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確か
音楽は聞こえていた
かすかな光に包まれていた
天使がいたかどうかは覚えていない
けれども
私は生まれていて
私は泣いた
今
この、今
あなたの ....
モスクを見つめ
そうして いつまでも 眠るのだろう 宿で
トルコ人の詩集をめくり
私は 思うのだろう 絨毯について
暇人なのだろう 私なんて
飲むのだろう チャイを トルコに着いた ....
いつまでも死の匂いが漂う わたし 腫れ上がった心 苦しくて 引っ掻く 膿に吐き気がする わたし 生まれる前から こうして居るだけで あの日の断片 泣き声 意識は飛んでしまう 今日の記憶 明日への絶望 ....
空を引きずり
波を止め
人を変えた
いくつもの声が
きえた
さかい目のような悪夢を
人々はみた
それでも
悪夢のような日常には
すぐに慣れる
都市の陰欝を
打ち抜くように ....
眠れ 眠れ
と聞こえてくる
痩せていく考えに
意識は遮断されていく
季節に合わせた梨の雫を啜り
飢えを凌ぐ
曖昧だった欲望が
夜に進んで行く中
膨張し始める
簡単に弾ける ....
100911
隣町に雨が降るから
ふるふると傘を差せ
天井から小判も笑い出し
釣りは要らぬと大盤振る舞い
夢かとばかりに
オケラの親子も顔を出 ....
1991年のお誕生日おめでとうで白白白い世界に
色とりどりの花が咲き乱れ
たくさんの人々達が同時に生まれた
僕の頭の中の白白白い世界は爆発したように
色が付き始め
世界が生まれた
....
*
ビブラートに揺らぐ空の裂け目を
幻視の鳥が飛ぶ
*
明滅をくりかえすビル群が剥がれ落ちる
((NYという記号を描くその一点として わたしが燃やされる))
....
砂漠
{引用=飽和湿度に近い街で
渇いた自分を見ている
店のガラスだけではなく
道行く人々の顔にも
同じような表情が広がって
だから
ときどき
父や母の顔を思い浮かべる
のだろう ....
ぼくはひとより黒くて
くの字に折れたコバルトに
気付いて貰えない
のはわかっているけど
くるくると複眼で見据えても
確かなものなど
なかなか映りやしないけれども
誰よりもはやくはやく ....
眠れない道路のために
枕を置いていく
だから手紙を書きたいのに
便箋が見つからない
右手の方に流れている川は
蛇行を繰り返し
やがて左手の方に流れる
そのためには橋を渡る必要 ....
あなたはとても照れくさそうに笑うそれを見るとわたしは無性にいとおしい気持にあふれる
(わたしたちの愛に余裕はないのだから)
偶然だねとかいっしょだねとか聞くとどうもその手には弱いみたいあな ....
真に円いものなど
何一つとしてありえない
にもかかわらず
孤独を円く円く
よりやすらかなかたちへ
よりあたたかなかたちへと
僕はひどく愚かだった
とはいえ限りなく球体に近く
蹴っても投 ....
生い茂った雑草と荒れ垣の傍らを通った時
暑熱に倦んでくすんだ葉の重なりが
茶の葉のような甘い匂いを立てていた
私の鼻腔は喜んで、私の足はなるべくゆっくり歩いた
ああ、晩夏の匂いだ
過ぎ去りつ ....
いっぴきの蝉が
務めを終えたように
仰向けに落ちて
空をひっかいている
親しんだ木々の幹に
戻る力はもう無い
おまえの瞳が
磨きたての宝玉のように
くろぐろと光をたたえるのが
....
{引用=
雲烟の中
銀河座標に沿ってゆく
冷たい蠍火
真夏の巡礼
迷うこころが重なってできた
道の途中で
重力だけ頼りに立っている
同じ足で
アクセルを踏む
ラジオから流れる
地 ....
夏の終わりが
僕をくすぐるようだった
沸きだした熱が
いつの間にか
きみのかたちになって泣き出すと
僕は立ち止まるばかりだ
ここがどんな道でも
同じ
夕暮れの光は
ふたりを隠 ....
声
八月の
舌の上で溶けてゆく氷
その所作
吐息
歯
の並びを
ひとつひとつ
読み上げる
その要約の中に
静かに埋もれてしまいたい
針を
正午に合わせた時計が
生物的な誤 ....
除隊
のどかな春の空の下
今は嘘のように静かな此処ら
気紛れな線を描いて
一対の蝶々が
じゃれ合うように飛んでいる
「お前さん達は何処に隠れていたの?」
誰一人助からなかったこの場 ....
くもをたべる透明ないきものが
空に住んでいます
優しいナイフで切り開いて
あの日 歓声をあげて
逃げ水を追いかける
おさな子はぼくですね
ちっともつかまえられないのに
追 ....
わたしのなかのうたが戻って来ないので
別の誰かのうたを飼うことにした
今はやりの詩人のうただ
アンティークの鳥籠の中で
はやりのうたは
毎日ひとつずつ違ううたを歌ってくれる
人を愛 ....
会えてよかったですあなたが遠いところに行ったみたいで淋しかったから一つずつ小さな部屋の窓ガラスが静かに開け放たれていくようなお話かしらあなたがこれからも清潔な歌をうたいますように瑞々しい歌がうたえま ....
虫取りの子たちが
アジサイの茂みに見え隠れする
夢の色を追いかけて
おおきくなってしまった
ぼくは
その動きをなぞることができない
思い出して叫んでみても
ブランコの揺れと ....
美しい7月
太陽はまた新しく耀いて
波涛を映して瑞々しく
熱した白いアスファルトの上を娘たちは
日一日と灼けて
ときめきに図太くなって行く
楽しい事なら何でも起こる
碧いカレンダーの ....
学校から帰っていると
あちら側からおじいちゃんが歩いてきた
私は、「よ」と手を上げたけど
おじいちゃんはぼうっとしたまま
隣を通り過ぎた
かたっぽだけ挙げた手に
....
粉ポカリ 薄めて飲みます午後三時
とばっちり メールは消します淀みなく
心臓聴いて 気が抜けて
足りてはないから寝転んで
ひちがつの太陽は余計なものばかり霧散させました
話は聞 ....
{引用=
旅群の影に腰掛けて
静かにナツメを噛んでいた
夜露に濡れた
クサカゲロウの卵塊が
孵化した途端
光に溶けて
満ち欠ける月が映る
瞳を抉り出し
過去を刻んだ証人として
....
{引用=頂点はさらに、高さを増す。塔の上に塔を
重ね、そのようにして時代はいつも、賑や
かに葬られていく。足元には、無数のメタ
セコイアが植えられ、手をのばして、空を
仰いでいる。道は、休むこ ....
考える 考える
君のことを考える
君について考える
油断していた
....
明るい空から
さわさわと緑の雨が降るから
おまえの誕生日は
いつも濡れている
水色の
ローラーブレード
畳の上で
肘あてや膝あての
具合を確かめている
それは
おまえを守るため ....
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