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梅雨明けを待てずに
空は青に切り開かれて
ホウセンカの種が飛び散る
新しいサンダルが
小指を破って
滲んだ痛みは懐かしい夏
種の行方を見つめ
きみがいない、
そんなことをふと思 ....
たにんのこころは
しりたがるのに
じぶんのこころは
みていなかった
ことに
きがついた
しゅんかん
まっしろにわれた
こころが
こういった
もう きらい
どう ....
風船が
割れなくなって
空が
割れて
閃光星の隣まで
来てしまった
息の代わりに
靄を吸う
風船の中は
温かい未来で
階段も天井も
白く
湿ったものは
どこに ....
人は炎のように形を変えて
そっと温め
時々燃やして
いつかは消えて
世界は炎のように形を変えて
そっと温め
時々燃やして
いつかは消えて
けれど炎は消え去らない
くすぶり続け ....
君はいつも白いシャツ
風の中を泳いでる
魚みたいに
僕の心を泳いでる
そこに触れてはいけないよ
そういうところに触れていき
そこに触れてはいけないよ
そういうところに触れていっては
....
構って欲しい欲求が交差して
母さんへの手は今日も降参した
毎晩割り箸の音が窓を叩く度
そろばんで計算したお弁当の旅
泣きたくなるね
帰って来てからの第一声が
....
闇に川音の迷う{ルビ硲=はざま}の村
トンネルに切り取られた高架橋
しじまを蹴散らしていく道しるべ
{ルビ硲=はざま}に閉じこめられていた記憶が目を覚まし
一瞬顔をしかめるも
手招きに不安を ....
わずかに伸縮する細い糸を
二人で引き合って
惹かれたその日々は
梅雨とともに
もう遠く過ぎ去った
夕刻の空を飛行機がゆく
赤い雲を残して南へ向かう
やがて飛行機が小さくなり
雲も空 ....
ガラス窓が
ごつん、と鳴った
振り向いたら
何かがぶつかって
怪訝そうな顔をした
ガラス窓がいた
蝉が死んだのだ
わたしはそっと拾い上げて
犬にやった
窓の外には
....
白い時間が
砂のように降り積もる
ときに蛇行し
ときに立ち止まり
誰もがその上を歩いてゆくけれど
いつしか
そこには波が打ち寄せ
僕の足跡も消えていく
らしさ
それは君自身
そして自分の目標を
乗り越えられたときに
初めて生まれるもの
らしさ
それは君の過去
何度となく苦しんだ
そのつらさを味わって
培われてきたもの
らし ....
色々なものが
一斉に迫ってきて
もう私は
動くことが出来ない
元に戻りたい
昔に
あの頃に
戻りたい
そう願ってしまった
けれど
思っていた
以上 ....
去年会社を辞めた先輩
久しぶりに会ったら
夏みかんみたいだったのが
色白美人に大変身
何があったのかな
街中で呼び止められても
しばらく誰だか判らなくて
どなた様ですか
だなん ....
風になった
あなた
が さする
星の瞬きは
永遠という
はかなさを
楽譜に残し
美しいなんて
残酷な想い出
聞くことのない
あなたの調べは ....
西へ向けて 私は海を渡った
揺れる気持ちを波のせいにして 逃げていた
生まれつきの どうしようもないこと
恨んだところで変わることもないし
なら 愛そうと 愛そうと思って
そ ....
お茶を飲んで
音楽を止めて
さあ、書くぞ
でもやっぱり
書けなかった
何ヶ月放置?
数多のあなたから
発信されることばに
わたしは固くまぶたを閉じる
それらを愛さないために
西側の、部屋
窓に切り取られた風景のなかで
遠く稜線がたそがれてゆく
そう
書いたときには ....
「じゃあね」と言って
手を振った あの日
あれからどれだけの日々を
過ごしてきただろうか
あのときの約束は
果たされぬまま
ただただ
時間だけが
( ....
この草のにおいを意識し始めたのは、
いつからだろうか。
翳る当為が、こおりのように漂い、
透きとおる幻視画のような混濁のなかで、
きみどりいろに塗された、切りたつ海岸線が浮ぶ。
冬の呼吸 ....
あれ??いまここで悲しみが生まれたような
気がしてきましたけど
ここには貴方しかいないのですね
では貴方がその悲しみの持ち主ですね??
まだ泣き続けますか
泣く ....
私の足元を見てください。
貴方がくれた、ガラスの靴です。
綺麗ですか?どうですか?
あのとき貴方は、私にひとときの魔法を、かけてくれました。
そのおかげで
私は今の主人と ....
つきと金星のあいだに
カチャリと流れていったものが一瞬をすぎて
それは未来のような行方で
幸せとか苦しいとかというものと別次元
何もない世界のもとにある、わたし
すべての動作や感情を ....
遠い山の稜線が
水墨画のように
かすんで
ゆるゆると
時間だけが
澱のようにたまっていく
さがしているものは
光りにはじける 青
とろりと熟した 赤
なげだされたキャンバ ....
私の心の悲しみは
あなたがいないと鳴く小鳥
私の心の悲しみは
いつまでたっても止まぬ雨
私の心の悲しみは
ひとり寂しく見る夕日
私の心の悲しみは
寄せては返す波の音
私の心の悲 ....
久方ぶりの再会
あの人は
ひどく優しい顔つきになっていた
陰影を湛えていた
昔とはえらい違い
皆には見えない
私には見えていた
大きな刀を裸で持ち歩いていたのに
信じた道を突き ....
夜の夏がほのかに飛んで
闇の中に夢を描く
この世界に音は必要としない
ただわずかばかりの光だけが
飛びさえするだけで
夜の夏は十分なのだから
夜の夏が静かに飛んで
闇の中に夢を灯す
....
源流に程遠くなく
清らかな姿を
留めながら
静かに流れゆく
孤独な細い川
貞節な乙女を
思い起こさせる
喧騒に揉まれる前の
ひとつの
純真
フルートの音色が
時折舞い ....
透ける 青空
高き 雲
夏の太陽
留めたる
秋の収穫
ぶどう狩り
ぶどう棚から
こぼれ来る
木漏れ日 キラリ
ぶどう房
輝く ルビーか
ぶどう房
一粒 口で弾けては
....
雨上がりの水たまり
泥水も尊いいのち
綺麗な花が
尊いいのちなら
枯れた花も
尊いいのち
忘れないよ
ここにいたのは
尊いいのち
犬が
ぴちょん、と
鼻をつけ ....
ヒーローだったことについて
話す気になった
守るものを見つけたから
ヒーローの後の仕事として
誰からも愛されないヒーローになり
どこに行くにも
無人島がつきまとった
悪は相変わら ....
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