ネギを買いそびれて
僕たちはネギの話ばかりしていた
こんなに真剣にネギの話をしたのは
何年ぶりだろう、なんて
今でもネギを見ると
あの日のことを思い出す
だから僕は
ネギを食べなくな ....
くやしい
と言って
涙を浮かべる
君を見ていたら
「くやしい」の
「く」も
「や」も
「し」も
「い」も
全部消してあげたくなった
透明な波が
どこからかやってきて
ささささあん、ささささあん
とうち寄せてくる
けれど
透明な波はあまりに透明だから
私はいつもそれに気づかない
例えば
静かな朝の食卓
箸を ....
ライオンは
その牙とたてがみで
王者の風格と讃えられ
カモシカを食べた後に
カモシカに憧れて涙した
なんだかよくわからないことを
なんだかよくわからない声で
喜んでいる
昔の話らしい
まだ
生まれてもいない
かさついた粘土細工が削げ落ちるように
(ぱらぱら)
頬がこけていくの ....
魚をやいていると 悲しくなってくるわ
からだじゅうの水分が 網の下へ、雲の上へ ってにげていくし
おめめはしろーくなってくるし
服ににおいがつくし
とっても悲しいわ
あな ....
虫歯が痛んだので歯医者に行った
虫歯を治してください
口をあんがあと開けたのはいいけれど
白衣を着たおじさんに
ここは目医者ですと言われてしまった
仕方なく
僕は自動車の整備工であ ....
しん、や。
さびしい手
錆びついTake
ギタリス、トの指輪、のように
靴磨きの、はなうた、じ みて。
紫の夜が
南十字に降る、触れる
大理石の僕
冷たい膝を、割り砕か ....
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