くそさびしい夜だ
痛かったやろ
こわばったやろ
目どこ見たら
わからんようなったやろ
胸こげたやろ
ゆびさきしびれたやろ
息あさくなったやろ
そんなじぶ ....
無数の髪は今日も伸び
目は開き
耳は聞き
鼻は吸い
口は吐く
首は支え
手は掴み
左の胸は一生涯とくり、とくり、と脈を打ち
腹は昼頃、鳴るだろう
そしてお尻はもよお ....
ゆるやかなカーヴ描いて
夕暮れは無言のまま
裸足の気持ち連れて
だれにも知られず
森に帰ってゆく
透明な跫音響かせ
かさかさと風を編んでいる
青の終わりが
テーブルのうえに
....
傾いた径を
傾いた柱がなぞり
森を巡り
坂を下る
傍らをすぎる見えないかたちの
わずかな動きにひかるもの
夜の端
夜の痛みを照らすもの
枝から枝へ雨 ....
独り暮らしの侘しさを
はぐらかそうと
つむじまがりの北風のなか
杖と携帯をよすがとして
....
「夜の色は、黒じゃない。
限りなく、深い、青だ。」
かつて私にそう言った彼は、
今、病院の、鉄格子のついた窓の向こうにいる
誰かに許しを請うために、痛めつけた己
ただまぶしいばかりの ....
ある場所で
点、として生じた光りが
わずかな距離を移動して
塵となる
それを一生という
かきあつめたもの
握りしめたもの
すべて消滅してしまう
けれども
細い雨のあとの
植 ....
かなしいような夜が明け
せつないような曇り空
これからはじまる一日は
わたしに意気地を呼ぶだろか
たったひとりの夜が明け
たったひとりの曇り空
オーガンジーのカーテンは
きょうもわた ....
意味に縛られた
悪夢の様な夜
朝を待つばかりで解決を見ず
何故かを問う
これは私の意思か?
(イエスかノーか)
これは私の意思か?
何故かを問う
朝を待つばかりで解決を見ず
意味に縛 ....
涙は手頃な宝石です
貴方のほっぺを飾ります
私の心を溶かします
嘘でもいいかと許せます
嗚咽が喉を焼きだしたら
抑え込むのは無理でしょう
風に押される野火のように
貴 ....
何度振り返ってもあのタンポポ
踏まれる場所に咲いている
アスファルトから芽を出して
どうしてもそこが良かったんだね
風からの問いに頷くように
そよいでもみたそうな
けれど地に這って咲い ....
遥かな根幹に
四散する抜け殻
微細な薄皮の
剥がれゆく感触
潮の満ち引きに
身体為す術無く
月陽に照らされ
気は遠のくばかり
宵抱き自ずから
掘り下げた深淵
藻 ....
塞いだ夢を見た
突然のことで
夢と認識するまで
時間を要した
二日間眠った
二日前のことは
まるで覚えていない
他人は入り込んでくる
夢だけならいいのに
さようなら を言えるのは
一人じゃないから
さようならを 言う時は
一人じゃなかったから
あなたは何を待っている?
誰と何を知って来た?
こんにちは は日和見ことば
人に投げておしま ....
吐き出した言葉が
気泡になって
無人のブランコを揺らす
目を瞑ると
魚たちが
瞼を触りにやってくる
部品を捨てながら
自転車は走る
ただ一つの
点になるために ....
知らぬが仏とはよく言ったもので
仏様には似ても似つかぬわたくしは
やれ 醜くも渋面を晒して
それでも 知らぬふり、
存じぬふりを 通しております
此の世の理は存じておりません
貴方の ....
今朝、ガラスの森で
色のない林檎に一目惚れした
強く握ると
割れてしまいそうで
やさしくそっと まわしてもいだ
足元の落ち葉を しゃら しゃり
確かめるように踏みながら
....
悲しむことはなく
笑えない理由もない
日常は途切れない
そしてだれかが途絶える
憎むべき人はなく
笑えない理由もない
日常は途切れない
もしもだれかが ....
きょうの朝は、
灰色の水にひたされている
人びとは鈍い眼をしてさがしている
ありもしない排水溝や
冬の葉のかけら、
あるいは大切なひとの
い ....
人の心は水に似て
器に合わせて形を変える
だけど時には凍りつき
器の方を壊してしまう
水は低きに流れるが
それは惰性の気楽さで
時に情熱の火に触 ....
クロールの腕は
背泳ぎの腕は
すでに必要な分の
空間をかきとっている
その直径の
中で泳げばいい
ぜんぶというなの
私のせかいで
百万億土 三千世界
どこまでいっても仏の道
世界の終末 神の成就
どこまでいってもハルマゲドン
聴こえますか 見えますか何を聴いていますか 何が見えていますか
私はひまわりの種を植えまし ....
私は今日法廷に立つはずだった
どうやってそこから逃れられたのか
あるいはこの人気のないプラットホームこそ
私の足に踏み潰された新聞は明日のもので
線路の上に猫が一匹迷い込んでいる
友人の携帯 ....
孤独は堆く
薄緑色の小鬼が
片目を瞑って
夜道を歩く。
飴色の酒壜を携えた
一人の小汚い男が
片目を瞑って
夜道を歩く。
それぞれが
それぞれに
それぞれを ....
友よ 教えてくれ
いったい何処へ行くのだろう
君とは長い付き合いだ
離れてはいても仲間たちと繋がり合っていた
私は決して孤独ではなかったが
すぐ側にいた君と親しくなるのに時間はかからなか ....
蝶が 微笑う
ひらり 乾いた土に 舞い降りて
一人 泣いた
ふわり 細い川で 雨宿り
ボンゴレの お家が 心地良い
私は いずれ
咀嚼される 運命
その前に 赤い唇
....
また 続きの雨だ
あのときからの
泣いてからの
決意してからの
理不尽に震えてからの
続きの雨だ
雨がふる
足元が
かたまるために必要だと
教わったけど冷たいね
雨は
....
きみに言っておきたいことがある
確かにボランティアは立派なことだ
ただしボランティアが楽しくなったら
その時点ですぐに辞めなさい
ボランティアは楽しいことではない
楽しくあってはならないこと ....
もう声はひび割れている
擦過傷の目立つ真空の中で
またはエタノールの中で
ひらひらと
(舞い上がるか、舞い落ちるか、)迷っている
影におびえることはもうない
人間さえも気をつけてい ....
蒼い光りに照らされてさまよう
帰る場所のない人たち
一様におし黙って
立ちならぶ電柱の合間を
ぼんやりした駅のホームを
一定の歩調で脚をひきずるように
歩く
....
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