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時と場所が
選ばれながら
Cigaretteの煙が立ち昇る
日々はどんな天気でも
ずっと続いている
隔離された
都会の喧騒や
夜空の果てでさえ

微かな炎による煙は
あらゆる病気を ....
光と樹木が交差する
あの夏の濃い陰りを抜けて
ヤンマゆくよ

感光した記憶の傷痕なぞり
迷える樹海の鬱蒼を越えて
ヤンマゆくよ

うすい双翅に光彩を弾き
風の流れを遡り
この目が耳 ....
私がいないなら、
あなたがいる。
あなたがいないから、
私がいる。
いつも時計のように
交わっては消えていった、
数秒の肌の記憶。

何度生まれ変わっても
告げられな ....
五円玉の穴から覗けば見える都には雨が降り夏を追いまわし秋を連れてくる鈴虫の声高くお月見だ紅葉だと騒ぎ立てる人々をしりめに私は静かにしていたい静かにしていたい静かにしていたいだけなのに頭上のスピーカーは .... 私の父は18の時に航空兵に志願した
飛行機乗りになりたかったのだ
もちろんお国のために
命を捧げる意義を信じて

間に合っていればきっと特攻に行っただろう

出征するはずだった日の1週間 ....
お母さん、私ね、学校にin loveなboyが八匹もいるんだよ

金魚に餌をあげていたら 
次女が後ろで不意に大きな声を出すものだから
目の前の水槽に
突然金魚が九匹飛び込んできて、
その ....
カーテンの隙間から
穏やかじゃない光が差す
透き通る君の横顔は
夢のような気がした

触れられないのは
きっとそのせいである

いつの日か
別れの時が来る
ということも ....
産まれたばかりで
まだ間もない
黒猫を拾う夢を見た
朝を迎える港で
潮騒が聴こえる

僕はその秋まで
確かに遠い港の桟橋にいた
すでに真夏が
終わる記憶のなかで
南太平洋の海風が
 ....
物憂い季節の飴玉を
煙る眼で舐めていた

 「印象かもしれない
 塗り潰された貝のように

破れたレースの隙間から
凝らす朝が射竦める

 「人形かもしれない
 あるいは蒼 誰かに ....
裁きを待つ場所で
命を絶つことを
約束して
罪を贖う人間がいる
その人間による
真実の死によってでさえ
本当に世界の均衡なんて
保たれることは
ないのだろう
断頭台までの足跡は
た ....
風の強い日にも蝶は飛ぶ

気流に乗って巡り

波を越えたり潜ったり

泳ぐようにすり抜けては

喉を潤す 揺れるクローバーに佇んで

ヨットのバーでカクテルでも飲むように

洒 ....
 心はいつも籠の中。
 苦しさ紛れの言葉遊び。
 朝方の霧雨に煙る旅情。
 夜はまだ先。

 渓流の流れに似たひと時。
 我が腰の辺りを啄ばむ猛禽。
 湖でもがく 浮上の兆し。
  ....
惜しむほどには熟れていなかった
玉虫色の果実は真空の夏に閉じ込められている
暗い闇を掘り進めた結果が
闇そのものに対する妥協
肩に置かれた白骨のカルマを
慰めに思う程 足場を失っていた

 ....
雨が降り始めた
何処で これ以上 笑えばいい
景色の感覚を剥ぎ取られて
白い足の子供たちが
死の石と兎の上を
水蜜のように歩いた
さらわれてしまう耳目
暗渠から招く文字のうねり
疑問と ....
いつの間にか齢が乗で増すかのように
蜘蛛の巣に向かって
痛い女を額に付けて前進ならぬ重い漸進に
哲学を日用品に出来ない冷汗で自身をクールダウン

させて
   いる

どの角度から見て ....
 遠くで蜩が鳴いている。
 商店の軒先から蚊取り線香の匂いがする。
 祖父との思い出が詰まった公園へ行く。
 そのとき私は自分に見合った石ころを拾い上げた。

 石には歴史が刻まれている ....
それは、
いつも見えない
激しくもゆるやかな
みなものような
風からはじまる。
それは、
いつもひとつの
 ....
わしゃ知らんよ
伯父はそう言う
本当は何もかも
知っているのに
謙遜してるのか
恥ずかしいのか
わしゃ知らんよ
伯父はそう言う

体調が悪くなり
辛かったと思う。
簡単なことでも ....
『ダイパー・ドライブやっています』

“おむつのドライブ?”
丁寧な発音
穏やかなトーンの声に
思わず立ち止まる
行きつけのスーパーの入り口

『新生児用のおむつが特に不足しています。 ....
伝えんとする意志が世界をきりとるとき
言葉が生まれるのかもしれない

飲みにさそった結婚前のきみに
きちんとこれからのぼくの計画を話そうと
想ったがなにもなかった

あなたの推薦をうけな ....
「生きて 在る」 ということを想えば
やはり不完全だ 
「生きて 在る」 ただそれだけでは 
感じ 考え こうして思念で交信する以外
何もできることはない
私たちはどんな姿をしているのか
 ....
満天の星空を見て
思い出す
澄んだ思い出
済んだ思い出

風が髪に纏わり付いて
香りを運ぶと春
長い睫毛が絹の肌にかかり
スカートを脱ぐと夏
手と手がゆったり合わさり
頬を赤らめる ....
たとえばある種の硝子を隔てて
見つめても そこには世の冷たい写しと
見飽きた己の顏しか見いだせないのだが
硝子の向こう 不可知な領域からは
こちらの姿が逐一観察できるように

ひと筋の時の ....
職業は会社員
仕事は数字を殺すこと
会社に入るまで知らなかった
仕事は数字を作ることだと思っていた
ところがそれは間違いで
一年の始まりにはすでに数字が
月の始まりにもやっぱり数字が
山 ....
 湖岸に立つ私に風は爽やかで
 静寂の中に鳥たちの声が聴こえる。
 靄のかかった湖面から小枝が屹立する情景は
 私に生命力の尊さを教えてくれる。

 静かに歩み寄る初夏の足音に耳をすませ ....
あなたの腕と私の脚が 
幾何学的に重なって
ミルフィーユ様態の発熱体となる
右腕の先から頭を伸ばせば
男の背中ごし 悠々と輝る月が見えた
まるでこの土から派生して生い茂った多肉植物のよう
 ....
わたしはよくつまづいてしまうから
玄関にある靴は
どれもこれもつま先がはげていたりする
つま先のはげた靴
可愛い靴なのに残念

そのくせして
きっちゃんを待っている時は
つま先 ....
いっとき
誰かをおもい
泣いたとしても
朝が来れば
人は顔を洗い
食事をし
読みかけの本の頁を開く
晴れていれば
陽を浴びに出かけ
つばめが巣立てば
ほほえむでしょう
四葉のクロ ....
藤は支えが欲しかった
己が生きて行くための

桜は藤を必要としなかった
だが支える力は持っていた

今では一本の木のように
鬱蒼と密にからみ合うが

異なる性を持つもの同士
時を違 ....
スイッチ入れるとお湯が沸く
仕組みなんか知らないけど
お手軽ね、電気ポット
送信を押せば届く文字面
仕組みには興味ないけど
らっくらくインターネット

仕組みなんてどうでもいいけど
あ ....
渡辺亘さんの自由詩おすすめリスト(597)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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