すべてのおすすめ
無人駅に降り立てば
地図の見方にも
ちょっと工夫がいる
缶ビールをぐっと飲む
子供の頃に
抱きしめ方を習ったような
初夏の風にさえ
あいさつを交わしたい
垂直に支えつづける日射 ....
満天の星空をつつむ静寂の下
潮騒を聴きながら横たわる身に纏う砂粒
はてしなく投げた仕掛けを海に任せて
ケミカルライトの点る竿先を微かに揺らし、
甘い潮風がコーヒーの苦味を慰める
アタリな ....
1
かみさまから
えいえんのやくをにんめいされたので
しろいあきちにたってみました
ねていたときのことだったので
ほんとうはかみさまじゃなくてわるいもののさしがねかもしれない
みーみー ....
満ち足りた感情
足らないおつむ
どうしてくれようか
笑っている君
笑えぬあたし
どうしてくれようか
ほら、だって宙ぶらりん
ねぇ、あたし知らないの
嗚呼、だって判らない ....
長い耳のようなものに
巻かれている
なでてみると
自分の耳なのだと気づく
近くでは耳が産まれている
いくつかは知っている耳で
いくつかはよくわからなかった
産まれてきた耳は
自ら声を発 ....
骨のような柱が燃えている
燃え尽き くずおれるまで
ただ波のなかに立っている
流れ着くものが燃えている
山の影が土を覆い
波だけが明るく揺れている
昨日の足跡が残ってい ....
私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです
何か言わ ....
星をひとつもらった
夜空がすこしだけ暗くなって
そのぶん
ぼくの夜が明るくなった
きみに手紙を書く
いくども書き直したので朝になった
星のことは書かない
ぼく ....
黄色い鈴を振りました
しかし音が出ません
そもそもこの鈴の色は
鈴色ではなかっただろうかと疑問に思っていると
左上の隅の方で小さな私が
それは僕がスプレーで染めたんだとほざいたので殴りま ....
2007/04/19
集団面接で気力体力此処の街が好きですと言ってのける街灯の下には
おびただしい数の虫の死骸や吸い殻やガムや蹲った人たちの影が黒く
....
『私の進む道の端々に
幾多の血が流れているのでしょう』
「僕の振り返る道の外れに
幾つの屍に似せた有機物がおかれているのだろう」
そして、今その真ん中にいる君は
どれだけ ....
ぼろぼろに
なっても
また
誰かを
すくおうとしてる
ぼく
自身さえ
すくえないのに
ぬくもりだけを信じると
深呼吸できない、抱擁
信じて強くなれる
糸電話の決意
遠くでも近くでもない場所から
わざと小声でささやく
から、やさしい距離
保ち続けて
メールのない夜 ....
弔いの言葉が捌かれて
彼らはそれを咀嚼する
通約された痛みの淵に
紫紺の{ルビ輪=ループ}を描きながら
桜は
自らの闇に向かって落下する
....
{ルビ四八=しはち}、三拾余の
せかいが破裂音と共にきえた
{ルビ乱擾=らんじょう}のあかつき
辻斬り紛いの刃はこぼれ
鎧の傷口を匂う、
おぼろな自死
新聞ではバグ ....
「休学することにしたんだって」
悩む顔も
丸めた体も
涙も
しらない
割れてるのでいいでしょ?てくれたお土産のかぼすゴーフレットしか
じゃまだといって押し退けた肉付きの ....
海馬のメリーゴーランド
データの海に釣り糸を垂らす
おかしいな真空パックしたルビーの宝石が
砂時計に酸化してガラクタになっちゃった
る・い・し・て・あ。
書き溜めた日記が台無し ....
畳の部屋に座る祖母が
親父と叔母を目の前に座らせ
「もしも私が世を去った後も
互いに仲良くしなさい 」
と静かに語っていた頃
仕事帰りで疲れたぼくは
霧雨の降 ....
きみの魚にふれたくて
えら呼吸を切望したら
肺が痛んだ
朝への開口を防ぐように
その
呼吸のひとつ
くちびるを
置いていく
きみの鳥をとびたくて
背中にそらを作ったら
煙に ....
人は屋根をつくった
雨から家族を守らなければならない
自らの肉体を守らなければならない
濡れてはならない
濡らしてはならない
壁も柱もつくることを忘れ
屋根だけがどこまでも広がっていった
....
農夫だった祖父は
ある日
自分の土地に
油田があることを見つけ
大金持ちになった
父は働く必要がなくなり
暇さえあれば
世界を飛び回り
グローバル
という言葉が口癖になった
世 ....
君が僕に別れを告げてから
君ソックリのロボットを作ったんだ
君と違って言うことを利くし
我が儘も言わない
だけどね 君ソックリの声が痛いよ
だけどね 君ソックリの笑顔が痛いよ
....
星の雲と砂
夜の水かさ
わたしが生まれた理由より
さらに遠くへ
離れゆくもの
サーカス 移動動物園
肉から物から聞こえはじめる
わたしではないわたしのかたち
ぬかるみの ....
今日は入浴剤のかわりに
思い出を溶かしてみることにした
みるみるうちに水が染まっていくが
どうもうまく混ざらない
思い出にも種類があったらしい
やわらかなパステルカラーとかたいモノクロ
....
{引用=風の脚が遠ざかってゆく
あさいわだちは
春の周りをくすぶっていて
いろとりどりのかざみどりが
ゆるゆると迂回しては
家を さがす
信号が青に変わり
ひとなみは と ....
夜の輪郭が瑞々しく
他の夜の暗さから起き上がるとき
波を湛えた器を抱え
灯りの無い道を進みゆくとき
声は牙の冠のように
おごそかに髪に降りてくる
ふたたびからになる器を ....
転げまわっているうちに
ようやく産まれた
ようやく
あなたの声が聞こえた
そして
これから
初めてばかりの世界で
歩いてく
みんな同じで違うから
って
この世界でど ....
テレビドラマで人が死んでも
嘘だと知ってホッとする
そうして世界のどこかで
誰か死んだのを知らないまま
・
『助けて』って言葉を知らない
誰に言う言葉か知らない
呼吸をするので精一杯
....
ぼくがまだ見つけない 明日の
呼吸の波は、かぎりなく無音で
おしよせては、
皮膚のあいだに刻まれた旋律を
からめとりながら
引いていく
奥深い場所で対流する
なまぬるい記憶、ある ....
昨日の月は
尖った 細い 月爪だったので
夜を枕でくるみこんで
空を引掻いてしまわないように
唄を歌って
ふかい、ふかい 息を吐いたら
枯れた冬 ....
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