借金の多さを忘れたいからカラスになりたい。
ハシブトカラスがいい。
あー
あー
泣いても
鳴き声だから。
すべてが逆転するという学説もあったんだそうだ
時間さえ逆行するとも言われていた
じゃあぼくたちの親が
冷凍棺桶から起きてきて
またぼくたちを叱ったりするのかな
そしてぼくたちはまた小さく ....
二両目の
弱冷房車で
うちわ振る
太った女を
南極送りに
バカにすんなって、空に思わず毒づいたよ
昨日あいつに「顔も見たくない」
なんて言われてさ
酒かっくらって気付いたら朝で
カーテン開けたらさ、どピーカンでさ
あまりに眩しく ....
焚き火をじっと見ていた
三日月が荒れた海の上に濡れて
俺達は二十人ぐらいで
世界の果てで
最後の夜で
世界の果てで
焚き火を囲んで
女たちはずっと歌って
男たち ....
シオリちゃんは わたしを見つけるといつも
はじめまして、と言う
わたしも はじめまして、と言う
たくさんいっしょに遊んでも
次の日には わたしのことを覚えていない
でもシオリち ....
舌がある
それで君を舐めようか
冷えた舌先が触れるとき
君の肌で
どんな音がするか
固まった
ちいさな
ちいいさな結晶が
溶ける音がするか
こんなすこし暑い季節なら
しゅと
音が ....
わざと伝わらない方法でひとびとに
なんらかの事柄を宣言したうえで
わざと絶望してわざと孤独のうえにのぼる
たとえば月をそれまでとはちがった
何かとしてうったえようとする。
....
自分の名前を失くしてみた
自分の名前をてのひらにのせる
初めてちゃんと手にとってみたそれは
案外に硬く
今までそれを身に付けていたにしては
まだ馴染みきっていないような感じがした ....
はっぱがね 雨でぴてぴて おちてきて
どうろに ぺたり
はりついた
きをつけの しせいで伏せる はっぱたち
もう帰れん もう
親の木に
風吹いて とばされてても
おぼえてる おぼ ....
ひとつのあなたと
無数のあなたが戦っている
しんどい時は
泣いてもええよ って
{引用=fromAB}
誰かが悪口を言った
知らない人が
知らない人へ
俺はそれを聞き
胸が苦しむ
頭が禿げる
自意識過剰
抱腹絶倒
意識錯乱
体内時計
異常気象
超常現象
駄目だ!
ハ ....
一緒に生きて死のうよ、ね?
眼球から雫
白紙に転がる鉛筆
遺書でも書く心算だったの?
泣いてなんかいないよ
哀しんでいるだけ
凍てつく左手はそれでも君の愛を乞 ....
そっと でいいから
ふれてみたい
あなたの零した一雫のわけを
どこから
流れてきたのですか
まりのような白い雲が
あちこち 漂っている
空なのに
雪解け水が激しく流れる季節は
....
「もしもしかいちゃんいますか?」
かいちゃんは今日も
おもちゃの受話器を耳に押し当て
どこかへ電話をする
「もしもし もしもし」
まだ言葉にならない言葉で
一生懸命お話をす ....
「エア」
朝
朝に
日差しがつよくて
風は涼しい朝に
特にとても疲れて
寝床に倒れるとき
ふっと
包まれてしまう
ことがある
すごく静かで
時間はゆるくて
....
わたしよりウチとか言ってる息づかい君に会えたと確認してます
あほやなぁそれで駅へと行きますか次に会う日が未定というのに
急かされて、はよう決めやと言われてるそんな時間が大阪と思う
....
いちたすいちは
にじゃないと答えたら
みんなに笑われた
でも
美術の先生だけは頷いてくれて
スケッチに出かけた
あの丘の上から
故郷の青空をいつまでも眺めていた
ずっと憧れていたこ ....
芸術的だ
なにもかも芸術的すぎて
私は、おもちゃになっちまったみたい
この地球の上に
宇宙よりも遥か上に
人間よりも賢い何かがいてさ
見えない糸で
全てを操っているのかもな
人間の心まで操ることがで ....
ことばなんて おぼえちゃいけないのかな
保育園の先生に さよなら を言いわすれた
ユキ姉ちゃんが
いつまでも半ベソをかいている
そのすぐ傍で たあくんが
「あびば ぷぅー」と叫びながら
そ ....
大抵の車は白き色にして街も大概白き夏かな
もっと早く気づけば良かったのに
今ソレを気が付いたって
手遅れであって僕にはどうすることもできず
ただこの狭き場所で立っているだけだった
まぶしすぎるくらいヒカルライト ....
重ねるほどに
見えるものまで見えなくなる
それを情け無用と切り捨てようにも
思うが侭にならぬ身体と
曖昧な優しさで隠す意志の弱さ
諦めることさえ捨て去ってしまい
手の中の小さな夢を ....
無差別に並べられた玩具達 その中心には僕
そうやって思い知った とっくに気付いていたんだ
自由なんて どこにも ないんだ
まるで毒を盛られるように 掌の上で転がされているよ
手足は 思った ....
なんも取り柄のないあたしと
ぜんぜん特別のないあんたが出会って
余りある 寂しさと
どこまでも続いていた 手持ち無沙汰に
いつしか
一つ屋根の下 暮らし始めた
特別 で ....
水を、欲している
のどの ずっと奥のほうで
さかなが泳いでいる
季節が融けはじめていることに
気づいたときには もう
わたしのなかの海は 浄化され
沈殿していた過去があふれ出て ....
いまここに
来たるべき夜の紺青は
誰しもの
奥深くに眠る
逃れられない
悲哀の色をして
春はいつのときも
悲しみ覚えたかたちを
おぼろに映すから
すこし涙もろくなる
さ ....
朝の窓へ起き上がればいつも
眠りと夢の、仄明るいマーブルが
窓形の光に飲み込まれて、消える
その途端、光の中を雨のように下降する黒髪と
閉じたまま濡れてゆく傘の内側のように黙った胸 ....
きみが
卵をたべたいと
いうから
だから
ぼくは
三匹ならんだ
かえるのひみつを
はなしたんだ
なのに
きみときたら
ながいはなしの
あとに
ひとこと
....
真昼の空に
白い月
青い空の
白い月
それは
見えないけれど
そこにある幸せ
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