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一団の土地から分筆された遊休地に
エンジンのない建設機械が放置されたまま
数十年が経ち
その間にもわたしの弟は
産まれてこなかった
だからまだ名前もないし
椅子に座ったこともな ....
階段の気配がする海岸通りを
古めかしい山高帽の
大男が歩く
ふいに倉庫の角を曲がると
夏は男を見失ってしまう
+
本の敷地に生えた
時計草の実を半分に切る
....
夜汽車が乾いた舌を出して
すべての生き物の上を
通過していく
右手にいる花崗岩の軟体動物が
左手に移りたがっているのに
左手はまだ
公園の砂場で遊んでまま帰ってこない
雨上が ....
たとえば鉄の味のする夜に
街がプラタナスの樹木にかわってしまうと
ひしゃげたかみひこうきが
ポストに突っ込まれる
それを開いてみると
不在票と書いてあり
ぼくに郵便物があって
差 ....
/7月14日
バスを待つのは孤独な作業だ
ショーウィンドウに映写したすがたは
まるで霊体みたいにみえ
もしほんとうにそうだったなら
きみにもおんなじ
感謝と崇拝と
それいがい ....
クリームで前が見えないけれど
世界には青が降っている
炭酸を抜かないで
誰かの声を聴いた僕は夢中になって世界を振った
*
勢いよく噴出した青を二人の子供が飲んでいた
子 ....
夜
荒野で
超特急を押さえている
手で
遠くから
神通力も使って
100両編成の不思議なあほ力の鉄道が
俺の向こうのほうに行くのを
必死に抑えている
乗客は0人だというのに
燃えた ....
そっと まるで君がかいものに
出かけるように当たり前に
さっきこぼれた味噌汁が
君によって片付けられるような気がしてた
それは随分先に通り過ぎてった事
今から数えてもどれくらい遠いこ ....
+8月19日
背が高くていつも
自信がなさそうにしてる
優しい普通の女の子
美しい横顔で
声を出すと歌になる
大切なことは
いつも最後に
こぼしていった
....
夏がとうとう力尽きた日
あおぞら渦巻いてぐるぐる
しおれた向日葵うずくまる
落とした蜜に蟻がたかる
タイのお面をつけてみる
ストレンジ・デイ、今日はストレンジ・デイ
七ツ頭のハイドラも今日 ....
そなたは夕顔をしている
両目が回転する
ロックアイスを部屋中に反射する
瞼が目だけを慈しんでいる
開いている間の暗闇は不穏だが
閉じている間の暗闇はやさしい
野方図な木々を風よ ....
幽霊が電車を見る
幽霊がお地蔵さんの横を通り過ぎる
幽霊が電車の明かりを遠くから眺め追う
お地蔵さんが幽霊を片目で追う
電車が幽霊を通 ....
一人だけ居残って
いつまでも待ってたけど
母さんは
迎えに来なかった
ふと考えてみたら
僕は高校生になっていた
幼稚園じゃあるまいし
なぜあの時
そんな勘違いしたんだろ ....
いつか一緒に死海に行こうと
あの人が言うものだから
いつかっていつだろうかと
わたしは鼻をくすぐられる
あまいあまい
ほっとみるくのにおいは
たいようのように
あたたかくて
あつく ....
シャボン玉だから忙しい
十階建ての非常階段の一階ごとにセックスする
しちゃうから太陽はもう夕日の名刺を配り出している。
声が忙しい
ワンワンワンワ ....
ひとは、ただ生きることに満足できなくなった
鳥の羽をむしりとって背中に付けてみたが飛べなかった
馬の首をはね、その四肢を付けてみたが速くはならなかった
ひとは、騙され ....
車窓から眺める市役所の
時計の針は17時47分
僕は夜の映画館に向かって
ゆっくり走るバスに揺られながら
先生と再会したひと時を思う
日中、母校の校長室で会った先生は
....
きのう
飛び去った飛行機のように
蛾が震えていた
取り残された最後の技師が
数値を記録し続けている
薄汚れた窓硝子の向こう
森を走っていく少年あるいは少女の白い素足が
境界を飛び越えなが ....
{引用=※}
いままで
だれもみたことがない
世界地図をえがきながら
いつまでも未着の手紙
のことをかんがえる
そして
伝送されつづけるテレパシーのことをかんがえる
どちらも
回帰線 ....
「あしたは桜を観に行こう」
土曜の朝
なにやら騒がしいと思ったら
恋人が楽器をごそごそと出していた
ギターにキーボードにコンピュータ
それから何か良くわからない線とか
テーブル ....
湖の中を泳ぐ
水面から顔を出す
岸に腕をのばし
力を強く込め
二本の腕の力だけで
ずるりと這い出す
うろこで覆われた
下半身を引っ張って
ここから
もっと
這っていったら
....
辿り着いたら夢の島、なんて都合の良い話ばかりはお目に掛かれない。
ホープ/
最近奴はひどく機嫌が悪い。政治家の粗悪な立ち振る舞いで、とか、少し買い物に行っただけでも客の八割が早咲きの五月病の兆 ....
しあわせな手のつなぎ方をして
やさしいセックスをしていましたら、
ベイビーが生まれてきました
生まれる前から、この子はかなりの幸せものです
ベイビーを楽園に残してわたしは旅に出ました
そ ....
こころが
すけて しまえばいい
こころが すけて
どこまでも
ひろがって
うみのうえの
空 に かえる
しんでしまう ほど
すきとおって しまえば
いい
{引用=
わた ....
しめやかな午前 /
温まらないエンジン
背負い込んで
缶コーヒー中毒者の
重い足取り
煮え切らないナビ
ぶら下げて
揮発しそうな生活者の
白い排気ガス
走れ
せめて ....
たくさん
たくさんたくさん
たくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん
の、はな
*
汚れた雑巾で机を拭きながら
それでも掃除をしてるつも ....
空を食べた
仲睦まじいかえるとかえるが飛び跳ねてハイタッチした
オギャ―と雨は生まれ
君に「雨がえるクン」という名をプレゼントする
....
この季節に居たくない夜
どこか、向こうがわを見ようとする
すべり台の天文台に寝そべって
どんな温もりでも
消えていくときはいつも赤い星
経験の記憶が
証ではないのに
あい ....
一つの時代が終わることを
想像もしないまま
わたしは一つの時代に育まれ
育んでくれたいくつかの人たちは
死んでいった
あの一つの時代が
今も変わらず続いていたならば
わた ....
ものごころついたときから
あるもよおしものが
そこでおこなわれていて
開催期間:ひとのきかん
とかかれてあるので
ふしぎにおもい
うけつけのおねえさんに
ひとのきかんとは
....
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