腐った蕪をかき分けて
一人の時間を食べている
冷めたスープの鍋の底
緑の葉っぱがこげている
こどものひとりのアドバイス
あなたには無駄が宝物
散歩のついでに憂鬱を
紐に繋いで引き ....
先頭に居るのは誰なんだろう?
少なくとも君では無いはずだ
車酔いをする人がこの場所で
並んでいるとは考えられず
回り続けるメリーゴーランド
今日も僕は一人で乗り込んだ
出来れば君の背中 ....
風が流れてこないから、
行き先がわからなくて、
佇んでしまう。
私にとって呼ぶ声そのものが、
道標だ。
声を含んだ風が流れてこない日は、
この指を切って赤い唾を流す。
赤い汁のなかには小 ....
私は死に向かって
一直線に走っている
後悔などは何処にもない
せめて安楽な死を願うのだが
死という狭い門をくぐるのは至難の技かも知れない
痛みに弱いぼくは
レモンに告た
モルヒネ漬け ....
珍しく故郷に雪が降りました
梅の木が雪をかぶって
静かに佇むニュースを見ました
こっちも凄く寒くて
積もった雪が電線から
さらさら落ちることを知りました
俺は冬が好きだから
お前 ....
世話好きな暮らしを離れて
夜更かしの日常に
浸りきる
お節介な暮らしを離れて
自堕落な寝床に
根を生やす
まわりの奴等はといえば
どいつもこいつも
似たようなもんで
....
季節をなめらかに接続するもの
日の落ちる時刻を厳密に推移させるもの
樹の葉を色づかせ稲を実らせるもの
それがゆるしというひとつの着陸
世界にはあまねく壁がはびこり
次から次へと棘が生 ....
つつじが丘の襞隅で
鴉が わめきあっている
キジバトも うなりあっている
そうだ あのときは そのときなりに
対処していた 筈なのに・・・ ....
浮かんでは沈んでいく言葉達
言葉のありかは深層意識
漁師のように言葉に網をかける
網にかかった言葉は
時に楽しく
時に悲しい
最近は悲しい言葉ばかりが網にかかる
何度も 何度 ....
青い球体に手を突き刺して
あなたを引っこ抜きたい
白い球体は ゆっくりと東から西へ
夜を巡ってゆく
孤独なんて簡単に乗り越えられると
思っていたのに
私はもう潰れてしまいそうに
震えてい ....
唇が口笛が造形する
音響銀河
銀のヒビキ
波紋広げ渦巻く渦巻き
疼く身体
降りしきる雨に
疲労し尽くしながら
既に放擲された己
絡みつく白腕払いのけ
欲望を
情熱を
衝動を ....
わからないという虫を
見てみぬ振りをして
僕の中で放っておいた
奴等
増殖し巨大化し
脳の子葉を穴ぼこにした
食べ後からは
血と膿がにじみ
葉脈の鼓動は
カラスの鳴き声になっ ....
だんだんと
忘れたように
白くなる手足をして
朝 晩 かまわず
ひとを待つのは
あさましいことと思いながら
紙のような心に
置いた石ひとつ
どうにも平べったくて
転がることも ....
作られたかたちの、匂いがするので
手にすることをやめてしまう
しぜんを求めているわけでもない
人工物をあいしているから。
伝えるものを含まないと、ながれてしまう
ことばは本来 ....
都会を走れば
何もないことに気づくだろう
効率的で便利だが
この街には何もない
すべての都会は等しく同じ
この国の都会だけじゃない
便利に支配された都会は
速さに乗っ取られた道路は
....
死体をぎっしり詰めた
冷凍庫の扉を開けると
数え切れないほどの凍えた魂が
僕たちの町に飛び出して来た
本当に長い間
カチンコチンに
凍らされていたので
ほとんどの魂は
重度の認知症 ....
人を許すには
とても勇気が必要
一度は拒んだはずだから
ありったけの勇気を
もって
人を喜ぶには
とても痛覚が必要
麻痺しているはずだから
人が苦しみ悶 ....
カラスが道端で死んでいました
カラスはカラスのままで横たわっていました
そうやって
カラスはカラスのままで朽ちてゆくのでしょう
落ち葉が
カラスの上にも
ふっていました
カラ ....
(いきよう、いきよう、いきよう)と――
この体中に張り巡らされた、血の管を
絶え間なくも流れゆく
命の声は何処へ往く?
昨日?
今日?
明日?
いや、今だ― ....
石が浮遊したまま 歩くものだから
おにぎりを持つ手を取ってしまった
ぱらぱらと 放物線を描いて当たる残飯を
一つまみだけ返した
大方 縦に首が動く
揺れている
様々にた ....
もしふと世界が終わるならば
それはきっと
こんな澄んだ青い空の九月の日だろう
そんなことを思うと
なつかしさという古い抒情が
僕らを草のようになびかせてゆくね
小さな桟橋 きらめく ....
くびれ白く膨らんだ夢
濃く陰りうごめく野心
頬を染め淡く恋ごころ
わんわん泣いた幼子の
なみだ上った夕暮れの
隙間に射した金の細糸
重なり競う夏の雲たち
空も狭しと見 ....
押しつけられたサインペンの、押しつぶされたペン先に、抑えつけられた紙の底
机上に黒が滲んでいる
うすい白紙がうけとめきれずに零した黒が
笑ったような形をしている
いらないのですこんなものは
....
シャワー浴びたら
急に頭が カラカラ 言い出して
タオルケットで頭を拭いてても
リンリン 音がする
合わせ鏡で宇宙を作ったら
髪の毛が天の川の色に染まってて
星屑が ポロポ ....
山の中で
あっを聴いたらだめだ
それは何かの始まりであるかもしれないが
私自身の終わりを意味する予感が
鳥肌ともに飛来する
その人工湖のほとりでは
山奥なのに車の発 ....
何かが掌に残れば
それは温かく光るだろう
君が蛍でないにしても
君にも光る一瞬があるのかもしれない
この世界で生きている以上
僕達は火を燃やすための燃料以上の存在ではない ....
彼は着いてきた
ぼくはあちらこちらへ行く
黒い森に行くときも
白い街に行くときも
彼は着いてきた
彼がいつからついて着たのかわからない
気がついたときには ぼくの少し後ろを歩いてい ....
私が立っているビル群の下
そこには昔深い海があった
不燃の塊に埋め立てられ
魚は住処を失って
そうして海は死んでいった
濁った灰色の海を眺めても
波音は聞こえては来ない
私が ....
少し早く起きると
白い時間ができている
まだなぞっていない時間
自由なようでいて
もうすでに枠ができているから
はみでることは許されない
希望がある気がした
今日のこれからに
....
泥の中の生活
掻き分けて取り込んだ酸素を
呼吸して生きた
苦しいような気もしていた
えらをぱくぱくさせていたら
いつの間にか海に居た
掻き分けなくても在る空 ....
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