵具のパレットから拭い去られるように

朝は被膜に覆われ
影はみな死産の仔
へその緒 ....
──聞いてほしい
そう言ったきり黙ったまま
あなたは瓜を切る
狐雨 なだらかな稜線
あふれる水気に中てられて
ナイフは曇り
鈍い光が一、二度声もなく
痛いのは自分だと叫んで
果肉に深く ....
そらの珊瑚さんのただのみきやさんおすすめリスト(736)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
愚者白紙紀行- ただのみ ...自由詩5*25-2-24
祝祭の扉- ただのみ ...自由詩4*25-2-10
異端者の鞄- ただのみ ...自由詩4*25-2-1
冬の樹霊- ただのみ ...自由詩4*25-1-25
そしてわたしの目は- ただのみ ...自由詩3*25-1-18
月酔歌- ただのみ ...自由詩6*25-1-12
巳年酔夢- ただのみ ...自由詩3*25-1-1
情報ジャンキー- ただのみ ...自由詩4*24-12-22
恋慕- ただのみ ...自由詩5*24-12-7
泥炭地- ただのみ ...自由詩2*24-12-1
ナナカマド- ただのみ ...自由詩4*24-11-20
泥と灰の聖遺物- ただのみ ...自由詩3*24-11-10
ことばの肢体- ただのみ ...自由詩6*24-10-27
一筆書きのたましいは- ただのみ ...自由詩5*24-10-20
- ただのみ ...自由詩5*24-10-14
棚機つ女と姦通す- ただのみ ...自由詩3*24-10-6
影か揚羽か- ただのみ ...自由詩3*24-9-29
- ただのみ ...自由詩4*24-9-15
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別鏡- ただのみ ...自由詩3*24-8-25
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見つめる声- ただのみ ...自由詩6*24-7-14
非在の果実- ただのみ ...自由詩5*24-7-7
葬夢- ただのみ ...自由詩6*24-6-30
四千七百四十五日- ただのみ ...自由詩3*24-6-22
無言劇- ただのみ ...自由詩4*24-6-16

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