すべてのおすすめ
くちばしの長く伸びた蚊に足の指を吸われながら
恋人の首をころりと乗せた二の腕の潰れ具合を計っていた。
前髪の先に留まるシャワーの残り水が
目尻を伝ってシーツにつくと、
空は落ち、
圧縮袋のな ....
カワバタとこんなにながく歩いた
ふたりともなにもしゃべらなかった
最愛ってなんだと思った
仕事がらカワバタはホテルに顔がきくようだった
いつも車に乗り込んでから食事かホテルでゆっくりした
....
カワバタだ
歩道に乗り上げた車から音楽の低音がきこえている
のぞくと腕をくんで寝ていた
自転車のベルをひとつふたつ鳴らした
目をつむったままカワバタがほほえんだ
ヨシミはスヌーピーのような顔 ....
あたしがやるから、きょうはゆっくりしてね、お母さん、アイロンでなにしてるの、お母さん、ヒカリモナイカゲモナイ、あたしたち影でしょ、あの頃しあわせだったよ、だってひかり、吸ってるだけでしょ、だから、なに ....
夜になると
忘れていたものが僕の
心を重くする
夜になると
僕たちはせっせと産みを始める
明日はどうせやって来て
握り潰してしまうのに
....
朝の訪れるたび
切り離されたからだを思う
昨日との交信が途絶えて
寄る辺ない
なまぬるい風に
輪郭を確かめる
季節がしみこんでくるのと
季節に染み出していくのが似ている ....
象は目を閉じて
もう何も見ない
死ぬときにだけ空を見る
青を捜す
*
どこへ行こう?
夜の森
あのプラットホーム
硝子の町
あらゆる風景の真ん中で ....
たった一本の卒塔婆のように
不健康に伸びた櫓から
私はずっと向こうの火山を見守る
今にも昂りそうで昂らない
噴き出しそうで噴き出さないそれを
ひたすら見守りつづけて幾星霜も過 ....
ぼろ布になるまで
生ききった
捨てる直前の美しさを
君は生まれながらに宿している
茶碗をふくように
涙をふいて
箸をもつように
骨をもって
君は
青年の目のような黒で
さよ ....
冷えきった鼻先を掠める空が笑う
リノリウムの白いカーテンは地球の鼓動に合わせて動いている
一体になって、私たちの繰り返す細胞分裂はねじ巻き式
降り注ぐ科学が理解している
言葉は知性 ....
一昨日の夜
近所の ジョニーという名のパピヨンが
久方ぶりに 姿を見せた
よたり よたりと
おぼつかない足取りで あるいていた
飼い主の 笹本さんは
いつも つけているはずのリードを
今 ....
もし生まれかわるなら
くじらになりたい
ひとり(いっとう)、暖かい海へゆき
深く深くもぐる
青と碧にひかる海の中なら
きっといつまでも泳げる
空にはかなしみがないという
けどそれ ....
電子レンジに入れないでください。発熱しても
心配ありません。DO NOT FOOD ひとといて、
熟れるようよ、と言った瞬間 切断面を錯覚し
て 覚めやらぬ夢をCT にかけた 飲 ....
買いたい物はもうない
必要なものはもう全て揃ってる
マンションはワンルーム
冬の寒さに震えることもない
車は国産の軽自動車
ちゃんと走る
携帯、パソコン、デジカメ、冷蔵庫
テ ....
浸して上下に揺さぶって
美しい皮を被る
どれが本物なのか
私には分からない
裂いて千切って放り込んで
醜い器を満たす
どこが狂ってしまったのか
私には分からない
粘着帯でも貼っ ....
所長とお客様のところですれ違うことが多くなってきた
常務のイケダは、それは社長と片山先生のまいた種だから上田くんは悪くないよ、と言ってくれた
さいきんやっぱりシバタさんが印鑑ついた発注書がない ....
学習机の上で勉強されているのは
パラジクロロベンゼン
パラジはパラダイス
クロロは苦労人
ベンゼンはベンゼン大使
みな、一様に春を待ってる
勉強しているのは
ナオミキ ....
なまぬるいお湯の中
しわくちゃになった書物を
指先を付け合せてすくいとる仕草で
かき集めます
誰かが告げた
さようなら
ひとすくいで用件を済ませば
ばらついた指先からこぼれだして
....
深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
1997年2月
河原沿い
多すぎる星に囲われて
世界の終わりを思っていた
彼女のお腹は大きく膨らんでいて
ソッと撫でては
白い息を吐いていた
ゴメンと言う言葉を
喉に貯めて
肩を抱き ....
ある日の僕は庭の手入れをしていない芝生の中に夢を隠した
いつか芝生を刈ったときにもう一度その夢を見ることが出来るからだ
だけどそれは叶わない
ある日の僕は見知らぬ人の部屋で目覚めるから
....
あちらのお客様からです
と言われ、差し出されたものを見れば
それは見事な、ヒトデ
ごつごつして、海水まみれで、
こんなものくれるくらいなら、タオルもつけてくれよ
と、あちらのお客様を、にらみつけたり
....
抉り取られた砂浜に
未だそびえる
防波堤に
今日も砂は積もり行く
すっかり
潮の流れは変わってしまった
すっかり
海は
遠くに行ってしまった
澄みすぎた
....
こうこうと燃えている白い道に
飲んでたむける傾きの宵戸口
ねかせておいた木漏れ日 影の上
指に重なり ぽつん すさませない
ひめくりにつられてつぎたし
のどもとにつきつけついばみ
よそ ....
愕然と空を睨む
高らかに盗作を謡い
笑い舞わる
いかなるかな
美を問う
狐の肝の鋭いこと
民謡の災いや
自問の楽しぬ
「人魂」
オイラが死んだときさ
あれ
よく墓場に出るって
あれだけどさ
300Wで光っていたいもんだね
「ファックス」
置かして
そこ
擱かして
そ ....
魚屋にいくと
魚屋さんが魚になっていた
わたしは予測していた
いつかこんな日がくることを
だって
こんなにたくさんの死んだ魚を
毎日店にならべることができるのは
きっと魚 ....
内から歩いた昌平橋は
橋の欄干鉄骨造
頑固に昭和を語っているが
通る者皆急ぎ足
君に会いたい訳でなく
季節外れの花粉症
マスクの中から見る川面
鯉が悠々縄張り確認
外から歩いた ....
いつの、まに、私はハイティーン、それは多分、ローティーンのころの僕が、いて、、君はたしか、、
ああ、私ファーストフード、準;深夜徘徊、だって、とても遠かった、遠くて私は強がっ ....
みなとつかさに行きたいんだ
島城県の端っこの方
友達三人は別の車で後ろから着いてきている
僕は一人新しく買ったカーナビの使い方がわからずに試行錯誤していた
結局日が暮れてもたどり着けなくて ....
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