暗い道でも みうしなわずに
ついて行けるように と
契りを むすんだ
おとこの 背中に
灯火と星を 刺繍した
1
いっせえので
声に出してみよう
わたしたちきっとふたごみたい
チェリー
ピーナッツ
ハッピーアイスクリーム
2
いけないな
わたしたちって
いけない ....
あたしのスカートの
端っこを切ったのは あなたでしょう?
羽をばたばたさせて 空に浮かぶ
髪が伸びたので あたしは飛べるようになった
まっさらな夜を
あなたの匂いをたよりに飛んで
....
涙を混ぜる、という行為には
冬の夜は長すぎる
ひつじが百匹を超えたら ふいに湧き出す
僕って何だろう、みたいな問いかけに、いつも
たまたまこの星に生まれて
たまたまこの国に来 ....
{引用=
一、やわらかいものたち
みなもの月が
やわらかそうで
みんなたのしく眺めていたね
そして
だれかが
つかまえようとして
バシャリと濡れてしまっていたね
....
ほしいものは やおら
灰のように くずれる
ためらうな
どうせ後悔するのなら
手をのばせ
BGM→http://www.hi-ho.ne.jp/momose/mu_title/tan ....
きっと、知らない町なんだと思う
不器用に建ち並ぶ、高層マンションに隠れている
ありふれた日常だとか、錆付いたマンホールの下から
伝わってくる、救いようのない虚しさだとか
見慣れた信号の色と形で ....
古いモルタルの
アパートの二階へ続く階段を
普段どおりに駆け上がる
足音はある意味合図だろう
鍵穴にキーを差し込んで
ここまでは完璧にいつも通り
ドアを開けた途端
部屋はいい匂いに溢れて ....
ジョニーは自分では
きっと前世はやかんだったに違いないという
なんでやかんなのと聞くと
やかんを見ると落ち着くからだって
俺はやかんに戻りたい
お湯をわかして暮らしたいよ
ジョニー
....
いまは更地になっている
高校の前から自転車で少しいったところの
あの荒廃した土地には
昔ジャスコが建っていた
しみったれた汚い店だったが
中にはフードコートもスーパーも
一応あ ....
腰のまがったひとが
夜のとばりに 星をうえていた
しんぼうづよく ことばを
なくす過程が 大切なのです
と おしえてくれた
洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君はもう産まない
とつぶやいた
僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えな ....
きみにそっくりな犬が
くさりにつながれていた
きみの名前を呼びながら
頭をなでたら
涙がボロボロ流れて
止まらなかった
やっぱりきみが好きだった
{引用=山里に出会ふ少女はひたすらに
坂下り行き{ルビ畠=はた}のトマト赤し}
D展に出す絵のモチーフを探して
山地を旅していた
山里の道を歩いていくと
籠一杯のトマト ....
女にふられたので、
稚内へ行って死んできた。
稚内へは、羽田から直行便が出ている。
うすぐもりの空がまるでばけものの飛ぶ空のように広い。
ツアー客のでっかいトランクのなか、
浪人生みたいに手 ....
あいだ
について
よくかんがえる
わたしとだれかのあいだ
なりたいこととげんじつのあいだ
ぎゅっと
ねんどをおしこんで
かたをとることができたら
きっと
なんだかきみょうなかたち ....
苺ジャムから
苺を引いたら
夕日が残った
誰も地下鉄になど
乗ったことの無い町だった
くすんだ陽射しの中
食品工場の隙間では
猫たちがよく逢い引きをしていた
友だちにもみな両親 ....
日を追う毎に
わたしの頭は
軽くなってゆくようです
わすれていくのだろうか
こんなにも容易く
赤信号が青に変わり
裏路地は繁華街になり
たった今あったものが
次々と消えてゆき
....
わたし花びらと勘違い
あかい
あかい
そのお色
痛かった 痛かった夏を抜け
手のひらには木の実が残ってた
帰り道はすこしノスタルジィで
水の流れがいとおしかった
ね 空のこと時々考える
け ....
さまざまなかたちの痛みが
頭の左すみにころがり
右目のまわりの暗がりには
花に似た背のかげろうがいる
すいと平行に引かれた線の
変わりつづける永ささえ
なにげないものに ....
いくつもの
道を歩いて
噛みしめる
残した足跡
今なら見える
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
象の飼育係をやめて
バスの運転手になった
象の目は悲しげだ
と言うけれど
乗り降りする人たちも
体のどこか一部が悲しげだった
遠くに行きたかったのだろうか
数頭の象が停留所にいた
....
美人薄命 というくらいだから
女の子は 青白い顔をして 少しくらい体が弱いほうがいい
などと思ったのは 十二くらいまでの話で
ただ ひたすらに 丈夫であることは 尊い
そう 思う ....
?.
あなたを
あなたのすてきなところを
一日
大切にする
あなたを
あなたの汚れたところを
裏返して
日に透かしてみると
おかしな影ができるから
その影に指で ....
ムーンは名犬ではなかった
おれが不良にからまれたとき
まっさきに逃げた
のびているおれのそばにきて
目のよこの傷をなめた
ムーンは名犬ではなかった
堀内と土井と高田の
サインの入った ....
ほんとうに悲しいことっていうのは
決して届かない手紙とか
決して返事の来ない呼びかけとか
二度と会えない友だちとか
そういうことも悲しいのだけれど
なにか頭ではなくてうなじの ....
わたしの手に
あなたの手が住み
眠り、少し起きて動くと
くすぐったいものが
わたしの中に届く
汗をかいて
わたしもうっすらと汗をかいている
守らなければならないのは
こんなに小 ....
男を好きになる度に
彼女の体から火薬の匂いがするの
情熱はジリジリと
へその下から入り込んできて
体中を燃やして行くのよ
だから いつも
骨の焼ける匂いのする
彼女の手を ....
サンボマスターの山口隆は、『そのぬくもりに用がある』のMCで、「言葉にならないからギターを弾くわけですよ!」と叫ぶ。この叫びを突きつけられたとき、思わず立ち竦んでしまった。そして、立ち竦んでしまった ....
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