日本海の港町に
住み始めて半年をやや越えた
『明日は ....
突然工場が爆発したり
突然歩行者に車が突っ込んできたり
時限爆弾のようなものでも
ぼくらの周りにはあるのだろうか
太陽の磁極が5月
四重になるのだという
こんな ....
天使のスカートにひだひだがついて
俺は卒倒する
夜の陰に怒りは湧いて
人々の中に散る
神々はいつもの沈黙を止め
もつれた舌で喋り出し・・・
俺はいつしか俺へと還る
まるで夢から覚めた午後 ....
きみのオデコはとがっている、おやすみと言うたびに、やだやだされて、それはちょうど夏の虫だったから、掛け違えたボタンが蝉のように、ポックリ病だ、ぼくはきみを目覚まし時計と間違えていた。
縞模様 ....
地面とじかに触れ合う春は
たった一つの落し物をした
そのたった一つの落し物が
みるみるうちに散らばっていって
こんなに豊かな花々になった
花々は凍り続ける
大気が花々を許すその日まで
....
昨日会社を辞めてきた。僕の心にはため息が一つ。それは何も意味を持たないだろう。君も詩を書くのをやめてしまった。こういった感覚は、いつかどこかで感じたことのある感覚だ。子供の頃、暮れかけた公園の中に ....
まず魂のくせを矯正します
今世のくせも後で清算する予定ですが...
とりあえずお世話になった想いの数々に手土産のひとつももたせて
さっと湯通しをします
その際肩をおもみしても構いません
....
奥へ奥へ
枝の洞に
鳥のかたちの灯が燈り
迷いの声で話しはじめる
強すぎる光が
目に残すしるし
指が指を
抱き寄せるしぐさ
夕陽を知らない川を
流 ....
んだよな…
....
キャリアウーマンの淳子さんは
食事時間も不規則になり勝ち
その上
ジャンクフードしか食べられない
昨日はピザを
直接会社に届けて貰った
そして
会社のソファで
....
不完全なレイトショー
二連敗の前座ボーイ
条件付きのペントハウス
高慢ちきな御令嬢
メトロポリスの重大過失
ワルプルギスの夜の情事
ガダルカナルの島の遺骨
ペテル ....
私腹を肥やした市長と
新人の試験監督が
芝の敷き詰められた校庭で
シーソー遊びをしている
紙魚は紙幣を食べつくし
新月の夜に
湿った子音になる
質問が締め切られると
至福の ....
智恵子は雨の日には地震が来ないという
昔なじみの校舎のような病院だった
伝言板には院長の行く先が告げられていた
カーテンをあけて雨の日を見つめる
さくら若葉のあいだに在るのは
昔なじみのきれ ....
コトバの残骸を踏み越えていくときはいつも裸足
狂い始めた気がして音叉を頭にあてる、脳ミソを調律
あたらしい歌ください、ぼくの中古ピアノに
雨粒がみずたまりで正しい円を描く、コンパスも ....
今日はめずらしく詩が書けません。
だから僕は躍起になって詩を書き殴ります。
書き殴ります。
でも画面に表示されるのは知らないどこかの誰かが打った文字を
全く変わり映えしないもの。
....
牽かれていく二すじの偏光
孤独な少年の手なぐさみ
自転車にまだ補助輪があったころ
ぼくは愛されていたかしら
いなかったかしら
初夏の予感が初めて来たとき
駅前通りに二匹の妖精 ....
僕らは見知らぬ未来を味方につけるため
騙し騙しの今日をやり過ごし
昨日の名前を付けるために墓を立てては
名前を付けると昨日が色あせ遠くなってしまいそうで
やっぱり何も刻まないこともある
無言 ....
まっさらな光の空間でも 輝きたい
対極の色彩に支えられるのではなく
白の中でも 極める白さを放ちたい
特殊カメラでも拾えない 光 眩しさを
可能な限り 歯を喰いしばり
結び目まで ....
赤い鉄橋が
鳥居のように立ちつくす
影の硝子の奥の午後
さわれぬ光をさわらず昇り
灯は街から剥がされて
夜は緑へ緑へ向かう
昇りゆく灯のさらなる上を
虎は ....
飲んでいい牛乳なんてない
宝くじは空くじだ
ビンラディンはとっくの昔に死んでいた
年間自殺者なんか三万人もいない
地球温暖化なんて二酸化炭素と関係ない
みんな騙されるのが ....
痛ましい日々を相殺するように
僕の体は卑小になる
すべてが抜け落ちた後に
核のようなものが残った
その核はただれている
時間が湾曲して僕から逃げていく
望まれない永遠のなかで
ただ生きる ....
腕をつくフォルム
眼球と二重瞼のバランス
背中に手を添えて
差し伸べるように
手のひらを奥へ傾ける
黒髪がしなり散らばる感触
床へ促す一連の流れを素描しながら
降りそそぐ熱い雨を
....
高原に吹く風が
レーザービームみたいに
追憶に照射され
旅の終わりに描きかけた
一枚が完成する
白樺は動物の皮革のようだ
誰かの故郷が傷ついている
歌手が風邪をひけないのと
おなじく ....
今日は本当に久々の休みだから
爆睡しようと思い且つ
....
空から降ってくるものたちは
悲しみをたずさえてそっとやってくる
それはアリューシャン列島の凍った針葉樹を融かし
地に降り立つとそれぞれに色を変えて南下してくるのだ
柱時計をぼんと鳴らし ....
仮面ライダーになりたかった
あのときぼくはまだ
仮面ライダーじゃなかったから
そのことばかり考えていた
三日月は満月になりたかった
ひとはみなしあわせになりたかった
....
蛍光色
に
近い色合いの、液体
を飲む。
島と海
国
錠剤。
食べ過ぎたおれ
は死ぬ
こと
を
せん妄し、
雑巾
を絞る。
壁を拭く。
硝子障子
を
なでる。 ....
かなしげなものを見て
かなしげな目をしてみる
少年が駆けていって戻らない
就職する葦たちの中で
僕も書かれていくけれど
一般相対性僕は濡れているので
エントリーシートにはのらない
特殊相 ....
砕かれたうす赤い冬薔薇が
華奢な少年の頸すじに散る
銀色の沈黙を張りつめる空に
黒く慄える梢が罅を入れてゆく
道にゃ名前が付いていて
国道1号
県道2号
....
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