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遠いお話を
忘れないために
僕等は
指を折りながら
花の咲くのを待っている
寝返りの度に
蒸発してしまう夢を
朝のそばで
取り戻そうとしている
見つからないままでいる ....
数ある詩集を詠んで
それを真似て詩を書いた
詩人
辞書を調べながら
かっこいい言葉ばかりを並べた
詩人
落ちている言葉を
拾って繋げた
詩人
なにも綴らず
ただ心の ....
二階建て文化住宅の
一階の端に住んでいた
雨の日は軒下で遊ぶ
家中の傘を持ち出して
白い塗装の 錆びきってぼろぼろの
鉄階段を カツンカツンとのぼっていく
赤い無地の
カサカサ音 ....
サキとは昔から似てなかった
サキは母親似で
それがずっとうらやましかった
サキは生まれたときから妹だった
サキは小学校のころから
勉強が苦手だった
勉強が得意だったわたしは
いつもど ....
君の周りに人が群がっているのは、
君のその、聞き癖のせいだ。
君はつまらない政治の話でも、
オタクの漫画の話でも、
それが世界一面白い話でもあるかの様に興奮して聞いている。
....
送り先が何処だか分かりませんが
先生宛てに手紙が来ました
なんでも皆さんが使っている辞書の
「愛」の項目が間違っていたらしいのです
でも手紙には
これしか書かれていませんでした
....
微笑みの匂いがする最後の頁を
めくるかのように
僕が女を忘れたころ
女はいつもと同じ場所で
いつもと同じ歌を
歌っていたそうだ
未明
人も車も動き出さない冷たい駐車場
空を見失 ....
おとうさんが
とてもおおきなつぼをもらってきた
かぞくぜんいんで
おおさわぎしながらいえにはこびこんで
りびんぐのすみっこをかたづけて
なんとかおくことにせいこうした
きれいなもようが ....
公園の真ん中に
ぽつんとジャングル
あの
お人よしの頂上に
登ってみたら
気がすむのかな
それとも
もっと複雑な
迷路だったらよかったのかな
そこは
夕陽の沈むのが
ほんのちょっ ....
1. 父
自分で名前をつけたくせに
なんで
わたしの名前も
呼べないの
笑いながら尋ねると父は
つられて笑うのです
真剣に
それから、突然
他人でさえ覚えているのに
と言っ ....
子供らがそらを指さして騒いでる
何事かと思いぼくもそらを見る
この角度でそらを眺めるのは
ずいぶんと久しぶりだ
見慣れたビルの屋上付近は
見慣れない広告でひしめいている
そのすき間ほどのま ....
長い文章はきらい
長い文章は読みきっただけで満足感を与えるから。
多くのヒトにとってみれば
他愛のないスポーツニュースに違いないプロ野球
ストをするとかしないとか
チーム減るとか消えるとか
よくある合理化
よくあるリストラ
別にたいしたことじゃない、と
....
生前全く知らなかった人が亡くなって、知らない人なのに、とても悲しくなり、その人のこと無性に知りたくなる。四日前。僕は最近ある詩誌の端に詩が載って喜んでた。同誌にはキジマさんという人が詩を掲載されていた ....
どうして俺はこうなんだろう。
ねぇ?
俺は死にたくない。
俺は俺の死を死にたい。
ジジイになりたくない。
病院で死にたくない。
体中に管通されてまで生き延びたくない。
酸素マスクなん ....
貴方が見せる風景に期待して、助手席に座る
静かな夏休みが終わった
波の音や
山の木々の葉ずれの音
動物の鳴き声
テニスボールがぶつかる音
のんびりした鈍行の行く音
渓流のせせらぎ
それからなんだっけ
釣りをしているおじ ....
かなしみがとことこ
ひとりでにあるきだして
どこかとおい
うみにかえると
いいな
いとしさがふわふわ
かってにとんでいって
いつかどこかの
きみにとまれば
いいな ....
小学一年生の春
友達と下校途中に
桑の実があった
ちょっと とって食べる
紫色が手につく
親に叱られると思い
道路の横を流れてた川で 手を洗う
と ランドセルが首に 落ちて
重みで ....
コンビニで何弁当を買うの?
のり弁当だろう
図星だ
他のはみんな、
花火の客が 買ってしまったもの。
チンしてる間に、週刊何とかや月刊何とかの表紙を
元野生の狩猟本 ....
だれる
うなだれる
母は自分でもうペットボトルの蓋も開けられないのに
私の掃除の仕方に文句を言う
若い時に肺結核で肺の一部を切除したから
母は水に入れない
息苦しくて
子 ....
お母さんボクは東大にいきます
やりたいことがあるとか、ないとか
これからは好きなことを仕事にする時代なのだ、と
そんな黄色いハローワークで
幸せになれますか
お母さんボクは東大にいきます ....
霧雨が止んだ午後
兄さんが里山へ
野いちごを摘みに行こうと言った
空にはかすかな光り
濡れた緑が 濃い空気を吐き出して
後に続く僕の 切れ切れの息を
奪うように纏わり付いてきた
....
もう9月になって
昨日を忘れたような雨が
じとじと降っているとゆうのに
どっこい
コウちゃんちのカブトは生きている
たしか6月に
さなぎからかえったはずだから
もうかれこれ3ヶ月の
....
湿った風の残る残暑に
崩れた線が、幾筋も幾筋も
飽きることなく遊泳していて
嗚呼、眩しいばかりだな。
わたしも何とか飛んでみようとは思うのに、
どう真似たってなかなか上手くいかない。 ....
ねこ
先生は頭をなでる
簡単に
声をかける
簡単に
かわいいねって
ねこ
ずるい
ちいちゃな芽をぶつぶつと
たくさん出してた 春
嫁いだのに
お前の担当だなどと
親に 言われ
私に 実を選られた 桃
収穫の時を迎え
みためにも 柔らかく 香ばしい
台 ....
さんぽのとちゅう
とてもきれいなびんをひろったので
もってかえって
まどべにかざった
なんだかものたりないので
もやもやしていたきもちをつめこんでみると
ゆうがたには
びんのなかでと ....
ちのつながらないおとうとがいた
ちのつながらないおとうとは
赤い軽自動車にのってやってきた
ちのつながらないおとうとぼくは
かなりのなかよしだった
ちのつながらないおとうとは
....
「メリーゴーラウンド」 4
数学
わたしがまだ小さかったころ
という表現は
何歳くらいを示すのだろう
白板にマジックペンで数式をならべる
....
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