子供の頃に
淡雪ひとつかみ
瓶の中に入れた
白い雪は
溶けて水になった
どこにでもある水になった
子供の頃
白い絵の具ひとつまみ
雪解け水の瓶の中に入れた
白い絵の具は
....
今日も仕事
明日も仕事
明後日は水泳
今朝は散歩
今週も来週も
頑張るぞ
体壊して
検査だぞ
自分に鞭を打ち
日々生きてゆく
毎日できる事を
するのみだ。
リーフ・ストランデッドは夜明けを待っていた
世界は大きな海と森
速度計の無いマシーンで
鋼のイルカを追いかけてゆく
草原を駆けぬける
大切な命のカーニヴァル
ここではありと ....
名を持たない者たちに{ルビ識別コード=なまえ}を与えよ
壜のなかはくすぶった魂でいっぱいだ
すし詰めといってもいい。
あたかも{ルビ薬室=チャンバー}のように
圧力が上がってい ....
ベッドサイドの窓ガラスをふく
よくなれよくなれ、そう呟きながら
するとそれは突然
いつも綺麗な景色をありがとう、という呟きに変わっていた
と、その瞬間
まもってくださいまもってください、そん ....
その石には
一房の夜が埋め込まれていて
羽をひろげた名もない鳥が
宙返りをして遊んでいる
ならば
僕は
手のひら一杯の嘘をあげる
その重みで
....
ここは海の底商店街
シャッター街を歩いていると
時々誰かが迷い込む
ごぽごぽ
空気の音が
ごぽごぽ
遠くで聞こえる
ここは海の底商店街
錆びついたシャッターは
い ....
蝶燃える
木の若芽
蝶が 蝶が 落ちていく
焼けた道の上 燃えつきたように
むくげの咲く下 焦げたように
わたしも こうなってもいい
だが
わたしは こうなら ....
よるべない虚無。
「もう生きていたくない」
と言語化しろといわれたので言語化してみるがやはり「もう生きていたくない」のであった。生きていることが苦痛なのだ。六歳から生きていることが苦痛だった。人 ....
君たちは分裂して数を増やす君たちは分裂して夢を数え上げてく、
何しろ満足しない方法を覚えたときから、
君たちは足を増やして切り落として、
切り落とした足を食べて生きているんだから、
そのために ....
ある日ある言葉が
後光を背負ってやってきて
僕をいたく感動させる
僕は世紀の発見を
この言葉においてなしとげる
この言葉をペン先にとらえた瞬間
僕は感嘆の声をあげる
われは言 ....
ああ、敵わないなって
彼女の横顔をうつしたプリントの落書きにも
僕には描けなくて
ちょっと自信、あったんだけど
ああ、敵わないなって
日差しだけが強くて涼しげだった
まだ朝のような夕方
木々の緑は身を揺らせて
一日じゅう空は青のままだった
ぼくは泣きたいほど懐かしかった
ひかりがひかりだけになっていた
それいがい
僕等 ....
みんなこの瞬間を最期に死んでしまえばいいと思った
すごく楽しかった夏祭りの帰り
澄んだ青空には死神が棲んでること
わたしだけが知ってた
からん、からんと木造りの下駄は笑い続ける
....
ケンカを始めたら始めるなら片方が死ぬ迄やるべきだし又
中途で仕舞うなら偉そうに大仰な怒号で道をゆく市民 ....
生きてることには文句を言え、こんなところに突き出しやがってと、天に向かって唾を吐け、どうせ俺たちゃ日蔭のシダさ、明るい朝日は拝めやしねぇ、荒んだ日々のウサ晴らせ、そら、神さんこちら、金 ....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった
わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....
よくぼくは言われたよ
過激な発言ばかりしてないで
普通のことだけを話せよと
よくぼくは言われる
山あり谷ばかりの生き方じゃなく
普通の暮らし方を覚えろと
じゃあそう言うひとたちにぼ ....
アングラな思想に
陰雨は益々逆上し
渦巻く不条理と
液状化する倫理の狭間を
横行していく出任せの正義
快楽の行く末は
琴線に触れもせず
狂い咲く恥じらいと
計算された愛憎を武器に
....
憂鬱な日には
いつも太陽が見えなかった そこに
見るべきものが
僕には 何も 見えなかった
言葉もなく
朽ち落ちていくときに そこから
僕は どこに 歩き出すのだろう
流れる 時 ....
頭の中で魚が跳ねた
ぴしゃんと深みへ姿を消した
黒い子猫が静かに見てた
風がぱらぱら捲っていった
時間は長くも短くもない
人の物差しはいい加減だ
....
口笛を吹くように自然に
言葉が流れる
僕はそういうふうに
歌う人になりたい
だけど
思いってやつは
トゲトゲして不恰好で
喉につかえてしまうから
僕が歌う様は
血反吐を吐く犬のよ ....
すべての水の凶兆に立ち
濡れた緑を見つづけている
静かな悪魔が建てた街
どこまでが幻か
袋の底の底をまさぐる
鳥のような 砂のような
瞳が沈み 昇る真下 ....
トラブルが起きると
誰かが泥をかぶる
誰かが猫をかぶる
噂が流れる知ったかぶる
怒りにブルブル
やがてはブルー
シンプルなことだ
プールの中で眠る
プルト ....
たとえば、試しに
全部デリート
ですね
脱皮したいならば
それを聴いてわたしは
混乱した
そして懐いていた哲学が
机上論で
偽りの主義
だったことを知った
永遠
を信 ....
思わぬ方角から飛んでくる
ボールのように
不幸は突然
ぼくに当たる
視界が狭くなり
周りが暗くなって
倒れるときに
歪んでいくぼくの顔が見える
しばらくしてもうひとりのぼくが
....
おとしぶみと言う虫に託す詩集ひとつ恋愛論のなれの果て
ストリートミュージシャンにあすを尋ねるどのコード進行で生きるかと
炎天下脳みそは妄想やめて夕涼みプラタナスの鈴の葉陰に
初音ミク ....
かたつむりがね
いないとさみしいよね
木の葉の影の雨宿り
でもね
木のてっぺんにもいるんだよ
きっとね
だって だって
ひなたぼっこしたいから
アリさんがね
いないとさみしい ....
きみの
美しく長い舌の上
一面に広がるれんげ畑
雪どけの淡い水が
陽を吸ってさざめいている
僕は、そこで
幾つかのたいせつな思い ....
地球深く
水底のダゴン茶屋に
宇宙飛行士がやって来ました
ラインの黄金を尋ねて
掌には何もないことの地図
流星は天空のエフェメラル
シーツにくるまって
白い月のような乙女たち
店で ....
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