すべてのおすすめ
いくら考えてみたって、それは
途方もなく大きな壁だし
やっぱり誰かの覗き穴なのだ
漏れてる光は淡くて黄色くて
きっと幸福を形にしたものなんだけど
爪あとに似た影も見えるね
だからき ....
白い吐息が薄れかかる頃
陽だまりに梅の蕾を砕いて浮かべ
縁側に確かに重力を感じてる
引き寄せられる眠気
隣の家の子がピアノを弾いてる
飴細工のカーテンが蕩ける
夕食の支度が始まるまで
束 ....
カタヤマを丸亀でピックアップした
競艇にいってくれないか、ユキオはびっくりして聞き返した
このまえ上田さん、パチンコが好きだって話してただろ、
週いちどのカタヤマとの飲み会でそんな話になったのを ....
花
雷を閉じ込めた蕾。静か静かに、開く、
浅黄色の空を閉じ込めて、朝露にとける、
ふるえた葉から零れる雫が、地面にふれて
貴女は朝を僕らに告げる。
鳥
夕景に聳える、あの塔の廻りを飛ん ....
待合い室で座っていると隣に「過去」が座っていた
反対側を見るとそこでは「未来」が新聞を読んでいた
「過去」はそわそわと落ち着かず何度も鏡を見ている
「未来」は老眼鏡をずらして ....
僕はきっと君をアイシテル
アイシテル
アイシテル
アイシテル
だからダイキライ
誰かをその瞳に映す君は
ダイキライ
ニクラシイ
クルシイ
イジメタイ
カワイイ
ダ ....
あなた、愛してやまない
あなた、そんなあなたに欠けているもの
どんなにあかい林檎でも
その甘さをもってしなければ
結末のないお話
あなた、愛してやまない
あなた、そんなあなたに欠けてい ....
遠くの空は晴れているのに
郵便局から出ると
黄金の針を束ねたような
冷たい雨に打たれる
明日の天気は確認したくせに
家を出るときに傘を持ってこなかった
思えばぼくのこれまではこういうこ ....
希(ねが)わくば我を遠き過去へと放ち給へ
国も無く、法も立つ前の世へと
魂が剥き出しで居られ
身体の傷が生きる証しであった
あの日々へ
ねぐらも無く、雨風に吹き ....
あの遠くに見えるのが、
ダウンタウンのビルの群れ
ガラスの建物達が、光りを吸っている
白い家並みが黙っている木々の中
赤煉瓦の屋根は、みなが城と呼ぶ屋敷
尖塔を空に向け
放ち、教会のよ ....
雪の降り積む
季節の頃に
じっとつぼみを
育んできて
やわらかな光が
いま やさしく包む
きょう、桜の花が
咲きました
これからずっと
幾年も
ふたりでいつも
過ごします ....
ピアニカみたいな歌の彼女
彼女に振られたけど
心地よい悲しさだよ
心地よい悲しさ
心地よい悲しさ
グミで出来た剣を振り回す
普通グミを剣にするはずはないよ
でもそれをさも当然のごとく ....
「先輩可愛いです」
お世辞とは分かっているものの
同性の後輩に言われた言葉に
正直喜んでしまった
言葉や態度では冷静に振舞っているつもりなのに
頬が紅くなってゆくのを感じた
ざぶんざぶん、ザブンザブン。
引いては寄せる波の音
月が見える。
潮の臭い
命の根源
懐かしい風
ここから全てが
はじまった。
時間が止まる
自分が消える
宇宙と繋がる
....
ヴァージンロードを歩きたい
――ある難病の女性の話から
歩いてみたい
この道を
車椅子から立ち上がって
遠い道
遥か彼方にあなたがいて
本当は ....
貝の中で眠る
エナメルに身を添わせ
なめらかな肌に
潮騒を聴きながら
貝の中で歌う
孤独とは空間原理
反響して丸く閉じていく
原初細胞の相似形
世界の外では日が昇り
また太陽 ....
そっと抱きよせ
髪をなで
唇を重ねる
何度もキスをした
全てが始まる。
ちょっと苦しい。
見返りを考えない
愛情を与える。
心を尽くし、体を尽くし
愛を捧げる
手をつないで ....
私の皮膚に
とても近く触れて雨がある
どこからきたものか
わからぬ雨がある
ところで
どこからきたものか
知っている君からの便りは
私からこんなにも遠い
遠い君を想う
今 雨 ....
濡れた鋏の翼で ブリキの鳥が
夜を 透明に 幾重にも 裂いてゆく
路上の暗がりの奥と 知覚の裏側に
魂が 横たわって 繋がる
そこに
黒い向日葵が咲き
黒い獅子が眠る
白鳥 ....
噎せ返るような鉄錆の匂い
ぞぞぞぞと這い上がる、
正体不明の警告
止まない水音
ひたひたと忍びよるのは
影のない、
転がっていたのは物だった
しなやかな筋肉は硬直を始め
この眼 ....
そうして
列車は燃え上がる火山の山腹を廻り
向かい合って座っていた僕たちの
車窓から美しく災害が眺められた
列車のドアから乗客たちが飛び降りていった
飛び降りては降りそそぐ炎のように水鳥を抱 ....
庭園を吹き渡る気流に乗って山脈を越えると
なだらかに広がる山腹の緑の森と
森に囲まれた湖
そして川があり滝があり
庭園を巡る園路は地形に沿って這い回り
緑の平原は地平まで広がり
その地 ....
発光し続けて
磨耗するフィラメントの
舌打ちみたいな最期の音
疲れた寝床で
その音が何度も弾けた
落ちようとする
意識に
電流を流して起こすみたいに
じ ....
全てが過去へと帰してしまって、何もかも思い出になってしまう日がいつかはくるのだろうか
煌めいた日々も、手のひらからすりぬけてゆく砂のように流れきって
さびれた海で笑い合ってる写真をアルバムから取り ....
やわらかい雨がいい
ふぅわりとしたメレンゲの様な
やわらかい雨がいい
雨は色々な事を思い出す
切ない事や、あたたかな事
沢山のくだらない事を思い出す
雨の音は沢山の匂いがする
さ ....
埃まみれになって汚くなった薔薇に
陽の光がきらきらあたってきれいだね
スーパーでオレンジを買う。みずみずしいオレンジを手でほぐして、きれいにわって
あかるい、オレンジの
スロー ....
汚い言葉のほうが好きだな
人間くさくて
君らしくて
きれいごとは苦手だな。でも好きだな
だってきれいな部屋は好きでしょう、
きれいな彼女はすきでしょう、
夜見える星に心をと ....
なんでこんなに寂しいんだろうね
透明でちいちゃい瓶の中にたくさん海を詰め込んで
息ができないと困るから少し間をあけておいて
でも海につかっていたいんです
透明がすきでした
....
うんざりするような
晴れた日
僕は
君が
首を吊って
死んでいくのを
見たよ
目が飛び出て
口から
舌がだらしなく
たれさがり
小便と糞の臭いが
僕の鼻腔を
不快 ....
あなたが笑っててくれればそれで良い
あなたが生きててくれればそれで良い
あなたの笑顔で存在で僕は生きていけるんだ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17