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5時の鐘がこだますると
夕暮れにゆっくりと宇宙が染み入りはじめた
遠くの子が手のひらを揺らしてさ
どろんこの膝小僧
汚れたての白い軟球
買ってもらったばかりのグローブ
ひとりの
....
クモの巣に抱かれた雨粒が
かみさまの吐息に焼かれ
人知れず光を集めては
底なしの池に飛び込むのを見ていた
母さんは居なくなって
波紋すら、
できなくて
何処で見失ったのか
命の終着 ....
駅の改札を抜ける
真っ直ぐに
そこは海膿を生み出し不味を産み落とす
海だ
呑み込んで/出して
暗黙の了解が支配する
その行為は果して即ち
愛してる
という単語を繰り返すという
そもそ ....
空の低いところ
まる が
貼り付くさま
きれい
薄紫の
ほくろ ぴたりと
空に寄り添って
引き摺られながら
消えた
また地面の下にゆくね
私の知らない裏側に
混ざりにゆくのね
....
私は想い出していた、
遠い昔に患った、
永い永い病の名を。
私は優しく撫でていた、
広い野原に転がった、
小さな肢体の伸びるのを。
私は酷く疲れてた、
狂おしい愛と覇気に満ちた、 ....
つながった穴のおくからきみが、ゆるやかに伝ってくる
しろいしろい救済に掴まれなかったのに
掌がほえたとおもったら
気がついたらきみはねむっていた、とおくに
ふかいふかい迷路のおくで
....
いいえ、
私の家は小さなパン屋をやっていたの
海の近くの
海といっても砂浜はなくて
ただひたすらに工場が立ち並んで
そこから荷物を運ぶ踏切のある路地に
オレンジと黄色の屋根のついた ....
川にはいくつもの名前がある
そしてまたいくつもの流れがある
それはひとたび枝分かれをすると
もとの濁流には還らない
交差点にはいくつもの風景がある
乱反射する信号機や擦れた交通サイン
....
きっと/ふゆの/かおり/のせい
興味として刷いた眉が
何故にそんなにも難しい顔をするのか
うすい唇を尖らせて
私に何か言おうとする、
そののどが
気絶する/ほどに/しろい
夏はまだ始 ....
商品棚に並べられた
きれいなゼリー状のものに囲まれて
カイちゃんが笑ってる
時々ふるふると震えて
何も言わない
床に落ちている
貝殻や干からびたヒトデを
二人で拾う
昔 ....
眠れないまま過ぎてゆく
夜明けとともに
境界線の不在を知る
そのために
昼を住処としたわたしは
眠らない深海のさかな
見えないものは無いわけじゃない
何度もなんども、ただ気付く
深 ....
中二の国語の授業で先生が三篇の小説を朗読してくれた
そのうちのひとつは中間試験に出題されたが
あとのふたつはただ朗読されただけだった
先生の野太くて高い声が教室をしんとさせた
ふだつきの悪だっ ....
そして扉の向こう側になにかがあふれている
閉じていた扉をあけるとそこには透明な顔ばかりがあっちやこっちを向いている
みんなばらばらにどこかにいこうとして
ただ浮かんでいるだけ
あたしもおなじよ ....
すうっと堕ちていくような感覚と
鈍いしびれがあるという
それでいて苦痛ではないらしい
幼なじみのあの子も
隣の席の委員長も
さらにはわたしのママまで
患ったことがあるらしい
大人 ....
彼女と仕事をしてると楽しかった
たぶん仕事が終わればそんな気持ちもなくなるって思ってる
ぼくはクリエーターだ彼女は実務をしてくれてる
この広告の小冊子づくりが終わればチームは解散する
ちょ ....
僕は許せないでいる
そのことに執着している
それは精神的にも肉体的にも
道徳的にも絶対によくないことなのに
そこから抜け出せないでいるのだ
じぶんがどう見られているのか
そんなことに価 ....
{引用=草っていうのは
好きなことばのひとつです
あといくつか好きなことばがあるのですが
そこに石があってもいいし土も
あるだろうし水たまりもあるし
雨がふっていてもそれはそれで
....
触感がどうだとかではないのです 気付いたのは
目から目 の正体は観察
点と点は繋がれても点のまま、泳げば線は切れるのでした。
離れたところから近づいて、重なって、また離れる過程
手から ....
薔薇をあなたに
五月の薔薇をあなたにあげたくて
私はひとり庭をさまよっている
ハーブの花畑を通って
クレマチスの花園へ
キングサリのアーチをくぐったら
そこはもう薔薇迷宮
色とりどり ....
すこしつめたい風のなか
踏みいる黄金の星空
片目をつむる
ふかくふかく心の底に着地して
空をみあげたい
両目をつむる
そして両目をひらく
この黄金の星空の
宇宙はバランスよくひろがり ....
幸福とはなんだろうか
世間的にいう寿命で
たいせつな人達に看取られながら
死ぬこと、
僕ははっきり覚えている
小二のときそれをテーマにした絵本を僕は描いた
中二のと ....
ロンダの住む赤茶けた家は
アダレの街外れの丘の上にある
朝方、ロンダの澄んだ歌声が聞こえてくるのを
街の人は微笑みながら聞いた
※
アダレの街に徐々にネオンがと ....
僕の住む街に国内二次感染が確認された
なんで神戸なんだろう
僕は悲しみに襲われている
地震や感染症がこの街で起こったことに
僕らはどういう意味を見出だしたらよいのだろう
雨が降っている
ニ ....
1)
アスファルトの裂け目から
木漏れ日浴びたいが為
懸命に掬おうとした
どこにいたって
どこにいたいんだって
所詮 澆季なんだし
渡世 猟奇なんだし
....
/
/かなしい/おしらせ/です/
/あなた/を/この/あたま/から/しょうきょ/し/ます/
/さようなら/おげんき/で/
青いにおいが鼻につく
遠くに見える海が白い光を生みだしている
....
汗ばむほどの陽光の
照り返しに遮られて
わたしはまた
前が見えない
夜のうちに拾った
指たちをつなげても
それは手にならないのだ
誰かの声の届く範囲に
いるはずなのだが
それ ....
牡鹿の角の突き刺すは乙女
鱗が煌めく魚の祝福の舞いも
こちらを見詰める小鳥の円らな瞳も
世界を着飾っていくわ
血の通う白さはなんて狂おしいのでしょう
素っ気無い黒猫も
願いが叶 ....
僕たちの記憶は海底に眠っている
それを何百万年後
探査船の小窓から覗いている
探査船の光に照らされた音のない世界
僕たちの記憶は僕たちに気付いていない
不倫はまだ化石燃料にもならずに
探査 ....
私たちは小さなものであり
小さなものであることの上に
居座っていた
当然のような顔をして指をなめ
ずるがしこい風を読み
来た道を戻っては
前と同じような幼い顔をしてみせた
そうして世界は ....
電話のあなたの声がしゅるしゅるとしぼんでゆく
タイムリミットは15分
「ウルトラマンのカラータイマーみたいね」
3分の5倍あると思っても
沈んでいくあなたを掬いあげられないまま
電話 ....
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