すべてのおすすめ
色エンピツのセットを開けると
母さんは黒い色と並んでいつも一番長い
そして一番きれいだ
こんなきれいな母さんを使うわけにはいかないから
やっぱり母さんは一番長い
バカ男さあ、昔、母さ ....
ペットボトル
父さん
色エンピツセットの中で一番きれいな赤色エンピツ
母さん
観覧車の置物
兄さん
粘土
妹
テーブルに並べて
バカ男はいつもの席
....
ピンク色の
豚を飼っていた
あのころ
わたしたちはいつも
豚のことで
毎日のように罵りあった
朝も昼も晩も夜中も
ブゥブゥ鳴いた
楽しいときも
深刻に話しあうときも
寝ていると ....
牛乳を飲む
ジェームス・ディーンのように
世の中は甘くない
だから牛乳を飲む
アメリカのようなボトルの牛乳はないが
紙パックの牛乳でたくさんだ
....
僕が君の恋人でなくなって
君からおとうさんと呼ばれるようになってもうどれぐらいたつだろうか
人並みに恋をして結婚した僕たちは
人並みに親になって家庭というものを築いている
僕は君を昔のように呼 ....
太陽が隠れ、雨が降っている。
駅から、歩いて帰る途中、
だれもいない、
公園による。
幼いころ、よく公園で待たされた。
雨が降っていても、
寒さで凍えながら、
靴の中が水で濡れても、 ....
わろうてやぁ そんなちんまいこと わろうて見過ごしてやぁ
儚きことやん どこにでもあるさかいに わろうてやぁ
深刻になるやん そないな顔されとったら わても泣かなあかんの?
ほんなら ふたり ....
小学生の頃
毎日のように
近所に住む「さかちゃん」と遊びまわっていた
公園で木登りしたり
火遊びして親に怒られたり
夏の夜に家を抜け出してカブト虫取りに行ったり
思い出すときりがない
....
なあ
おまえは知らないだろうが
報われない恋なんだよ
どうにもならないことで
そこから先へは進めないんだよ
誰が悪いというのでもなく
ただほろほろと泣けるような
どうしようもない恋なんだ ....
毎日まいにち
腕を鍛えあげることが大切だって
教わった
常に鍛錬を絶やさず
たくましい腕を持つことができたら
不自由なく生きていけるそうだ
学校は毎日まいにち
腕を鍛える授業ばかりで ....
この住宅地は
どこか変なんです
川っぷちにあって
どぶ臭いなんてことは問題じゃありません
臭いのならむしろ
どこからともなく漂う
昔の横須賀線の臭いの方が
ずっと気になります
日当たり ....
ホッチキスの針よ
俺の兵隊となれ
兵隊となり武器を持て
突撃
そして発射
せよレトロ光線
七十年代のビビビ
人間万事バンジージャンプ
ロープをつけずに
ジャンプした俺の恋人
ば ....
わたしのあかちゃん、どこいった
ゴリラ雲のおかあさん
ポロリ、ポロリと大粒の
涙をながしてさがすから
だから雨が降るんだね
きっとそうだよ、そうだよね
ランドセルをほうりなげ妹迎えに保育園 ....
ある時
うさぎは
森の中を
大声で叫びながら
走っていた
「たいへんだ
たいへんだ
ぼくはおおきなゆううつに
おしつぶされて
しにそうだ」
動物たちには
「ゆうう ....
絶望を語る人は
絶望を語る上において
楽しそうだ
恋の苦しみを語る人は
恋の苦しみを語る上において
楽しそうだ
国を憂うことを語る人は
国を憂うことを語る上において
楽しそうだ ....
今日もわたしの手足は冷たい
だからお風呂に入ります
するとわたしの肌は乾燥して
ぴきぴきとひび割れを起こす
だからクリームを塗ります
そして靴下を履いて
布団に入ります
布団は布団乾燥機 ....
道は渋滞で
バスの中は混み合っていて
みんな一日の疲労でうつらうつらしていて
外はもう真っ暗で
バスはなかなか進まなかった
ドアの側に坐って
ぼんやりと前を見ていた
ふと目に留まった ....
11時50分きっかりに
私は事務所を出て
お弁当を買いに出かけます。
12時になってからではだめです。
混雑するから、いけないのです。
今日は、チンジャオロース弁当が食べたいです ....
砂場ではいつも
大きな壁が作られようとしてる
水をかければ崩れてしまうのに
重く湿ったセーターを
ぐずぐずとネットに干して
今日は
おしまい
あとはすべて
わたしの時間だ
思い出さなくてもいいことに
帰れる時間
....
いつだってただ生きるためだけに眼をこらしているけれど
たしかにあの頃はそうして寝転んだまま泣いてさえいたら
おいしい物だとかやわらかい声だとかあたたかい手だとか
そういうものはいつもかたわらにあ ....
解りません
普通は白衣でしょ、先生
昼休み
今日も先生は芝生の上で寝ている
あいかわらずの黒いコート
先生、白衣は着ないんですか
理由を訊いたことがある
先生はにこり ....
夜中、目がさめて階下に降りると
君が僕を積み上げていた
たどたどしい手つきで慎重に積み上げ
途中で崩れると
ふうとため息をついてまたやり直す
時々どこか気に入らないようで
何か ....
血が出るまで掻きむしるかさかさの肌は
乾燥した高地のミイラより無様だ
ミイラになっても美女は美女
みずみずしくてもブスはブス
こたつに半身潜り込んで
少しずつ消滅してゆくなら
どんなにかい ....
光と闇…私は闇がいいな
だって 優しいもの
光は怖いわ
何もかも さらけだすの
それが本当の光よ
君はそっと微笑んだ
そして
暗い穴の底に身を投げた
僕は…追うことも逃げる ....
キスのやり方なんて忘れてた
なのに君は僕の気持ちも聞かずに
その潤んだ瞳で見つめて
何の前置きもなく小さな唇を
その潤んだ瞳を閉じることなく
ためらいもせずに何度も
そういう僕も目 ....
笑顔の下に透けて見える冬を
お互いに無視して
決して埋まらないものを
埋めてしまわなければなりません
それは大きくて また 愛しい不在を
お互いの 手と言葉と表情だけで
....
別れてしまうのが悲しいなら
出会ってしまうのが悲しいのかな
別れてしまうのが自然なら
出会ってしまうのが自然なのかな
ふたつに別れた貝殻を重ね合わせて
僕は地面にそっと落とす
....
わっこ ほっこ ゆぎっこ ちみで
なして おらえのほうさ ふるなだべ
まんじ あさはやぐがら おぎでしゃ
みぢ こしゃねば あるがれねべた
ゆぎっこ つもって あるがれねべた
....
住宅地のはずれにあって
草がぼうぼう生えていて
樹木は無い
遊具は
赤いジャングルジムと
青いブランコと
錆だらけの滑り台
隠れるところもなく
逃げることもできない
近くにはもう
....
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