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きみの産声は
午前6時のものだったらしい
かつて手帖があったころ
盗み視た
かすかな記憶
その時きみを照らしていたのは
夜明けという天然のシャンデリア
きらきらとさやかに
祝福はあった ....
はざかいの風が
わたしの季節を
灯し忘れて経ってしまった
とりのこされて
きょうも
おとなりの芝は
あおく
まばゆく
中途半端な雨降りばかり
こんな夜にも
手ばかり冷える
....
空をあおいでも
それでも足りない日には
年輪を刻んだ自販機に
たずねればいい
コインの用意はいいかい?
きっと応えてくれるから
躊躇わずに
それ、
買いなよ
いのちが潤うよ
どんな ....
首都高に陽は沈み
滞りのなく済んだきょう
帰り道にも屈託のなく
靴を脱ぎ捨てようなんて思わずに
橋を渡ることができた
今は部屋にくつろいでいる
五畳のわたしの聖域は
しっかりと夜の帳 ....
吐く息が部屋のなかでも白を語る
かじかんだ爪先に靴下を与えるでもなく
窓の外
早すぎた目覚めがかなしく
ひとりを悟る
{ルビ時間=とき}に負けて
遠のいてゆくあなたの微笑みは
ま ....
いま時分には珍しい朝凪に
吸い寄せられるように
車を止めて
浜へ降りて行った
もう、母国に
呼ばれることのないカモメたちが
白を惜しまずに羽ばたいている
水面はきらきらとさやかに
....
陽は沈み
わたしも 想いに沈んでゆく
白かった あの少女のワンピースに
色を重ねるみたいに
おとなの
ぬりえ
おひとつ
いかが
決して 一概に、一途だったとは云 ....
置き忘れてきたわたしの笑顔
いまどこらへんで泣いてるかな
いつも思っているのに
足りなくて、足りない気がする
思わなくっちゃ思わなくっちゃ
泣き虫の笑顔のはにかみやこぼす愚痴のこと
聴 ....
かなしいけどあのひとはもういない
って 悟ったほうがいい
追いかけない、わたしだった
はず
思いを今日もひとつ
捨てて
時をたずね明日を
知る
みたい夢ばかりじゃない と
決 ....
道端で踊っている
つたないステップ
危ういターン
手を差し伸べたそうなおとなたち
きっと拒絶するだろうな
あの少女
いるようでいない
いないようで皆が注視している
そんな邪魔な存在に気 ....
風を脱がされた雨が淋しげに
吶吶と落ちている
かなしみだ
わたしのかなしみのうつしみだ
晒されて
ほら聴こえる
よおく聴こえる
嘲笑い
わたし、宛て
*
風 ....
できないこと
それは人並みのこと
それが多すぎる自分を
鏡に映す
鏡は冷酷じゃない
うそを映してくれる
許すように
そっと
なにもかもを捨てようか
たずねてみた
いのち ....
東北東の風が父さんを目指す秋晴れの午後
生きていればきょう何歳だったの
数えるのはやめている
教えてくれるのを待っている
東北東の風よ教えて
父さんはいまどこで何歳のお誕生日を
東北東 ....
何もかも面倒くさいって思ってしまうんだよ
あたま、病んでいてね
もしかしたらそんな理由からじゃない
のかもしれないけれど
三度の食事もサプリで済めばよいのにね
いっそお洋服着る習慣なんて ....
つらい暗い夕暮れ
ひとりを噛みしめる時間
あとにしたカフェで飲んだ
クランベリーソーダを思い返している
霧雨のなか
あえてテラス席で
はじめたばかりのタバコ
慣れない手つきをごまかし ....
きっと生まれて初めて見た色って
ターナーの洪水
まばゆいなか ひかりのなか 空映す青
きっと生まれて初めて知った色って
ターナーの洪水
まばゆい夢 ひかりの夢 母なる海
無から有へと蓄 ....
猫が生まれた
二匹生まれた
かあちゃん猫が
ダンボールに連れてった
ある夜のこと…
翌朝起きてダンボール
こっそり覗いて見てみたら
なんと四匹生まれてた
おばあちゃんがね
これは ....
かなしみの陽光の許
ひとり公園のブランコで
揺れるでもなし
揺れないでもなし
あなたは
来ない
約束の
正午
やがて傾きかけた日差しが
わたしをみちびくように
家路を
....
薫風が行く
あとを追うのは誰
梢にちいさないのち
めぐる季節への
地図を広げている
薫風が行く
あとを追うのはわたし
梢に君をみつけて
初夏を一緒に
深呼吸する
朝の挨拶は ....
たぶんもう
下流なのだと思う
海は間近い
抵抗をしたことがないことを
わたしは
誓うことができる
流されての
ことの次第に
本当はきのうやっと
そのことに
気がついた
ま ....
君に言うべきさよならはまだ
とても遠くにある
たとえば隣にいたとして
蹴っ飛ばしてしまおう
決意っていうのは
別れに使う労力じゃない
きょうのこの日の朝に悟る
おはようを視つめるため ....
白菊の歌声が
偲ぶあなたの
墓標前にて
一人雨に
濡れながら
西脇の詩集を
繰ってみる
詩のまことが
こぼれますように
と
紅の傘は
忘れられて
かなしく倒れて
朽ち ....
きょうとあしたはいつ入れ替わるか
じっと待ったが気配はない
秒針過ぎてきょうは早早
不運を占う余念がない
きのうときょうを掌るもの
わたしをあしたに連れてかない
分針ふふんとずんずん進 ....
○号分の亜麻を
木枠に張って
憧れの画家の
許を訪ねた
描いてください
とお願いして
その、写真も
手渡した
画家は
受け取った
契約成立
お会計をお願いいたしま ....
いのちはあの一本の樹と
わたしの間にあります
やわらかく俯くようにあります
夏の庭の青い花が
ゆらゆらと何かを祈っています
太古のことではないこと
だけが確かなことです
大切なの ....
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